評価
1972年3月、朋子(小6)は家庭の事情で岡山から芦屋の伯母さんの家に預けられる。芦屋の家には喘息の持病を持つミーナ(小5)と伯母夫婦、ドイツ人とのハーフのローザおばあさん、家政婦の米田さん、コビトカバのポチ子が暮らしていた。朋子とミーナの心温まる1年間の物語。
病弱なミーナはポチ子に跨って通学して、マッチ箱を蒐集、マッチ箱の絵をヒントに物語を創造する才能溢れる娘で喋ると関西弁。そんなところがとても可愛らしい。童話もなかなか秀逸!朋子とミーナがジャコビニ流星群を見に行ったり、ミュンヘンオリンピックの日本選手を応援したりと明るくはつらつと過ごす姿が楽しい。誤植を探すことに命を懸けている伯母さんも良い味出してる。
ミュンヘンオリンピックの男子バレー準決勝、日本vsブルガリア戦を二人が応援する場面が出て来るのだが、当時のことが思い出されてウルっと来てしまった。窮地に陥った時のキャプテン中村祐造と南の奇跡的な活躍が凄かった!朋子とミーナが「ミュンヘンへの道」に刺激されて、バレーボールに目覚め、練習を開始するが理論は完璧なのに、体がついてこない二人に大笑い(笑)。ちなみに、朋子は森田、ミーナは猫田のファン。
小川洋子さんの地元は岡山だし、ミュンヘンの頃は10歳だったので、小川さん自身の思い出も織り込まれているような気がします。とても素敵な物語でした。