箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

子どもは権利の主体

2022年01月25日 08時04分00秒 | 教育・子育てあれこれ
不登校とみなされる児童生徒は、2020年度で19万人を越え、今までで最多になりました。

児童生徒数全体は減っているのに対して、学校に行けない児童生徒の数は増えていますので問題は深刻さを増しています。

その増加の理由の一つとして、文科省は新型コロナウイルスの感染拡大をあげています。

制限が多い学校生活が、大人が想像する以上に子どもたちには重くのしかかっています。

休校した分の授業の遅れを取り返すためのカリキュラムの過密化(2020年度)、マスクをつける学校生活、学校行事の中止・変更、部活動が思う存分できない、全員が前を向いて話さずに給食をとる・・・。

制限のある学校生活でも、対応できる柔軟さをもつ子ども多いですが、自由に人と話せない、思う存分活動できないなど,学校生活全般にわたる制限が重荷になる子どもがいます。

それが、子どもというものです。

家庭にも、不自由な学校生活を強いられる子どもの負担を受け止めきれないという課題もあります。

子育てがうまくいかないという課題は、コロナ渦の前から顕在化していましたが、コロナ渦が深刻さを加速させています。その際たるものは、子どもへの虐待です。

親がまわりから孤立していて、子育てに不安を感じることが多いことが虐待を深刻化させているという見方もできます。

民間団体の調査では、親が自分の生まれ育った市町村以外のところに住んでいる人が全国で7割をこえています。

この事実は、親の実家が遠くにあることが多いということを意味します。

それゆえに、子育てに実家の親の助けをあてにしにくいという傾向がみてとれます。

見知らぬ土地で実家に頼れず、手探りで子育てを多くの親がしているところに、今回のコロナ禍が重なっているのです。

このような状況に対して、NPOが運営する子育て支援サークルは、大きく貢献しています。


行政が運営する公的な子育て支援に参加するのには、けっこう気をつかわねければならないですが、民間のサークルなら気軽に参加でき、子育ての悩みを相談できたりします。

民間のNPO団体等は、行政の縦割り施策の弊害の隙間を埋めながら、柔軟に活動しやすいという「強み」があります。

コロナ渦のような場合には、子どもを保護するため、「全国一斉休校」のように大人の舵取りの施策や対策が優先されがちです。

しかし、すべてが大人本位でものごとを進めれば、そのしわ寄せは子どもにきます。

子どもの権利条約」は子どもを権利の主体と定めています。

日本が批准している意味をあらためて考えたいと思います。


「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」は、子どもの基本的人権を国際的に保障するために定められた条約です。 

この条約は、1989年の第44回国連総会において採択され、1990年に発効しました。

 日本は1994年に批准しました。 


子どもの権利条約が定める「4つの権利」

①生きる権利
子どもの命が守られ、健康かつ人間らしい生活を送ることができる権利です。


②育つ権利
子どもが自分たちの持つ才能を伸ばし、心身ともに健康に成長できる環境が整備され、保証される権利です。


③守られる権利
子どもがあらゆる暴力・虐待・搾取から守られ、幸福に生きられる権利です。


④参加する権利
子どもの意思が尊重され、他人の権利を侵害しない範囲で自由に発言や活動ができる権利です。

今一度、子どもは権利の主体であるという崇高な理念にたちもどり、大人本位の施策や事業に子どもの願いや意向が反映されるよう望みます。



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