白堊スポーツ - since 2004.09.18

母校・盛岡一高や岩手のスポーツ情報、読書感想、盛岡風景などをお伝えします。

カラーひよことコーヒー豆ー小川洋子

2021年01月18日 | 読書

評価4

ありふれた日常を切り取る作家の感性に敬服させられるエッセイ。表題はお祭りの花形だった赤やピンクや緑で色付けされた「ひよこ」と愛犬「ラブ」にできたコブのお話。同世代だけに思わず「そうそう」と頷いて昔を懐かしむ私であった。

アクロイド殺しーアガサ・クリスティー

2021年01月17日 | 読書

評価5

事件は一本の電話から始まった。医師のシェパードが村の名士アクロイドの許に駈け付けるとチュニジアの短剣が突き刺さり彼はこと切れていた。アクロイドの姪から捜査を依頼されたポアロが動き始める。噂にたがわぬ面白さ!アガサ・クリスティー恐るべし!

高校時代のサイドリーダーを読んでみようシリーズ、「レベッカ」に続く第2弾。しかし、登場人物が多くて人間関係が入り乱れている推理小説、サイドリーダーに選ぶかね普通(笑)。

まぁそれはさておき、最後の残り16頁でようやく犯人がわかる展開に、それごそ、貪るように読み進め怒涛の一気読み!かなり面白い!!面白過ぎる!!!犯人については「探偵ものルール」に違反しているとの評もあるようだが、私もちょっとは「もしかして・・・」と思ったくらいだから許容範囲ではないだろうか!?ポアロも良い味出してます。イギリス人の書く小説面白いな~♪

ってことで、今年はアガサ・クリスティーを攻めることにしようと思います。

小公子ーバーネット

2021年01月16日 | 読書

評価3

ニューヨークに住む7歳の少年・セドリックを訪ねて来た弁護士が「あなたはイギリス貴族の跡継ぎとなられました」と突然告げる。セドリックは母とともに亡き父の故郷へ旅立ち、頑固者の祖父と暮らし始める。不朽の世界の名作。

ジジイが読む世界の名作シリーズ。
最後の方でちょっとした波乱はあるものの、全編を流れるのが、セドリックの優しい心持ちが領民から嫌われていた祖父のすさんだ心を解きほぐしていく光景。とても清々しい気持ちになれる、やっぱり子どもたちに読ませたい名作です!

王妃マリー・アントワネット(下)-遠藤周作

2021年01月15日 | 読書

評価5

1793年10月16日マリー・アントワネットは夫・ルイ16世の後を追ってギロチンによる斬首刑となった。罪状は君主制維持を目的として武力干渉を諸外国に要請し反革命の中心人物としての国家反逆罪。首飾事件、幽閉先からの逃亡など波乱万丈の人生を37歳で終えたのであった。

貴族と聖職者及び市民との対立から始まり、バスチーユ攻防、パリ市民兵創設による封建制の廃止、国王と王妃の逃亡もヴァレンヌでの捕縛、フランスとオーストリアとの戦い、反革命の疑いのある貴族や市民が襲われた「9月の虐殺」、1票差によるルイ16世の死刑判決、激動の革命期に生きた王妃とならねば幸せな人生であっただろう一人の女性の生きざまに酔いしれた4日間の読書でした。

最後に、処刑台に引き出される直前のマリー・アントワネットの決意を記しておきます。「わが子たちよ、わたくしも、わたくしの主義を最後まで守ります。わたくしの主義、人生の最後まで王妃だった女の優雅さ、美しさを守り抜くこと。どんな状況におかれようと、自分の美しさを失わないこと。王妃として威厳をなくさないこと。」

王妃マリー・アントワネット(上)-遠藤周作

2021年01月13日 | 読書

評価5

時は1770年、14歳のオーストリア王女マリー・アントワネットはフランス皇太子ルイ・オーギュスト(ルイ16世)と結婚、やがて、ヴェルサイユに咲いた華麗な花と呼ばれ、フランス最後の王妃として断頭台に消える人生を歩み始めるのだった。遠藤周作渾身の歴史ロマン!

一目見た時からアントワネットに敵愾心を燃やす貧しい少女から娼婦に身をやつすマルグリット・アルノー、稀代の詐欺師・カリオストロ、ギロチンを発明したギヨタン博士、死刑執行人サンソン、役者は揃った。

騙し騙され、権謀術数が渦巻くベルサイユ宮殿に向けて、ある事件がきっかけで庶民の怒りが徐々に燃え広がる。いや~面白過ぎる!狐狸庵先生って凄い作家です!怒涛の勢いで下巻に突入!

ヴァラエティー奥田英朗

2021年01月11日 | 読書

評価5

2つの対談と短編6作品。脱サラした男、帰省中のドタバタ、謎の仲居、クリスマスイヴに外泊を目論む17歳、初めて自転車の補助輪がとれた小学2年生の物語。

小学生の話「夏のアルバム」が一番良い!私と作者は3歳しか歳が離れていないので、いつも「うわぁー懐かしい!」ってなる。遥か昔のあの夏の日がよみがえる話に心が温まった。ドタバタ「ドライブ・イン・サマー」も若かかりし頃の筒井康隆を彷彿させてかなりイイーっ(笑)!

久し振りの奥田英朗に大満足!

①おれは社長だ!
②毎度おおきに
③ドライブ・イン・サマー
④住み込み可
⑤セブンティーン
⑥夏のアルバム
対談1:イッセー尾形
対談2:山田太一

小公女ーバーネット

2021年01月10日 | 読書

評価5

インド駐在イギリス士官の娘サアラ・クルウ(7歳)はロンドンのミンチン女史神聖女子学校に特別寄宿生として入学。聡明で愛くるしいサアラは学校の人気者になるが、父がダイアモンド鉱山の共同経営に失敗後命を落としたためにいきなり後ろ盾を失い学校の下働きをさせられるようになる。さーサアラはこの苦境を脱することができるのか!?

ジジイの世界的名作を読むシリーズ(笑)!
アニメ(小公女セーラ?)に触れることもなく、全くあらすじも知らずに読んだのだが、こりゃーかなり面白い!さすが名作!サアラが乞食の少女にパンをあげるシーンにはホロっとしてしまいました。心が洗われる名シーンです。それに引き換え、ミンチン先生のひどいことっ(怒)!

小汚いことしか考えない今の政治家に読んでもらいたい名作!

密やかな結晶ー小川洋子

2021年01月09日 | 読書

評価4

焚書、隠れ家、記憶狩り、秘密警察、ナチのユダヤ狩りを思い起こさせるキーワードが散りばめられた物語。消えゆく運命を持つ有機体である人間の哀しみの中にアンネの姿を垣間見つつ読了。

鳥、香水、フェリー、左足、大切だったものが、みんな、少しずつ消えてゆく島に住む「わたし」は小説家。記憶をなくさない住民を検挙する秘密警察の目を逃れて、編集者のR氏を隠れ家にかくまうが捜査の手がヒタヒタと忍び寄る。そんな中、R氏は秘密裏に保存されていたフェリーの切符、ハーモニカ、ラムネなどを使って既に消滅した「わたし」の記憶を呼び覚まそうとするのだが・・・

「これが小川洋子の世界観なんだなぁ~」としばし納得。

科学の扉をノックするー小川洋子

2021年01月06日 | 読書

評価3

著者が各界の専門家を訪ねて先端科学を紹介する。
ジャンルは7つ、①宇宙②鉱物③遺伝子④放射光(スプリング8)⑤粘菌⑥遺体科学(解剖学)⑦肉体と感覚(プロ野球)。見聞きするもの全てが物語に結び付いてしまう小川さんの想像力にビックリ!

太陽系の話が面白かった。
実は、木星、土星、天王星、海王星が降り立つことが出来ないガス惑星であることを知らなかった・・・あまりにも範囲が広すぎる宇宙全体よりも、身近な(と、いっても・・・笑)まずは太陽系を知ることが大事だと思った。

第一級の科学者にまじって阪神タイガースのトレーニングコーチ(出版当時:続木敏之コーチ)が登場していることに違和感があったが、ま~小川さんが熱烈な阪神ファンだから、これは、これで作者の特権ということだろう(笑)。