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愛され続けたウサイン・ボルト

2017-08-20 06:15:00 | 編集手帳

8月16日 編集手帳

 

 ギリシャ神話の女神に、
翼も凛々(りり)しいニケ(Nike=勝利)がいる。
ギリシャのサモトラケ島で発掘された「サモトラケのニケ」像を、
パリのルーブル美術館でご覧になった方もあろう。
頭部を欠いても美貌(びぼう)のしのばれる女神である。

彼女には
、ビア(暴力)、
クラトス(権力)というコワモテの姉妹がいたそうだが、
人気ではニケ様にかなわない。
スポーツ用品の世界的なブランドのほか、
ニコラス、
ニコルといった人名にもその名をとどめている。

勝利の女神といえば、
移り気で、
気まぐれないたずら好きと相場が決まっている。
これほど愛されつづけた人もめずらしい。

陸上の男子短距離、
ウサイン・ボルト選手(30)(ジャマイカ)が現役を引退した。
金メダルは五輪8個、
世界選手権11個。
100メートル9秒58。
“人類最速の男”の伝説は天に向けて弓を引くポーズと共に、
人々の記憶のなかで輝きつづけるに違いない。

昨年のリオ五輪が終わった頃、
「読売歌壇」に載った一首を切り抜いてある。
〈十字切りウサイン・ボルトが仰ぐとき神はこの世にいるとおもえり〉(館山市・山下祥子)。
ニケ様だろう。


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