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“地図”めぐり加熱する国際競争

2015-12-07 07:30:00 | 報道/ニュース

11月20日 おはよう日本


人に代わって車が周囲の状況を判断して自動運転。
車線変更まで自ら行う。
いま世界中で開かれているモーターショーで
自動車メーカーがこぞって自動運転の技術をアピールしている。
自動運転車には
周囲の車のスピードや信号の変化などを読み取るためのカメラやレーダー
そしてそれらの情報を解析して判断するための人工知能が搭載されている。
しかしこれだけでは自動運転の車は走ることができない。
そこで必要になるのが地図データ
地図データは例えば車線の幅
カーブの曲がり具合
信号の位置など道路のあらゆる情報が盛り込まれたもの。
その地図の開発をめぐって世界でし烈な競争が繰り広げられている。

自動運転のカギを握る地図とはどんなものなのか.
地図を開発している企業。
特徴はカーナビをはるかにしのぐ膨大な情報量。
たとえば道路わきの縁石の高さは1cm単位で取り込む。
(自動運転の地図メーカー 佐藤直人部長代理)
「ここから先 車は行ってはいけない。
 この先 歩道という境界線。
 これを知っていると車は『そこから先に行くな』と認識できるので
 車が歩道に乗り上げるのを事前に防止するのに使うことが出来る。」
他にも道路のこう配やカーブの半径
さらには側溝にふたがあるのかどうかまで
ドライバーが運転中に目にするあらゆる情報が埋め込まれている。
この地図は特別な車両を使って町全体を3次元にデータ化して作られる。
車両のセンサーが車線や電柱、ガードレールなど360度写し取る。
車線の数や幅も細かく記録している。
そして得られた画像データを集積。
すると街並みを丸ごとコピーしたデータが出来上がる。
これを車がどう走ればいいか判断するための材料に加工する。
車線の中央を割り出す作業。
道路上に見えないレールを敷くことによって
人が運転するのと同じように正しい位置を走れるようになる。
(自動運転の地図メーカー 佐藤直人部長代理)
「自動運転には地図は不可欠。
 キーテクノロジーとして注目されている中
 非常に市場性は今後 高い。」
今この地図データをめぐって世界中が開発にしのぎを削っている。
10月に東京で開かれた自動運転国際シンポジウム。
各国から集まったのは自動運転に携わる開発者たち。
そこで出されたのは別々に地図の開発を進めるのではなく
何らかの基準を設けるべきだという意見だった。
「各国に呼び掛けて地図技術の基準をどう定めてくのか話し合いたい。」
現在 地図にどこまで精密な情報を盛り込むかなどの国際的な基準はなく
世界各地の交通事情によって地図の企画に差があるのが現状である。
これをどのように統一するのか。
主導権争いが始まっている。
自動運転では使用する地図に合わせてそれをどう読み込むかというクルマ側のシステムも決まる。
日本と異なる企画の地図データが世界で普及してしまうと
外国に車を輸出するときシステムの修正が必要になってしまう。
国内で生産している車の半数を輸出する日本にとっては大きな負担につながりかねない。
(日本デジタル道路地図協会 柴田潤特別研究員)
「追加のコストが発生すると車の値段が上がり競争力が下がる。
 自動車メーカーも国としても困る。
 カーメーカーが衰退することにつながる。」
主導権を握ろうといち早く仕掛けたのがドイツである。
BMW、DAIMLER、 Audiの大手3社が共同で世界最大級の地図メーカーの買収を決めた。
ドイツ ベルリンを拠点に世界各地に200の事務所を持つ地図メーカー。
北米や欧州を走る車の8割がこの会社の地図を使ったカーナビが搭載されている。
世界規模で蓄積した膨大なデータとノウハウ。
これを生かして自動運転向けの地図作りに動き始めた。
世界を代表する自動車メーカーと地図メーカーがタッグを組んだのである。
(ドイツ 地図メーカー クリストフ・ヘルミス副社長)
「ドイツの自動車メーカーは様々な技術革新を行い世界のトップを走ってきた。
 そうしたメーカーのもと我々は世界の自動運転地図の開発をリードしていく。」
地図開発で遅れは許されない。
日本でも国を挙げての対策が始まっている。
去年 内閣府に自動運転の特別プロジェクトを設置。
得意とする技術力を武器に世界の基準となる地図作りに乗り出した。
集まったのは自動運転の地図メーカー。
そして自動車メーカーや電機メーカー。
経済産業省や警察庁などの官庁も加わりオールジャパンの体制を整えた。
日本が目指すのは
精密な地図データに通信技術を融合させさらに高度化させた地図。
周りの車の位置や工事の場所
信号の変化や渋滞などをリアルタイムで車に配信。
こうした技術で国際競争に挑もうとしている。
(名古屋大学 高田広章教授)
「自動車は日本のいちばん大事な産業。
 国際競争力を保てるよう海外の企画と整合し
 日本の優位性を出していく。
 そういうことを考えながらやっている。」




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