8月11日 編集手帳
歌詞のなかに季節を特定する言葉はないのだが、
口ずさむのは夏の宵が多い。
坂本九さんの歌った『見上げてごらん夜の星を』(詞・永六輔、曲・いずみたく)。
九さんの悲劇的な死がその季節だったからだろう。
あす12日は日航機の墜落事故(1985年)で亡くなった九さんの命日にあたる。
その深夜から翌日未明にかけて、
3大流星群の一つ「ペルセウス座流星群」が見ごろを迎える。
天候が許せば見上げてみたい星である。
見上げたくもない、
禍々(まがまが)しい星もある。
「火星12」は北朝鮮の中長距離弾道ミサイルである。
日本の頭越しに米国グアム島周辺へ4発を同時発射する作戦を「8月中旬までに完成させる」という。
トランプ大統領は大統領で、
「(米国を脅せば北朝鮮は)世界が見たこともないような炎と怒りに直面する」と警告している。
過激な言辞の応酬は外交による解決を遠ざけ、
“核には核”の抜き差しならぬ事態に互いを追い込むだけだろう。
九さんは歌った。
♪ ボクらのように名もない星が
ささやかな幸せを祈ってる…。
流れ星に祈る言葉は、
〈平和〉の一語をおいてほかに浮かばない。