12月8日 キャッチ!
経済発展を続けるインドではこれまで中間所得者層が毎年10%近くのペースで拡大してきた。
この中間層をターゲットに新たなサービスを提供するベンチャー企業には世界から投資が相次いでおり
今年のベンチャー企業への投資は総額で約6,000億円。
去年の2倍にも達するほどの勢いである。
最近ではソフトバンクの孫正義社長が今後10年間でインドのIT企業に1兆円前後の投資をする考えを示している。
これまで買い物は露店やなじみの商店を利用するしかなかったインド。
しかし所得の向上により中間層の人たちの生活スタイルは大きく様変わりしている。
そのカギとなるのがスマートフォンなどのインターネットサービスである。
今では買い物や食事の注文なども簡単にできるようになった。
最も人気のサービスはネット通販。
通販サイト「フリップカート」は毎日1千万人が閲覧している。
運営するのは2人の社員で始めたベンチャー企業。
今年はアメリカのファンドから860億円の投資をうけ事業を拡大している。
「買い物は全部オンラインよ。
化粧品も服もアクセサリーも全部揃っちゃうの。」
巨大市場で成功を収めようと外国に住むインド人が相次いで帰国。
今インドは企業ブームに沸いている。
インドで中古車を購入するには慎重さが必要である。
販売会社が車の走行距離や事故歴などを偽るケースも多く
消費者は安心できないまま購入せざるを得なかった。
そこであるベンチャー企業が打ち出したのが情報の明確化による顧客の安心感である。
サンディープ・アグラワルさん(42)。
マイクロソフトのビル・ゲイツ氏とも働いていた経験をもとに
アメリカから帰国して会社を起ち上げた。
インドで初めての中古車の売買を仲介するサイトやアプリを運営している。
売り手がどの程度信頼できるのか
10点満点で点数をつける。
車検や保証がなければ点数が低くなり
他の売り手との差は一目瞭然である。
さらに過去の統計からモデルや製造年などに応じて適正価格を提示する。
顧客のニーズを見事にとらえ
毎月の売り上げは1年前の設立当初と比べると500倍の5億円に急増。
社員も社長1人から120人になった。
インドはサービスがまだ未発達でアイデア次第で大成功が収められると話すアグラワルさん。
カギとなるのは顧客からの信頼だという。
(アグラワルさん)
「インドは伝統的に売り手と買い手の信用が低い市場だ。
しかし一度信頼を得れば巨大ニアビジネスを作り出せる。」
インドのベンチャー企業はいま世界の投資家の注目の的になっている。
シンガポールを拠点にアジアや日本の企業に投資するベンチャーキャピタル ビーネクスト代表 佐藤輝英さん(40)。
自らも日本有数のネット通販の会社を起ち上げた。
インドには他の国には無いベンチャー企業が成功する下地がそろっているという。
(ビーネクスト代表 佐藤輝英さん)
「人口と携帯の普及率と外国からの投資が入ってきて
次の10年 15年延びるのは間違いなくインド。」
佐藤さんの会社がアジア各国から集めた資金は70億円に達するが
そのうちの半分をインドに投資しようとしている。
佐藤さんは家具のレンタルをオンラインで展開するベンチャー企業の社長と面談。
その将来性を探った。
新たなサービスが次々と生まれているインド。
佐藤さんは今後も急速に発展し続けるであろうその可能性に大きな弥勒を感じている。
(ビーネクスト代表 佐藤輝英さん)
「インドのポテンシャルは何百倍になる可能性がある。
それを想像するとワクワクする。」
12月8日 おはよう日本
ホテルが集中している札幌の中心部。
客室が288あるホテルも毎日のように発生する空き部屋に悩んでいる。
その原因は宿泊日を前にした大量のキャンセルである。
11月上旬 問題となっていたのは13日金曜日の宿泊。
週末 ホテルにとっては多くの集客が見込まれる。
一時はすべての部屋が予約で埋まったが
9日前 突然のキャンセルで12の空き部屋が生まれた。
その2日後には21にまで増えた。
空き部屋を埋めるためにキャンセル待ちの客に1件1件電話をかける。
日程が迫っていたため多くの客はすでにほかのホテルを予約。
最終的に13日当日は空き部屋は40に達した。
(メルキュールホテル札幌 営業部長 水野俊平さん)
「間際でキャンセルになった場合に関しては再販する期間がどうしても短くなるので
リスクがホテル側にはあります。」
こうした事態はなぜ起きているのか。
創業81年の老舗ホテルでも最近大量のキャンセルが生まれている。
原因はインターネットによる予約システムにあった。
通常 ホテルの予約は団体客向けと個人客向けに分けられる。
団体客向けは主に旅行代理店が確保。
外国人観光角の増加にともないすぐに完売することが多くなっている。
そこで本来は個人客向けのネット予約に国内外の代理店が殺到しているのである。
いま担当者が気になっている予約がある。
12月29日の宿泊を23人分13室押さえている。
宿泊者名の欄にはすべて同じ記号のような文字が並んでいる。
予約されたのは宿泊日の3か月以上前。
インドネシアからだった。
ホテルでは宿泊者名を知らせるようにメールで問い合わせているが返信は無い。
こうした仮押さえされた大量の予約が直前にキャンセルされることが増えたため
多くの空き部屋が生まれているのである。
なぜ直前にキャンセルするのか。
中国の旅行代理店からの依頼でホテルの予約やキャンセルを請け負っている日本人の男性。
(中国向け旅行代理店の社員)
「訪日に対してやはりビザの基準が厳しいところもあるので
申請が落とされたりしたら当然日本に来られないので
ツアー自体が催行中止になったりキャンセルしたりというケースはあります。」
さらに顧客との信頼関係に基づく日本独特の予約システムが直前の大量キャンセルを招いていると言う。
海外のホテルでは予約の段階で
客にクレジットカードの番号を登録させたり
一定額を前払いさせたりするケースが主流である。
しかし日本のホテルではそこまで求めることはほとんどない。
さらにキャンセル料金が発生する期間も
海外は1週間ほど前からなのに対して
日本は前日や2日前が多い。
直前のキャンセルは日本の商取引の常識からは外れているが
海外流のやり方に合わせざるを得ないと言う。
(中国向け旅行代理店の社員)
「中国の代理店自体もネットで取ってきているので
日本の商取引のマナーなんか考えませんから
お客さんが来なくなったら予約を落とす
それだけなんですよ。
悪びれる感じはないです。
結局ルールとしては認められているんですから
こちらもあまりいい思いはしないが直前のキャンセルをやったりします。」
直前のキャンセルに悩まされてきた老舗のホテル。
11月から宿泊のルールを大幅に変更することにした。
変更前と後のキャンセルの規定は
まず一般客の扱いを人数から部屋単位に変えた。
大量の部屋を一度に借り押さえられることを防ぐためである。
さらに宿泊の2日前まで無料だったキャンセル料を7日前から徴収することにした。
これまで日本の顧客との信頼関係の上に成り立っていたルールを見直したのである。
(札幌グランドホテル宿泊支配人 山本幹さん)
「本当に泊まりたい方々が泊まれなくなるような状況を避けるための1つが既定の変更であった。
今回は外国の方とか文化の違う方もいらっしゃるので
そこははっきり分かっていただく意味では大切だと思う。」
今後まずまず増える外国人観光客。
専門家は国際基準に合わせたルール作りが重要だと指摘する。
(立教大学 観光学部 玉井和博特任教授)
「全く違った社会週間・商習慣の国の人がどんどん来るようになりありがたいことだが
日本はガラパゴス化しているからグローバルスタンダードに追い付いていない。
ちょうどいま端境期ですよね。
早急にいろんな議論を重ねないといけない。」