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車輪の下ーヘルマン・ヘッセ

2021年03月18日 | 読書

評価5

再読(前回2018年8月18日)。
ハンスは州試験に2番の成績で合格し神学校へ進学。町の期待を一身に背負うハンスはなお一層勉学に励むが神経症と診断され帰郷し機械工として再出発するも酒を飲み過ぎた上、静かに川に身を漂わせ亡くなってしまう。ヘッセの自伝的名作!

試験に合格した後、釣りなどで子供らしい生活を謳歌していたハンスが結局大人たちの事情に振り回され、心身ともに衰弱して行く姿が痛々しい。その中でも、神学校での行事や友人・ハイルナーとの無邪気な付き合い、りんご搾りやエンマへのほのかな恋の場面がハンス少年の立ち直りを感じさせるので、静かに天に召される最後がとてもやりきれない。

情景描写がとても美しく、まるでシヮルツワルトの町にいるかのような気持ちのまま読了。何度でも読み返したい名作中の名作です。

校長の一言。
「うん、これでよし。へたばらないようにするんだよ。さもないと車輪の下に押しつぶされてしまうよ」