11月19日 おはよう日本
最近続いているマラソンブーム。
各地でマラソン大会が増え続けている。
参加者たちの宿泊や飲食
さらに観光など
大きな経済効果が見込めるため多くの自治体などが開催に乗り出している。
ブームの火付け役になった東京マラソンが始まった2007年以降の大会数の推移。
2014年に開かれた大会は1,889。
前年比で300以上増えた。
大会が乱立したことで人気を集めるところと定員に達しないところがあり
明暗が分かれてきている。
1年で最も多くマラソン大会が開かれるのが11月。
その数は300にのぼる。
8日に開かれた福岡マラソン。
参加者は1万人だった。
同じ日 岡山マラソンでは1万4,000人のランナーが走った。
福岡や岡山をはじめ全国で開かれたマラソン大会は43。
1つの県で4つの大会が開催されたところもある.
兵庫県である。
同じ県内で開かれた大会で大きく明暗が分かれた。
4年前に大会を始め年々その規模を拡大してきた赤穂市。
忠臣蔵で有名な赤穂浪士ゆかりの地で
城跡など歴史的な魅力がある。
大会実行委員の1人で市の職員の小池崇之さん。
(赤穂市教育委員会スポーツ推進課 小池崇之さん)
「第3回大会から採用しているコース。
以前は通っていなかった。」
赤穂市の大会が人気を集めている理由は
ランナーたちの声を受け毎年改善を重ねてきたことである。
中でも大きなポイントがコースづくり。
第1回大会は城跡を通り海沿いや緑豊かな公園を走るコースを設定した。
しかし同じ道では飽きてしまうという意見があり
2年前 温泉街や山道を抜ける新たなコースを設けた。
ランナーは変化にとんだ景色やアップダウンを味わうことができるようになった。
こうした努力によってマラソン100選に2年連続で選ばれたのである。
マラソン大会は地域のPRにもつながっている。
赤穂市を訪れる観光客はこの3年で約7万人増加した。
そして8日に開かれた今年の大会。
4,000人余のランナーのうち7割以上が市外からの参加だった。
(赤穂市教育委員会スポーツ推進課 小池崇之さん)
「認知度が上がったことに慢心することなく
大会運営で僕たちの努力が認められた結果ではないか。」
一方 苦戦を強いられたのが赤穂市から50キロ離れた神河町である。
人口1万の神河町。
全国的なマラソンブームに乗ろうと去年から大会を始めた。
神河町 地域振興課の谷綛和人さん。
去年の参加者は65人。
大会は赤字になった。
今年の目標は300人である。
大会はランナーの参加費で運営する。
300人が参加すれば約140万円が集まる計算である。
「全国駅にマラソンブームだから
もっと多くの人に来ていただけるという思いで2回目をした。
神河の振興・地域の発展につながればいい大会だと思う。」
大会を大きくしていくためには繰り返し参加するリピーターを増やすのが重要なカギである。
そこで谷綛さんたちは町をあげてランナーをもてなそうと考えた。
地元のゆるキャラをあしらった小旗を用意。
住民に配り沿道での積極的な応援を依頼した。
さらに地元の特産品をランナーにふるまおうと飲食店や農家をまわった。
「ゆずのすしとそば湯
雨が降っていたら喜ばれると思う。」
しかし大会の1週間前思わぬ事態が起きた。
申込者が目標の3分の1以下の90人しか集まらなかったのである。
「リピーターは5人。
それがずっと増えていって友達呼んでもらう。」
「11月のこの時期は非常にいろいろなマラソン大会
人気のある大会とどうしてもかぶってしまう。」
実は兵庫県内だけでなく岡山県でも大きな大会が開かれることになり
多くのランナーがそちらに流れたとみられる。
神河町の大会は今年も赤字になることがわかった。
「残念な人数になってしまった。
他の大会とかPRが遅かったという反省点もある。」
迎えた11月8日。
岡山マラソンは初めての大会にもかかわらず1万4,000人が参加した。
一方 神河町は悪天候も加わり参加者はさらに減って73人になった。
それでもランナーに町の良さを知ってもらおうと沿道に住民たちが繰り出し声援を送った。
給水ポイントでは特産品のゆずのスライス。
そしてシカやイノシシの肉などをふるまう。
「今日はどちらから?」
「岡山です。」
「それはご苦労さん。」
「書くエイド(給水所)でいろんなことをしてもらった。」
しかし課題も残った。
応援に参加したのは住民の一部で
声援が途切れる区間も少なくなかったのである。
(神河町 地域振興課 谷綛和人さん)
「これが300人以上の大会だったらどうだったのかと思っていた。
もっと地元のみんなに応援に参加してもらう大会にならないとだめだなと思った。」
全国各地で増え続けるマラソン大会。
専門家は
これから参加者の奪い合いがますます激しくなっていく
と指摘する。
(早稲田大学スポーツ科学学術院 原田宗彦教授)
「参加者のこれから肥えてくる目にどれくらい応え荒れるかが課題になる。
他のマラソン大会と差別化できるような
そういう楽しみ。
一番大事なのは地域のホスピタリティ(もてなし)。
本当に楽しくは知りながら地元の人の歓待を受ける
そういうマラソン大会は人気が廃れない。」