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京都企業 強さの秘密を探る 

2015-12-10 07:30:00 | 経済フロントライン

 11月21日 経済フロントライン

10月に開かれた国内最大の家電見本市。
村田製作所
隊列を組み一糸乱れぬ動きをする10体のロボットに来場者の目はくぎ付け。
オムロン
ボールの動きを瞬時に予測して自在に動く卓球ロボット。
京セラ
世界で初めて海中での撮影を可能にしたスマートフォン。
ローム
空飛ぶ折り鶴。
これらの製品を開発したのはすべて京都の企業である。
そこには時代の一歩先を見つめながらものづくりに挑み続けてきたベンチャースピリットがあった。

9月に発売し世界的なヒットとなっているアップルのスマートフォン。
そこに800もの部品を供給している会社が京都にある。
売り上げ 1兆円
大手電子部品メーカーの村田製作所。
主力製品の積層セラミックコンデンサーは大きさわずか0,1ミリ。
高速通信の安定性に欠かせない基幹部品である。
年々薄くなるスマートフォンに対応して小型化を進めた結果世界シェア35%を取るまでになった。
強さの秘密はまずスピード
毎年のようにモデルチェンジするスマートフォンに対応できるよう
部品を製造する機械のほとんどを独自に開発。
製品の原料も一貫して自社で生産している。
開発から量産に至るまでのスピードは10年前の2倍。
売り上げのうち新製品が占める割合は40%にのぼる。
競争が激しい業界の中でトップを独走している。
(村田製作所 第4セラミック製道部 川上英二シニアマネージャー)
「素材から作ることによってかえってスピードを上げることができたりお客様の要望に素早くこたえることが出来る。
 そういうことが可能になると考えている。」
創業したのは太平洋戦争のさなか。
戦後 電子機器の需要が高まると見込んだ創業者は電子部品の開発の乗り出した。
ラジオや魚群探知機、携帯電話など
いち早く時代のニーズを見定め
それに合わせた新たな製品を次々に開発していったのである。
そんな村田製作所がいま力を入れているのが医療分野への参入である。
ベッドに取りつけるだけで人の体から伝わる心拍数などが計測できる装置。
高齢化が進み医療機器の需要が高まるなかで
そこにも自社の技術が生かせると踏んでいる。
(村田製作所 宮本隆二執行役員)
「自動車 ヘルスケア・メディカル エネルギーに
 将来入っていけるように準備する。
 電子機器を使った何かから市場が起きたら村田として入っていけるなと思っている。」

京都企業のもう一つの特徴はチャレンジ精神にとんだ社風である。
計測機器を製造する堀場製作所。
自動車の排ガスに含まれる二酸化炭素や窒素化合物などの排出量を測定する装置で世界シェアの80%を誇る。
今年7月に90歳で亡くなった創業者の堀場雅夫さん。
社是に選んだ言葉は「おもしろ おかしく」。
学生起業家から出発して
当時誰も参入していなかった計測機器の分野でチャレンジを続けてきた堀場さん。
自らの人生哲学を表す言葉だった。
(平成12年 堀場雅夫さん)
「おもしろおかしくなかったら人間って最終的にエネルギー出ない。
 これは私の人生やと思うような仕事をやった時に最大限のエネルギーが出る。
 その能力の最も近いところにそういう仕事を与える。
 経営の一番大事なところだと思う。」
この「おもしろおかしく」の精神は息子の堀場厚社長に受け継がれている。
堀場さんが何より大切にしているのが
15年前から毎月欠かさず開いている社員の誕生日会。
この日は11月生まれの140人を祝った。
社員1人1人の要望を直接聞き自分の考えを伝えることでチャレンジすることを後押ししているのである。
「今 一番悩みは何や?」
「次はもっと海外で仕事がしたい。」
「僕らは環境は提供できるけど
 それを実際生かすかどうかはあなたたち。
 自分で肌感覚で理解しないとわからない。
 それで経験して成功したら自分のものになって自信になる。
 だから次のステップへ行ける。」
“人材こそ財産”と言う堀場さん。
おもしろおかしく働くことのできる環境が堀場製作所の躍進を支えている。



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