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母校・盛岡一高や岩手のスポーツ情報、読書感想、盛岡風景などをお伝えします。

月の裏側ー恩田陸

2020年12月20日 | 読書

評価3

九州にある水郷の街・箭納倉(やなくら)で人々が失踪して戻って来る事件が起こる。この事件を追う多聞たちは戻って来た人が「人間もどき」であることに気づくが、魔の手は地域全体に広がりつつあるのだった。名付けて「郷愁ホラー」

常に雨が降り続く中での物語展開。街をめぐる堀の中にこそ「人間もどき」製造の秘密が隠されていて、ジワジワと主人公たちを追い詰めていくか?・・・と思われたが、そんなに悲惨な最期をむかえるわけでもなく物語終了~♪うぅ~む、、、ま~恩田陸、と言えば、恩田陸らしい作品(汗)。

ローマ亡き後の地中海世界(4)ー塩野七生

2020年12月18日 | 読書

評価3

ラストの4巻目はキリスト教国連合艦隊vsトルコ。マルタ島攻防(1565年)、キプロス攻防(1570年)、レパントの海戦(1571年)。レパントの海戦に敗れたことによってトルコの西地中海への侵攻は影をひそめるのだった。

延々と続く、西欧諸国とトルコ、そして海賊との攻防。なんとっ、ローマ帝国の海賊対策の有効期間は紀元前1世紀後半~紀元後6世紀前半までの600年間!ヴェネツィアは11世紀初め~18世紀末までの800年間!世界の端っこの小国民には全く理解できない事柄である。

さて、ローマ帝国、東西ローマ帝国、ヴェネツィア、十字軍とイスラム、海賊とトルコと読み進んで来た塩野七生も、ルネサンス期に突入!

【追伸】
自分的には「ルネッサンス」の言い方に慣れているのですが、今は「ルネサンス」が主流らしいです。嗚呼~歳ですな(笑)。

ローマ亡き後の地中海世界(3)ー塩野七生

2020年12月15日 | 読書

評価4

15世紀に入るとアラブ・イスラム勢力に代わってトルコが台頭、1453年にはビザンチン帝国の首都コンスタンティノープルを陥落。海軍力が劣っていたトルコは海賊を有効に使ってキリスト教国家との間で熾烈な地中海の覇権争いを演ずる。1502年のキリスト教艦隊、1516年の神聖同盟との戦いでは敗れたものの、1522年のトルコは、ロードス島攻略を果たしヨーロッパ諸国を震駭させる。

この時期、交易国家としての存亡をかけたヴェネツィアの深謀遠慮はさすがだが、なかなか一つにまとまらないヨーロッパ勢には苦笑するしかない。神聖ローマ帝国皇帝の座をスペイン王カルロス1世と争って敗れたからといって、トルコと同盟を結んでスペイン追い落としを謀るなんざぁ~ちとやり過ぎじゃ~ありませんか!?フランス王フランソワ1世さん!これでは、仲立ちをした時のローマ法王も大変だったことでしょう(笑)。

トルコの残虐性を物語るエピソード。開城の約束に「降伏した者の首を斬るようなことはしない。」と言っておきながら、胴体を真っ二つに斬って殺した・・・ということです。

ミーナの行進ー小川洋子

2020年12月13日 | 読書

評価5

1972年3月、朋子(小6)は家庭の事情で岡山から芦屋の伯母さんの家に預けられる。芦屋の家には喘息の持病を持つミーナ(小5)と伯母夫婦、ドイツ人とのハーフのローザおばあさん、家政婦の米田さん、コビトカバのポチ子が暮らしていた。朋子とミーナの心温まる1年間の物語。

病弱なミーナはポチ子に跨って通学して、マッチ箱を蒐集、マッチ箱の絵をヒントに物語を創造する才能溢れる娘で喋ると関西弁。そんなところがとても可愛らしい。童話もなかなか秀逸!朋子とミーナがジャコビニ流星群を見に行ったり、ミュンヘンオリンピックの日本選手を応援したりと明るくはつらつと過ごす姿が楽しい。誤植を探すことに命を懸けている伯母さんも良い味出してる。

ミュンヘンオリンピックの男子バレー準決勝、日本vsブルガリア戦を二人が応援する場面が出て来るのだが、当時のことが思い出されてウルっと来てしまった。窮地に陥った時のキャプテン中村祐造と南の奇跡的な活躍が凄かった!朋子とミーナが「ミュンヘンへの道」に刺激されて、バレーボールに目覚め、練習を開始するが理論は完璧なのに、体がついてこない二人に大笑い(笑)。ちなみに、朋子は森田、ミーナは猫田のファン。

小川洋子さんの地元は岡山だし、ミュンヘンの頃は10歳だったので、小川さん自身の思い出も織り込まれているような気がします。とても素敵な物語でした。