中東の レバノン は、ワイン通の間ではちょっと知られた存在の産地。
特に、ベッカー・ヴァレーの “シャトー・ミュザール” は、創業2代目となるセルジュ・ホシャール氏が英国のワイン誌Decanterが毎年決めるMan of the yearの初代(1984年)に選ばれているという、非常に実力のあるワイナリーです。
日本でも以前は輸入の取り扱いがありましたが、中東地域はご存知のように紛争が多く、レバノンも内乱があったり(1975-1990)と、交易状況が厳しい時代がありました。
よって、ミュザールの名前は知っていても、飲んだ記憶を辿ると…おそらくほんの2、3回?
が、今年の夏は、独ベルリンの駐在時に入手したという先輩に 2003年マグナム を飲ませていただくという機会があったのは幸運でした。
その時に、ボルドーの“サン・ジュリアン”的なニュアンスを感じましたが、1930年に創業したガストン・ホシャール氏も2代目のセルジュ氏もボルドーで修業をしていること、ボルドー格付け3級である シャトー・ランゴア・バルトン(サン・ジュリアン村)が第二次大戦中にレバノンに駐在していた際にホシャール家と縁があったことが今回の調べでわかり、サン・ジュリアンを感じたことに得心が行きました。
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さて、長い前置きはこれくらいにして、
この 「シャトー・ミュザール」が、いよいよこの秋、日本に再上陸します
今週、輸入元のお披露目試飲会がありましたので、出かけてきました。
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Chateau Musar (Lebanon, Bekaa Valley)
赤ワインだけかと思っていたら、白もロゼもつくっていました。
レバノンでは6000年のワインづくりの歴史があります。
ミュザールのあるベッカー・ヴァレーは、2つの山の谷間にある標高の高い(約1000m)レバノン中南部の地域です。年間の平均気温は25度、冬には雪が降ることもありますが、夏は暑く、日照にも恵まれている(年間300日は晴れ)ため、ブドウ栽培に適し、レバノンのワイナリーの多くがこの地域にブドウ畑を所有しています。
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Chateau Musar Red 2005
カベルネ・ソーヴィニヨン33%、サンソー33%、カリニャン33%、平均樹齢は40年。
収量は35ヘクトリットル/ha。セメントタンクで発酵、熟成(9カ月)後、フレンチオーク(新樽30%)で熟成(1年)。ブレンドして後、タンクで熟成してから(9カ月)ボトリング。
その後さらに瓶熟成(3~4年)させ、収穫から7年経ってからようやくリリースされるので、この2007年が最も新しいヴィンテージになります。
時間をかけているだけあって、タンニンがよく溶け込み、ボディが丸みを帯び、口当たりが非常になめらか。熟していながらも赤い果実味の風味が感じられ、酸もしっかりしています。濃度があって品もよく、これは旨い!アルコール14%
(輸入元希望小売価格 4500円)
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Chateau Musar White 2005 Chateau Musar Rose 2008
白
古い土着品種のオバイデ(Obaideh)60%+メルワー(Merwah)40%のブレンド。
オバイデはシャルドネに、メルワーはセミヨンに関係が深い品種らしいですが、詳細は不明。
オバイデの畑は標高約1300mに位置し、1920~1947年に植樹ということですから、かなりの古木。
メルワーの畑はレバノン山脈の海側にありますが、それでも標高は約1400m。
収量は25ヘクトリットル/haと低く、どちらも接ぎ木をしていない自根のブドウ樹です。
フレンチオーク樽(新樽30%)で9カ月かけて発酵させ、こちらも収穫から7年経過して後にようやくリリースしますので、白ワインなのに2005年が最新ヴィンテージです。アルコール12%。
飲んでみると、口当たりはツルン、ぷるんとなめらか。まろやかでコクがあり、そして、非常にユニークな、エキゾチックな風味がします。熟成の旨味もありますが、本当に独特の個性があります。ミュザールとしては、辛口のソーテルヌ(ボルドーの有名な甘口ワイン)をイメージしてつくっているようですが、なるほどね~。
(輸入元希望小売価格 4500円)
ロゼ
オバイデ55~65%、メルワー30~40%、サンソー5%。
白ブドウのオバイデとメルワーでそれぞれ白ワインをつくり、黒ブドウのサンソーで赤ワインをつくり、これらをブレンドしてロゼワインにしています。
フレンチオークのバリック樽で6~9カ月発酵、熟成させ、収穫から1年後に瓶詰めし、さらにボトルで2年寝かせてから出荷しますので、通常は若いほどいいといわれるロゼなのに、これも収穫から3年後のリリースという個性的なロゼです。アルコール12%。
味わいは、白ワインとほぼ同じニュアンスがありますが、黒ブドウのサンソーがブレンドされているせいか、果実のチャーミングさが加わり、タッチが軽快で飲みやすさがありました。
(輸入元希望小売価格 4000円)
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Hochard Pere et Fils Red 2007
サンソー50%、グルナッシュ20%、カリニャン15%、カベルネ・ソーヴィニヨン15%。
ホシャール・レッドは、ミュザール・レッドのセカンドワインになりますが、が、単一畑からのブドウを使用し、樹齢は35~50年、収量は25~30ヘクトリットル/ha。
セメントタンクで発酵後、フレンチのオーク樽で9カ月熟成させます。このワインも瓶熟期間が長く(数年間、年により変動)、収穫から5年以上経ってからリリースされるため、この2007年が最新ヴィンテージです。アルコール度数14%。
ミュザール2005と比べると、たしかに若いフレッシュさを感じますが、テクスチャーがリッチな点がミュザール2005にとてもよく似ています。セカンドでこの価格は嬉しいんじゃない?
(輸入元希望小売価格 3000円)
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どれを飲んでも安定感があり、さすが!
熟成したワインのおいしさをたっぷり堪能したい人にオススメ です。
面白いのは、赤白ロゼとも、すべてデカンタージュをしていたこと。
また、温度も通常よりやや高くサービスする(白は15℃)方が、このワインは開きやすそうです。
所有する畑の面積は180ha。ミュザールでは環境に配慮したワインづくりを行い、レバノンで初めてとなるオーガニック認証を2006年に取得しています。
2006年以降のヴィンテージがどう変わっていくのか、今後も注目です。
なお、ミュザール(Musar)とは、ヘブライ語で “倫理”、“正しい行ない”の意味だそうですよ
(輸入元:ジェロボーム株式会社)
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特に、ベッカー・ヴァレーの “シャトー・ミュザール” は、創業2代目となるセルジュ・ホシャール氏が英国のワイン誌Decanterが毎年決めるMan of the yearの初代(1984年)に選ばれているという、非常に実力のあるワイナリーです。
日本でも以前は輸入の取り扱いがありましたが、中東地域はご存知のように紛争が多く、レバノンも内乱があったり(1975-1990)と、交易状況が厳しい時代がありました。
よって、ミュザールの名前は知っていても、飲んだ記憶を辿ると…おそらくほんの2、3回?
が、今年の夏は、独ベルリンの駐在時に入手したという先輩に 2003年マグナム を飲ませていただくという機会があったのは幸運でした。
その時に、ボルドーの“サン・ジュリアン”的なニュアンスを感じましたが、1930年に創業したガストン・ホシャール氏も2代目のセルジュ氏もボルドーで修業をしていること、ボルドー格付け3級である シャトー・ランゴア・バルトン(サン・ジュリアン村)が第二次大戦中にレバノンに駐在していた際にホシャール家と縁があったことが今回の調べでわかり、サン・ジュリアンを感じたことに得心が行きました。
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さて、長い前置きはこれくらいにして、
この 「シャトー・ミュザール」が、いよいよこの秋、日本に再上陸します
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今週、輸入元のお披露目試飲会がありましたので、出かけてきました。
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Chateau Musar (Lebanon, Bekaa Valley)
赤ワインだけかと思っていたら、白もロゼもつくっていました。
レバノンでは6000年のワインづくりの歴史があります。
ミュザールのあるベッカー・ヴァレーは、2つの山の谷間にある標高の高い(約1000m)レバノン中南部の地域です。年間の平均気温は25度、冬には雪が降ることもありますが、夏は暑く、日照にも恵まれている(年間300日は晴れ)ため、ブドウ栽培に適し、レバノンのワイナリーの多くがこの地域にブドウ畑を所有しています。
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Chateau Musar Red 2005
カベルネ・ソーヴィニヨン33%、サンソー33%、カリニャン33%、平均樹齢は40年。
収量は35ヘクトリットル/ha。セメントタンクで発酵、熟成(9カ月)後、フレンチオーク(新樽30%)で熟成(1年)。ブレンドして後、タンクで熟成してから(9カ月)ボトリング。
その後さらに瓶熟成(3~4年)させ、収穫から7年経ってからようやくリリースされるので、この2007年が最も新しいヴィンテージになります。
時間をかけているだけあって、タンニンがよく溶け込み、ボディが丸みを帯び、口当たりが非常になめらか。熟していながらも赤い果実味の風味が感じられ、酸もしっかりしています。濃度があって品もよく、これは旨い!アルコール14%
(輸入元希望小売価格 4500円)
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Chateau Musar White 2005 Chateau Musar Rose 2008
白
古い土着品種のオバイデ(Obaideh)60%+メルワー(Merwah)40%のブレンド。
オバイデはシャルドネに、メルワーはセミヨンに関係が深い品種らしいですが、詳細は不明。
オバイデの畑は標高約1300mに位置し、1920~1947年に植樹ということですから、かなりの古木。
メルワーの畑はレバノン山脈の海側にありますが、それでも標高は約1400m。
収量は25ヘクトリットル/haと低く、どちらも接ぎ木をしていない自根のブドウ樹です。
フレンチオーク樽(新樽30%)で9カ月かけて発酵させ、こちらも収穫から7年経過して後にようやくリリースしますので、白ワインなのに2005年が最新ヴィンテージです。アルコール12%。
飲んでみると、口当たりはツルン、ぷるんとなめらか。まろやかでコクがあり、そして、非常にユニークな、エキゾチックな風味がします。熟成の旨味もありますが、本当に独特の個性があります。ミュザールとしては、辛口のソーテルヌ(ボルドーの有名な甘口ワイン)をイメージしてつくっているようですが、なるほどね~。
(輸入元希望小売価格 4500円)
ロゼ
オバイデ55~65%、メルワー30~40%、サンソー5%。
白ブドウのオバイデとメルワーでそれぞれ白ワインをつくり、黒ブドウのサンソーで赤ワインをつくり、これらをブレンドしてロゼワインにしています。
フレンチオークのバリック樽で6~9カ月発酵、熟成させ、収穫から1年後に瓶詰めし、さらにボトルで2年寝かせてから出荷しますので、通常は若いほどいいといわれるロゼなのに、これも収穫から3年後のリリースという個性的なロゼです。アルコール12%。
味わいは、白ワインとほぼ同じニュアンスがありますが、黒ブドウのサンソーがブレンドされているせいか、果実のチャーミングさが加わり、タッチが軽快で飲みやすさがありました。
(輸入元希望小売価格 4000円)
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Hochard Pere et Fils Red 2007
サンソー50%、グルナッシュ20%、カリニャン15%、カベルネ・ソーヴィニヨン15%。
ホシャール・レッドは、ミュザール・レッドのセカンドワインになりますが、が、単一畑からのブドウを使用し、樹齢は35~50年、収量は25~30ヘクトリットル/ha。
セメントタンクで発酵後、フレンチのオーク樽で9カ月熟成させます。このワインも瓶熟期間が長く(数年間、年により変動)、収穫から5年以上経ってからリリースされるため、この2007年が最新ヴィンテージです。アルコール度数14%。
ミュザール2005と比べると、たしかに若いフレッシュさを感じますが、テクスチャーがリッチな点がミュザール2005にとてもよく似ています。セカンドでこの価格は嬉しいんじゃない?
(輸入元希望小売価格 3000円)
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どれを飲んでも安定感があり、さすが!
熟成したワインのおいしさをたっぷり堪能したい人にオススメ です。
面白いのは、赤白ロゼとも、すべてデカンタージュをしていたこと。
また、温度も通常よりやや高くサービスする(白は15℃)方が、このワインは開きやすそうです。
所有する畑の面積は180ha。ミュザールでは環境に配慮したワインづくりを行い、レバノンで初めてとなるオーガニック認証を2006年に取得しています。
2006年以降のヴィンテージがどう変わっていくのか、今後も注目です。
なお、ミュザール(Musar)とは、ヘブライ語で “倫理”、“正しい行ない”の意味だそうですよ
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(輸入元:ジェロボーム株式会社)
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