ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

祖父の遺したブドウ

2014-09-16 11:50:28 | おいしい食べもん
この3連休は母方の親戚の法事が福島の会津であったため、母たち3姉妹は、末妹(私にとっては叔母)の家で水入らずの時間を過ごし、いろいろとお土産を持って帰ってきました。

その中にあったのが、3房の ブドウ
うち1房は、法事でどなたかが持ってきたものをお裾分けでもらってきたものですが、残り2房は、母が実家に立ち寄った際に、実家を継いでいる弟(私にとっては叔父)が、庭の奥からもいでくれたもの。

かつて祖父が育てていたブドウを植え替えたもの だとか。



品種はまったくわかりません。
やや大粒で、外観はマスカットに似ていますが、食べるとまったく違います。
皮は薄く、思いのほかスッとむけ、果肉がとてもやわらかい。
甘さはそこそこありますが、酸味がゆるく、もったりボヤけた味わいで、フルーツ王国 福島としては、これは商品としては出せないでしょうね。

祖父が亡くなって、数えてみると、今年でちょうど30年。
従姉の結婚式が会津で行なわれ、その翌月に祖父が急死しました。
結婚式には私と両親も出席したので、それが祖父との最後となりました。

神主をしていて、おだやかで口数の少なかった祖父には7人の孫がいましたが、私だけが東京で、ほか6人は地元会津にいたので、私がいちばん縁が薄い孫でした。
それでも、2、3年に一度くらいに夏休みに遊びに行った際にはかわいがってもらいましたし、また、毎年、秋になると柿やお米を送ってくれたりしたので、子供の頃はそれが楽しみでした。柿は木箱に入れられ、くぎが打ちつけてあったので、開ける時にはドキドキしたものです。

ブドウは、当時は宅配便が発達していなかったこともあり、送れなかったのでしょう。
だから、祖父が亡くなって30年目にして、はじめて祖父のブドウを食べました。

たしかに素朴で田舎くさく、現代にウケる味ではありません。
それでも、やさしかった祖父が遺したものだと思うと、愛しく思えます。
私が今、ワインに関わる仕事をしていることも、不思議な巡り合わせですね。

コメント
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