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ロードス島攻防記ー塩野七生

2020年12月03日 | 読書

評価3

1453年の東ローマ帝国滅亡は大砲活用による築城技術の変革と大君主国時代の到来をもたらした。この状況を端的に表した攻防が、パレスチナから本拠地を移した聖ヨハネ騎士団が大国トルコと戦った1522年のロードス島の攻防である。

海軍1万人、陸軍10万人のトルコ軍に対する聖ヨハネ騎士団の軍勢は、わずか騎士600人、傭兵1500人、島民3000人と圧倒的な劣勢にもかかわらず、ヴェネツィアの建築技師・マルティネンゴ指導による城壁補強が功を奏し7ヵ月もの間持ちこたえる。しかし、待ち望んだ援軍は現れず、ついに和平条約を締結、12月29日トルコのスルタン・スレイマン1世の入城を受け入れる。ロードス島を退去した聖ヨハネ騎士団は、その後、クレタ島を経て、1530年にマルタ島への移住を完了する。

若い騎士3人は登場するものの城壁・城塞の構築に関する話が多く、物語の展開としては平板だったので塩野作品としては低評価とした。3部作の締めの「レパントの海戦」に期待したい!