8月1日 キャッチ!
ソーシャルメディアを駆使し“ツイッター大統領”と呼ばれることもあるトランプ大統領。
ツイッターのフォロワーは3,400万人以上。
トランプ大統領が投稿するたび
その投稿を引用して発信するリツイートや投稿に賛同する“いいね”はまたたく間に膨れ上がり
影響力の大きさがうかがえる。
しかしこれら大統領の発信に反応する投稿を注意深く見ていくと
まるで機械のような動きを見せるアカウントが浮かび上がってくる。
アカウントAは
アカウント作成してから2年間で投稿が8万回以上。
1日100回以上投稿している計算になる。
投稿が65万回を超えるアカウントBは
トランプ大統領をはじめ保守系メディアの投稿にも内容にかかわらず機械的に反応している。
これらのアカウントは
特定の投稿者の投稿にロボットのように反応してリツイートや“いいね”をするようにプログラムされた
通称“BOT(ROBOT)”である可能性がある。
ボットの主な特徴は
プロフィールは一見実在するユーザーに見えるが
アカウント名は機械がランダムに選んだかのような数字とアルファベットの羅列。
実はプログラミングでロボット化されたアカウントである。
ボットは一般のユーザーに向け同じテーマを数分間隔で投稿。
24時間これを繰り返し続ける。
3億を超えるツイッターのアカウントのうち最大で15%にあたる約5,000万がボットとみられるという
アメリカの大学の調査結果もあり
存在が無視できなくなってきている。
そしてこのボットの影響力が危険視されるのが
偽の流行を生み出すときである。
7月にトランプ大統領が動画を投稿したあと
ツイッターでCNNを批判する投稿が急増した。
これらの投稿には“CNNBlackmail”というキーワードが付けられていた。
これはハッシュタグと言われるもので
ツイッターのユーザー同士が投稿を共有する際に目印として使う。
投稿の中には“CNNはISだ!”などと根拠なく批判するものもあり
その多くはボットによって無数に発信されたと見ている。
NHKの分析では
投稿が始まって3日間で
#CNNBlackmailが付いた投稿が120万件まで急増していたことが判明した。
ツイッターでは同じハッシュタグが付いた投稿が繰り返されると
流行を意味する「トレンド」であるとみなされやすくなる。
今回は何物かがボットで投稿を拡散し
CNNへの批判があたかも一般的に高まっているかのような
偽のトレンドを作り上げる狙いがあったとみられる。
ボットの使用について専門家からは対応を求める声があがり始めている。
オックスフォード大学の研究グループは
去年のアメリカ大統領選挙について
180万にのぼるツイッターのアカウントの分析やユーザーへの聞き取り調査を行った。
その結果
政治団体だけでなく個人までもがボットを用いて
不正が行われているという陰謀論から候補者への誹謗中傷を拡散していたと指摘する。
(オックスフォード大学 サミュエル・ウーリー研究部長)
「私たちはフェイスブックやツイッター、インスタグラムから情報を得ていますが
有害情報やデマが充満する現状を変えなければなりません。」
一方
ボットの利用は市民の権利だと主張する人たちもいる。
ITエンジニアのマーク・プレイシックさん。
プレイシックさんはボットを使ったサービスを無料で提供。
ツイッターのユーザーが“中絶反対”など保守的な主張を訴える投稿を
1日100件まで自動で発信するのを代行している。
現在このサービスの利用者はわずか470人である。
しかしそれぞれのユーザーが
たとえば“中絶反対”に関して一斉に投稿すると
それを目にする可能性のあるユーザーは数百万人以上に膨らみ
ネット上に自分たちの主張を広げることができると言う。
大手メディアは市民の声に耳を傾けることはない。
これが自分たちの声を拡大する最適な手法だと考えている。
(ITエンジニア マーク・プレイシックさん)
「批判する人も多いでしょうが
憲法にある政治参加の権利を行使したいだけです。
ツイッターは私たちの主義や主張を社会に示す手段を与えてくれたのです。」