7月26日 キャッチ!
G20サミットで地球温暖化対策を主要な議題とした議長国ドイツのメルケル首相。
しかし
(ドイツ メルケル首相)
「残念ながら合意には至らなかったが
それを隠さず共同宣言に明記した。」
パリ協定から脱退したアメリカの立場を変えることはできず
メルケル首相はアメリカ抜きで地球温暖化対策を進めていくことを表明した。
国際協調の場で際立つアメリカの孤立感。
ドイツではトランプ政権の方針に反発が広がっている。
ドイツ西部の8,000人が暮らす町 ザーベック。
環境対策を積極的に推進する自治体として知られ
2030年までに温室効果ガスの排出を事実上ゼロにする野心的な目標を掲げている。
町のエネルギーパークには風車や太陽光といった再生可能エネルギーの発電施設が集まっている。
町の約400世帯が出資する風力発電に加え太陽光パネルも導入し
町全体で必要とされる電力の3倍以上を発電している。
余った電力を近くの自治体に売ることで
多い年には年間80万ユーロ(約1億円)以上の利益をあげている。
環境対策は新たな雇用も生み出している。
この町にある風力発電の風車などに使われるガラス繊維や炭素繊維を作る企業。
世界各地への輸出も好調で業績は右肩上がりである。
工場で働く従業員もこの2年で120人増加。
さらなる雇用の拡大も計画している。
温暖化対策に力を入れてきた町長のロースさん。
“温暖化対策は利益を生まない”というトランプ大統領の主張は間違いで
国際社会はアメリカ抜きでも温暖化対策を進めるべきだと考えている。
(ザーベック ロース町長)
「再生可能エネルギーから利益が出るのは
町の経験から証明されています。
トランプ米大統領がずっと続くわけではないですから。」
国民の間ではトランプ政権に対する不信感も広がっている。
6月行われた世論調査では
アメリカが信頼できるパートナーだと答えた人は21%にとどまり
去年11月の3分の1に減少。
ウクライナ情勢をめぐって対立するロシアへの信頼と同じ水準である。
メルケル首相はこうした国民感情を考慮してか
名指しは避けながらもトランプ大統領への批判を強めている。
(ドイツ メルケル首相)
「世界の問題を
孤立主義や保護主義で解決できると信じるのは大きな過ちだ。」
アメリカとの関係がぎくしゃくする一方
メルケル首相が強調しているのがヨーロッパの結束である。
イギリスがEUヨーロッパ連合からの離脱に向けた交渉を進めるるなか
とりわけフランスのマクロン大統領との協力関係を重視している。
(ドイツ メルケル首相)
「フランスにマクロン政権が誕生したので
独仏関係をさらに活性化させていく。」
(フランス マクロン大統領)
「メルケル首相とともに
ヨーロッパの利益を守っていく。」
9月24日に連邦議会選挙を控えるメルケル首相。
ドイツ国民の間では首相の実績と安定感に期待する声が強まっており
反トランプ感情も相まって4期目への追い風となっている。