7月21日 国際報道2017
フィリピンの首都マニラで開かれた食品加工の技術などを紹介する展示会。
多く出展していたのがフィリピンが世界有数の消費量を誇る米の関連ビジネスである。
米どころ新潟から進出を図る食品メーカーの江川清貞さん。
初めての海外展開で売り出すのは
たんぱく質を通常の10分の1以下に抑えた“低たんぱく米”である。
そのねらいは
「もう何年も糖尿病だよ。」
「高血圧に糖尿病
コレステロールとかね。」
フィリピンでは経済成長で食が欧米化し
糖尿病などが原因で腎臓の機能が低下する腎臓病の患者がこの10年で3倍に急増。
新たな国民病になろうとしている。
腎臓病の治療には食事制限を控える食事制限が必要なため
江川さんはそこに商機を見出したのである。
(食品メーカー社長 江川清貞さん)
「フィリピンでは“低たんぱく食事療法”を必要としている。
それで思い切って海外に挑戦しようと。」
半年前からマニラ近郊の工場で低たんぱく米の製造を始めた江川さん。
中に入っているのは乳酸菌である。
原料となる米に加えて発酵させると
たんぱく質が分解され
低たんぱく米ができ上がる。
一見単純なように思えるが
実は乳酸菌は温度管理などがすごく難しい。
そのためノウハウを持つのはこの会社だけだという。
ただ現地での事業展開には思わぬ課題も。
「日本と違うのは原料の米。
こちらの米を使っているので
非常に汚くて割れているし石が入っている。」
どうすればいい米が手に入るのか。
有望な農家がいると聞き
工場から100キロ離れた村を訪ねた。
収穫直前の米を入念にチェックする。
品質に満足し笑顔がこぼれた。
「おもしろい。
品質はいいと思いますよ。」
さらにコストも今の仕入れ先の半額以下。
今後の量産化に向け弾みがついた。
経済成長著しいフィリピン。
その社会の変化をつぶさにとらえ
ビジネスチャンスをつかもうとする動きが加速している。
(食品メーカー社長 江川清貞さん)
「アジア市場の方が加速的に発展していくだろう。
低たんぱく米をフィリピン国内にしっかりと定着させ
海外マーケット獲得のため
フィリピンを拠点に展開していきたい。」