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2020年に向け つかめビジネスチャンス

2017-08-13 06:30:00 | 報道/ニュース

7月20日 おはよう日本


スポーツの祭典オリンピック・パラリンピック。
いま開催に向け各地で進む建設ラッシュ。
選手村で必要な1,500万食分の食材。
オリンピックの経済効果は30兆円ともいわれ
そのビジネスチャンスをつかもうと
参入に向けた説明会には多くの企業が押し寄せている。
しかし企業に求められるのは製品やサービスの質だけではない。
参入するにはオリンピックならではの厳しい条件が課せられている。
その条件というのが“企業の社会的責任”である。
製品やサービスの質だけでなく
自然環境への配慮ができているかや
工場で働く人たちの労働条件は整っているかなどが
きびしく求められる。
こうした条件を満たしていなければオリンピック関連の業務への参入が許されなかったり
すでに契約を結んでいたとしても解除されたりする。
日本の企業はビジネスチャンスをつかめるのか。

食の分野でオリンピックのチャンスをつかみたい。
農業が盛んな宮崎県にある農業法人。
生産する主力のサツマイモをオリンピックの選手村の食材として提供し
海外との取引を広げていきたいと考えている。
ただしそのためには大会組織委員会が提示した条件を満たしていなければならない。
GAP良い農業のやり方を意味する農産物の認証制度
ood     よい
gricultual 農業の
ractice   やり方
この認証制度は農産物の安心・安全だけでなく
自然環境や働く人の健康などにも配慮しているかどうかを評価するものである。
ヨーロッパでは広く知られた制度で
こうした細部にわたる条件をクリアしなければオリンピックに農産物を売り込むことはできない。
(農業法人 取締役専務 荒川恭平さん)
「東京オリンピックに向けて選手村にサツマイモを納品したい。
 そのためにGAPを2020年までに取得完了したい。」
どのくらい条件を満たせているのか。
GAPの取得を支援するコンサルタントから指導を受けた。
(コンサルタント)
「この水はどこから流れてきている?
 どこの川?
 上流に何かある?
 工場とか。
 今みたいなことを書いていく。
 上流の川の周りの工場がなければオイルだったり汚染する可能性がない。
 ここの水は大丈夫だと言い切られれば大丈夫。」
働く人の健康管理にも配慮が必要である。
農薬が人に害を与えないよう対策ができているかチェックされた。
(コンサルタント)
「この農薬庫は木造なのでアウト。
 木は農薬を吸い込みやすい。
 入った瞬間に農薬の臭いしかしない。
 農薬を使う人の体のことを考えないといけない。
 GAPというのは労働者のことも考えないといけないので。」
思ってもいなかった指摘を受け
オリンピックのハードルの高さを実感した。
(農業法人 生産担当者 清本春樹さん)
「勉強しながら学んでいかないとダメなのかなと思う。」
さらにもう1つ難しい課題に直面している。
この会社では地元の農家からもサツマイモを買い取っている。
そのためそれぞれの農家にも審査を受けてもらう必要がある。
そこで農家に集まってもらい説明会を開いた。
GAPでは農薬の使い方をはじめあらゆる生産工程の記録が求められるが
長年の経験に頼ってきた農家はそうしたことに慣れていない。
(農家)
「難しいを飛び越える。」
「すべての記録をつけていくことは負担が大きいかなと。」
サツマイモを保管する貯蔵庫でも。
(農業法人)
「空コンテナどのように管理しているのか
 どのように洗っているのか。
 そういうところもたぶん出てくると思う。」
オリンピックへの参入は決して簡単ではないが
なんとかGAPを取得してチャンスをつかみたいと試行錯誤を続けている。
大手企業にとってもオリンピックのチャンスをつかむのは簡単ではない。
大手電機メーカーの日立製作所。
生産する監視カメラなどのセキュリティー機器の需要がオリンピックで大きく伸びると期待されている。
しかし組織委員会が定めた基準では
製品をおさめるためには品質だけではなく
製造に関わる全ての現場で従業員が不当に働かされていないかなど
30項目余りに及ぶ条件が定められている。
製品ができるまでは下請けや孫請けさらにその先まで
何段階にもわたり多くの企業が関わっている。
その中には直接取引をしていない海外の工場などもある。
直接関わりがない現地の工場であっても
長時間労働や不当な低賃金などの問題があれば日立の責任が問われ
オリンピック関連業務の受注ができなくなってしまう。
過去には苦い経験もあった。
2011年
マレーシアの下請け工場で働く移民労働者が
賃金の差別があると主張。
それがネットを通じて広まり
世界各地で日立の責任を問う声が高まったのである。
今年1月
多くの生産工場のある中国に担当者を派遣し
下請け企業に対して説明会を開いた。
日立が特に強く訴えたのは
従業員の働き方や待遇に関することだった。
(日立製作所 担当者)
「労働時間が法定時間を超えている。
 給料が法定どおりに支払われていない。
 こういうところを重点的にチェックしていただけたら。」
中国咸陽市にある下請け工場を訪ねた。
この工場は説明会で労働環境の改善を求められていた。
朝8時半から夕方5時半までの勤務が基本だが
帰る人はほとんどいない。
生産量を増やすために現場では残業が当たり前となっていた。
(従業員)
「仕事の量が多いから5時半には終わらない。」
「納品に追われているの。」
残業をなくすために人を増やそうとすれば工場にとって大きな負担となる。
(生産部門 責任者)
「10人の部署だが
 12人か13人でやれば従業員の負担は減る。」
(社長)
「それはダメ。
 そんなことをしたらコストがかかり過ぎる。」
こうした下請けの実態を把握しどう改善を進めていくか。
日立は大きな課題だと考えている。
(日立製作所 CSR・環境戦略本部 荒木由季子本部長)
「人でもコストもかかるが
 日立グループ各社が世の中の流れにきちんと応えて事業ができるように
 常に見直し・ブラッシュアップをしていく。」


 

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