11月21日 経済フロントライン
京都を訪れる外国人観光客が高く評価するのが街の清潔さである。
(観光客)
「ゴミもたばこの吸い殻も落ちていない。
とても清潔でいいね。」
「信じられないわ。
ゴミ箱がないのにゴミが落ちてないなんて!」
この清潔さを支えているのは京都の市民である。
日曜日の朝 市役所の前に集まった3,400人。
ボランティアで清掃活動を定期的に行っているのである。
(清掃に参加した市民)
「観光客も結構多いので
街の人もきれいにしようという意識が高い。」
「隣近所 自分の家の周りはきれいに
門を掃くというんですかね
そういう風習は昔からあった。」
京都には通りなど公共の場所を住民が自主的に掃除する門掃き(かどはき)という伝統がある。
京都市はこの伝統を生かして市民ぐるみの清掃を18年前から続けている。
(京都市産業観光局 牧澤憲計画推進係長)
「清潔さが
旅行に来られた方に環境も含めてのおもてなしになっている。
京都の強みはどんどん伸ばしていかないといけない。」
京都では伝統に新しい工夫を加えることで観光客をひきつけている。
日本画などに使われる顔料の店で人気を呼んでいるのがマニキュア。
材料は日本がの絵の具に使われる胡粉。
胡粉(こふん)はホタテの貝殻から作られるため
肌にやさしく科学薬品の匂いもしないと人気を集めている。
色の種類は鶯緑や京紅など江戸時代から伝わるもの。
海外の雑誌にも取り上げられ
それを見て店を訪れる外国人観光客も多いという。
(観光客)
「けさ何色か買ったんだけど別の色も欲しくてまた来ちゃった。」
このマニキュアを開発したきっかけは日本画を描く人が減り絵具の需要が激減したことだった。
(上羽絵惣 石田結実取締役)
「何かしなければこのまま衰退していく。
いま必要とされるものに商売の方が変化していくことが大事。」
蔵の中で眠ったままになっていた伝統の品を使った新たなビジネスも生まれている。
西陣織の加工に携わる高橋聖介さんは100年前の原画を発見。
コンピューターに取り込み
デザインはそのままに色をポップに変えることで現代的にアレンジした。
これを様々な素材にプリントしてポーチや手鏡など女性用の小物として売り出したところ
観光客を中心に年間10万個以上売り上げるヒットとなった。
(高橋練染 高橋聖介社長)
「古いものの良さを知りながら
それを現代の形に変えていくアレンジ力は京都人ならでは。」
伝統の技を持つ様々な業種の人たちが協力して新たな魅力を生み出す取り組みも始まっている。
11月1日 太秦映画村で行われたイベント。
寺などの内装を手掛ける表具師が作った障子に
現代アートの作家が絵付けするコラボ。
異なる伝統の味を組み合わせた新しい料理もふるまわれた。
湯葉と鯖寿司の鯖、懐石料理をかけた椀物。
普段見られない老舗の競演に2日間で1千人が訪れた。
(観光客)
「オーストリアの食べ物とはだいぶ違うけどおいしい。」
「ふだんは敷居が高いのであまり行けないけど
こういうところだったらいただけるので楽しみ。」
イベントの中心となったのは京都の伝統を受け継いできた老舗の若旦那たち。
西陣織や竹細工などいずれも100年以上続く名店である。
京都の魅力は先人たちが常に新たな挑戦を続けてきたからこそ続いてきた。
(西陣織「細尾」 細尾真孝取締役)
「伝統のものって実は挑戦を続けてきている。
挑戦を続けて変わり続けているからこそ今伝統と言われている。
仕事は先代からの預かりものだと思っている。
それをどうつなげていくか。
この先100年200年続けていくためには挑戦して新しいマーケットを勝ち取っていく。」