Miaou:猫と一緒にフランス語

長い道のりを猫と共に行きつ戻りつ

「夏時間の庭」観てきた

2009-05-22 23:50:11 | 映画
夏時間の庭」観てきた。
14時半からの回を目指して有楽町に到着。

まだ時間に余裕があったので、以前からずっとずっと気になっていた「堂島ロール」を買う決心をする。
いつもフランス語レッスンのために銀座に行くころには、「本日分は売り切れました」の堂島ロール。
買うだけ買って、お店に預かってもらい、映画が終わってから取りに行く作戦。
三越地下1階の売り場にはざっと30人ほどの列。15分ほど並んで1本買った。

映画館に着いたら「2時半からの回、残り1席となります」と会場整理のスタッフの女性の声。私の前の女性で満員!なんということか! 堂島ロールで時間ロスしてしまった。 

映画後に待ち合わせをしている相手に連絡をとり、事情を伝え、16時45分からの回の指定席券を買って、さて、2時間近くどうやって時間をつぶすか・・・・。
別に買うものもないし・・・パッパとお金使ってる場合じゃないし・・・などとおもいつつ、とりあえずスタバへ。
本当はスタバ苦手です。年齢からくる開き直りで「冷たいカフェラテください」なんて平気で言えてしまう自分が悲しい(涙)
とにかくスタバではスターバックスラテしか頼めないわたし。なんとかフラペチーノとか、とにかく飲み物の名前が長くて無理。

2階に上がっていったら満席。下に下りて窓際のカウンター席に陣取り、外を通る人や車に目をやりつつもフランス語のお勉強。隣の若い子は数学やってる。後ろの方からはフランス語が聞こえてくる。何気に振り返ると女性3人。たぶんフランス人、話されているフランス語が、語学CDなどで聞きなれているフランス語アクサン(=つまりは標準語?)。

なんとスタバで1時間ほど過ごし、あとはゆるゆるとデパート巡り、本屋さんへも行ったりして映画の時間。

さて、ここからが本題。
「夏時間の庭」は、母親が遺した美術品と家の処分を巡っての2男1女の兄弟の物語。
母の暮らすパリ郊外の一軒家。門から玄関までの長いアプローチ、バラの咲く庭にテーブルを広げての家族での食事、大きな窓から光が差し込むアトリエにはアールヌーボーの家具。

母親は生前「私が死んだらここにあるものは3人で分けて、全部売っちゃって」と言った。長男は「この家には全員が愛着を持っている。美術品は子供に受け継いでいくものだ」と母親の言うことをまともに受け入れようとしていなかった。
しかし、いざ母親が亡くなってみると、遺産には莫大な相続税がかかることがわかり、美術品はオルセー美術館へ寄贈、家は売却となる。

兄弟3人のそれぞれの事情、母親の送ってきた生涯に対する思いが描かれる。

美術館への寄贈が決まった後に長男が言った「美術品は使われてこそ生きてくる。美術館に飾られていても生気を失っている」(というような内容)。
美術品が日常普通にある生活をしたことはないけれど、納得だ。
道具は使ってこそ価値がある。
ま、映画はそれが言いたかったのではないとおもうけど(汗)

しっとりと落ち着いた、よい映画だった。
ラストシーンでちょっと気になった部分があったけど。
「なんで、このシーンにこういう人を出すの?監督さん!」と思った。
それは観てのお楽しみ(ってほどでもないけど)かな?

テアトルシネマ@ホテル西洋銀座でやってます。
昼間の上映回より、夕方以降のほうが空いてます。



勢いで買ってしまった

2009-05-15 22:13:39 | 映画
ロクシタンのバラの香りハンドクリーム。
以前、takakoさんが勧めてくれた「ここぞというときの」ハンドクリームだ。
今のわたしにとっての「ここぞ」とはきっと、DELFの面接のときだろうなぁ。
よい香りで心を落ち着け、そのときに持っている力をできるだけ発揮できるようにと願いをこめて。


しかし、なぜ今日買ったのか、それも”勢い”で。

それは、久しぶりに劇場でフランス映画を観て、その上それがかなりよい映画だったことからくる、喜びに乗っての勢いだ。

何を観たのか。
ベルサイユの子」を観た。主演はギヨーム・ドパルデュ。
フランスの怪優とも名優とも言われている、ジェラール・ドパルデュの息子で、昨年37歳の若さで夭逝してしまった、その彼の映画を初めて観た。
父親が国民的俳優ということですごした屈折した青年時代、薬物にも手を出し、俳優をして軌道に乗ってきたときにオートバイ事故に遭い、片足を切断し義足をするという事態に至ってしまった。
俳優としてデビューした当時、映画広告のパンフレット(雑誌の特集だったか?)に載っている顔写真を見たときに「やっぱりお父さんに似てるよね~~。なんだかんだ言っても(彼が何をどうなんだかんだ言ったのかを、聞いたわけでも読んだわけでもなかったくせに)親の七光りだよね、こいつは」と独断を下し、私の中では、ジェローム・ドパルデュの息子のギヨームという認識以外の何もなかった。

しかし、つい最近の雑誌フィガロに紹介された「ベルサイユの子」という映画の中で、ホームレス役を演じている彼の写真を見たときに、えもいわれぬ逞しさ、落ち着き、奥深さのようなものをビビビっと感じてしまい、彼はとっくに親の七光りを乗り越えていたのね、これはぜひ観なければ!で、今日の映画鑑賞となったわけです。
ちなみに、金曜日はレディースデイで女性は半額の900円で観られる、すばらしい。

さて、映画についてだけれど、とにもかくにもラストシーンが・・・
このラストシーンを観たときに、頭に浮かんだフレーズは
La maternité est une fatalité?(結局は母性なの!?)だ。

ほらほら、つい最近、DELF講座の宿題で「La crise d'adolescence n'a rien d'une fatalité.」(反抗期は必然などではない)について、自分の意見を述べようとして玉砕したばかりのわたし、このfatalité(ファタリテ=必然のなりゆき、不可避性)が頭にこびりついているのだ。

映画の中でも、ホームレスの子連れの母親が、公園のベンチでたまたま拾い読みした新聞記事のタイトルが、Le chômmage n'est pas une fatalité(失業は避けられないものではない)だった。

フランス人ってfataliéがすきなの?(笑)

さて、来週の金曜日も映画鑑賞。次の映画は「夏時間の庭」でござる。





エルメスも

2009-02-23 20:12:31 | 映画
恨めしや~~~と、お腹だして寝ることがあるのです。



部屋干しした洗濯物のそばに寄り添ってこっちを見てるエルメスも恨めしそうです。

なんかもやってません?

洗濯物の水蒸気まで写るのか?このデジカメは!と驚いていたら、
なんか充電不足のトラブルだったようで、フル充電したら消えました(汗)


さて、アカデミー賞の外国語映画賞に「おくりびと」が選ばれました。
私は観ていませんが、きっとよい映画なのだろうと思います。
フランス映画をよく観るようになってからしばらくして「日本映画もよいものがたくさんあるよね」と思うようになりました。
ハリウッドの作品に慣れてしまうと、日本やフランスの映画の1カットの長さ、場面展開のスピードの遅さ、「で、結局何が言いたいわけ?」という鑑賞後の消化不良的後味に「だから邦画はだめなんだ」とか「フランス映画はこ難しい」などという感想を持つようです。

フランス映画だって、例えば「Taxi」シリーズのような、カーチェイスあり、爆破シーンありのものも数多くあります。ただただバカバカしくて笑える映画もあります。
しかし、静かに淡々と人の暮らし、生き方、人生を描く映画の多いこと。
そこには大どんでん返しはありませんが、登場人物1人1人の人間性、その生活が互いに絡み合って1つの哲学のようなものを紡ぎだしているのだと思うのです。
分かりやすい感動話しはないけれど、じわじわと、後から考えてみたくなるような作品を撮る監督さん。
映画館で観た後に、もう一度見たくなって、また何度も観たくなってDVDを買うこともよくあります。

ってなわけで、今観たいのが「Paris」セドリック・クラピッシュ監督作品。
この作品は多分この映画に感じが似ているのだと、観る前から感じています。
映画「Paris」もうすぐ公開終わっちゃうのよね~~~。行けたら行きたいものです。



「図書館猫デューイ」

2008-12-02 19:47:49 | 映画
本当は「スリーピングドール」を買うつもりで有隣堂へ行ったんです。

1ヶ月ほど前の週刊誌に書評が載っていて、「これ、おもしろいかも」と、久々に小説を読む気になりつつあったのです。
キーワードは「キネシクス」という、犯罪捜査の手法。尋問相手の動作、声のトーン、表情などから心理を読み取るということを専門としている女性捜査官が主人公の小説です。
「キネシクス」・・・・はて、どこかで聞いたことのある言葉です、と思っていたら、フランスのお友達のお嬢さんがキネジテラプート(kinésithérapeute)運動療法士なのです。
これはkinésique(動作学、身振り学)からきてます、きっと。
で、英語で言えばkinesics(キネシクス)が動作学。

人間の関心なんて、どこでどう引っかかるか分からないものですね。

そんなこんなで、この小説の関心を持ったものの、ハードカバーで厚さ4センチほどはあろうかというページ数に加えて2段組のボリューム。
加えて2500円という定価もなかなか近寄りがたいものがあり・・・・
「図書館でかりる?」とか「ブックオフに出たら買う?」とかさんざん迷った挙句、やっぱり買っちゃってみようと思って昨日有隣堂へ行ったんです。(くどい?)

その本が置いてある場所はすでに知ってました。だってすでに2回ほど書店に足を運び、買うかどうか迷ったわけですから、本を前にして。
なので、有隣堂へ行って、ダイレクトに「スリーピングドール」前へ。(ちなみに、まだ平積みされています)

ま、人生、自分の決意通りにすべてが運んだら、迷いも後悔も、新たな発見も思いかげない出会いもなにもないかもしれません。
そうなんです、想定外の出来事がありました。

スリーピングドールのすぐ横に、この本が平積みされていたのです。前回チェックしたときには、この本はなかったのに・・・・。

こんなカバーが目に入ったら、手に取らないわけはなく、本の扉を開けて本のあらすじを読み、更に、最初の数ページを読んだが最後、私の当初の計画は音をたてて崩れたのでした。

隣り合う2冊の本を交互に手に取りはしたものの「ここで、『図書館猫デューイ』を買わずに『スリーピングドール』を買うのは、わたしの本意ではない」という考えに至り、しかしながら合計で4100円という値段は、2冊とも買うことを許さないのでした。
う~~ん、どうしようと思いながらどちらも買わずじまいで帰宅した後、ネットで検索し、友人に話し、一晩考えて、デューイを買いました。

この本、映画化されるそうです。
主演は猫(もちろん!)とメリル・ストリープ。
映画になったら、観に行って、泣いてくるか!!!

ちなみに、フランス語版「図書館猫デューイ」の表紙はこれ。




fnacでの説明はコチラ

また観てしまった「ゆれる」

2008-10-09 23:47:28 | 映画
今日は本当は、テレビドラマ「風のガーデン」を見る予定だった。
しかし21時から衛星放送で「ゆれる」を放送するということで、21時ちょい過ぎからテレビの前にシラクと正座。




これは2年前に映画館で観た。
2006年9月9日にもブログで書いている。
そして今回もググッと引き込まれた。
敵対しながら反発しあいながらも、血で繋がる人と人。
理性では語りつくせないものが、血で繋がった人間関係の中には存在してる。
この映画ぐらいから「日本映画っていいな」と思い始めた。

ああ、これ、フランス語字幕つきでDVD出ないかなぁ・・・。
そうしたら、フランスのお友達にも超オススメしたい映画なのだ。

で、「風のガーデン」はビデオ録画。まだ観てない。


観たい映画

2008-08-30 22:13:32 | 映画
「わが教え子、ヒトラー」です!
公式ホームページはコチラ(cliquez ici !!)

この映画、主演している俳優さんは、「善き人のためのソナタ」のウルリッヒ・ミューエ氏。(昨年、癌のため死去)

「善き人のためのソナタ」についての過去記事はこちらをご覧いただけると嬉しいです。


フランス語をやっているからか、フランス語の先生がドイツ系スイス人のためか、ドイツにもちょっとした縁があるからか、別にヒトラーに興味関心があるわけではないのですが、「知っておきたい」という気持ちがないわけではなく。

渋谷文化村まで、はるばる出かけるか!



「闇の子供たち」観てきた

2008-08-10 21:02:53 | 映画
タイでの幼児売春と子供の臓器を売る闇ルートのことを扱った映画「闇の子供たち」を観てきました。

公式サイトはコチラ(cliquez ici)

映画に描かれていたこと、それを「映画だから少々センセーショナルに脚色しているのさ」と受け止めるか、「現実を知らない私はナイーヴすぎる?」と反省するか・・・・。

フランス語でナイーヴ(naïf 女性形はnaïve)というと、まず出てくる意味は、バカ正直、お人よし、世間知らずの 、というもので、日本語で使うナイーヴとはニュアンスが違います、もちろん、純朴な、無邪気な、素直な、という意味もありますが)


お客の指名を待つ子供たち。
留置場のような部屋の中に女の子も男の子もいます。
子供たちが体に巻きつけている毛布の模様が動物やお人形のだったのが印象的でした。
この毛布は売春宿が用意したのか、それともいくらかのお金と子供を交換した親が持たせたものなのか。
子供たちの中には大人から病気を移されて、苦しんでいる子もいて。
売春宿の大人は「この子はもう使えない」と一言。

捻じ曲がった大人の欲望の対象になることすらあってはならないことなのに、更には、この子供たちは、豊かな国の裕福な親を持つ病気の子供のための臓器提供者になるのです。

この映画の中には、貧しい国に生まれ落ちてしまった子供たちの悲劇が映されます。

世界中には様々な気候風土、宗教民族、政治体制、経済状況の国があります。

そこには、毎日毎日何キロも歩き、水を汲んでは家に運ばなければならない子供、幼くして武器を持たされ、兵士として人を傷つけ殺す経験をさせられる子供、路上で物乞いをする子供・・・。幼児性愛者の相手をさせられる子供。

日本では「格差社会」なんていうけれど、世界にはもっともっと根本的な大きな格差があるのです。どんな家族の元に生まれるか。

親を困らせようとして問題を起こす日本の子供、学校裏サイトで友達をいじめてる日本の子供ってナイーヴすぎる・・・・。
ま、大人がナイーヴなんだもん、仕方ないか 

ここでも以前、フランス語の先生に言われたことを思い出しました。

Il faut être informé.


サンジャックへの道「Saint Jacques.....La meque」観ました

2008-04-30 06:58:50 | 映画
早朝4時起きで映画鑑賞。
寝る前に「本当に4時に起きるの?」と携帯のタイマーをセットしながら考え、寝ている間は寝坊して映画を見損ない後悔した夢を見、結局4時09分に起きて冒頭部分を見損ないました(-_-;)

キリスト教の聖地、スペインは「サンティアゴ・コンポステラ」への巡礼に参加した8人とガイド1人。
それぞれに、それなりに、問題抱えてます。
母親の遺産を相続するための条件が聖地への巡礼だ、という仲の悪い3兄弟。家は裕福だけれど、両親の愛には恵まれなかった姉妹、その姉妹と行動をともにしたいがために巡礼に参加したイスラム教の男子2人、そのうち1人は失読症・・・更には病気のために髪の毛が抜けてしまったのだけれど、それを隠している女性。
ガイドはガイドで、子供は病気がち、そこへ持ってきて奥さんは自分の親友と寝ている・・・・。

それらのことが、旅を続けるうちに、だんだんとお互いの知るところとなり、映画を観てる側にもじんわりと分かってくる。

こういう映画を作らせたら、フランスはピカイチ!
暖かさとユーモアが心地よい。
途中に差し込まれる、幻想的で抽象的なシーンも印象に残る。

ハリウッドでこういう映画を作ったら、もっと大げさに感動を演出しただろう。
イギリス映画になったら、もっとブラックなユーモアが溢れたかもしれない。

早朝起きた甲斐があった。
というか、どうしてこういう映画をゴールデンタイムに放送しないのかな?
フラン映画だから?
夜8時からとはいわないまでも、夜の10時ぐらいからならいいんじゃないの?

とにかく、よい映画でした。



譜めくりの女「La tourneuse de page」観ました

2008-04-25 21:58:02 | 映画
急に思い立って、「譜めくりの女(2006年フランス)」を観てきました。

ざっくり言えば、若い女性の復讐物語です。
詳細は公式HPをご覧頂くとして、
この映画の見所は・・・パリ郊外の大きなお屋敷を鑑賞する、主演女優カトリーヌ・フロの年齢の割りには鍛え上げ引き締まった体と、もう1人のベルギー出身の若手女優デボラ・フランソワの若い体を鑑賞することでしょうか?(爆)
内容的には、DVDが出てからレンタルでもOKだったかも。
でも、今日はレディースデーで料金が900円だったので、まぁいいかって感じかな。

映画を観ながら「譜めくりかぁ、学生時代にやったりやってもらったりしたよね~~」と懐かしくなった。
ピアノを弾いている自分の横に座って、そのときが来たら譜面をめくってくれる人。
アイコンタクトはできないので、肩や頭の動きで合図を送りながら、息を合わせて次のページへ。
譜めくりをする側だったときは、途中ボーッとしてしまって、弾いている人がどこを弾いているのか見失い、必至で楽譜を追ったこともあったなぁ。


さて、この映画、今年のフランス映画祭の出品作品だったとか。

フランス映画祭つながりでもう1つ。
一昨年、フランス映画祭にでかけたときに観た映画「オーケストラシート(Fauteuils d'orchestre)」がやっと日本で公開される。
邦題は「モンテーニュ通りのカフェ」です。
今日、映画館のロビーに、ズラリと並んだ公開予定作品のチラシの数々。
興味のある邦画とフランス映画のチラシを3枚だけ取ってきた。
「モンテーニュ通りのカフェ??、きっとフランス映画でしょう」と持ってきたけれど、よくよくみてみれば、あの映画でした。

邦題、もっと考えてほしい。
まだ「オーケストラシート」のほうがよくない?

さて、4月26日から渋谷やユーロスペースで公開されるこの映画、観には行きませんよ。渋谷なんて・・・ゴチャゴチャしすぎ。疲れちゃう。
でも、日本で公開されるということは、いずれ字幕のついたDVDも発売されるということで、そうしたら購入を検討。それもアマゾンのマーケットプレイスで(汗)



映画を観て、原作本を買うなんて

2008-03-19 12:06:31 | 映画
わたしにとっては珍しいこと。
先日観た「潜水服は蝶の夢を見る」の原作翻訳本を買いました。

読み始めたばかり。
エピソードは時間軸に沿って並べられてはおらず、先に行ったり前に戻ったり。
想像力に欠けるわたしにとっては、前もって観た映画が原作本の理解を助けてくれます。

読み始めたばかりだけど、原語でも読んでみたくなりました。
もちろん、日本語翻訳版を横において助けてもらいながらですけど。

読んだ中での、お気に入りの一節を、ここに書いていいものか?

(以下、「潜水服は蝶の夢を見る」(河野万里子さん訳)26ページからの引用です。)

<きみ>、<おまえ>(tu)というやさしいことばを作るTとUは、引き離されなくてよかったねと、喜びを分かち合っている
(引用終わり)

主人公がESA式アルファベット表(アルファベット26文字を使用頻度によって並べ替えた表)を見たときにどう思ったことを綴った一節です。
フランス語では、英語でいうところのYou(あなた)について、2通りの言い方があります。
親しい間柄での呼びかけに使う場合はTu(テュ)、初対面の人、目上の人、それほど親しくはない人への呼びかけにはVous(ヴ)と使い分けます。
私の場合、フランス語の先生にはVousを使い、スカイプ友だちのジョエルにはTuを使います。

この本の中には左瞼の動き以外の運動機能を無くした作者が、
左瞼のまばたきだけで彼のそれまでの経験や記憶に基づいてつむぎだされる含蓄や味のある文章が溢れています。


ちなみにESA式アルファベットの順序は以下の通りです。
 ESARINTULOMDPCFBVHGJQZYXKW 


「潜水服は蝶の夢を見る」観ました

2008-03-13 22:34:43 | 映画
原題は「Le scaphandre(潜水服) et(と) le papillon(蝶)」

潜水服とは、43歳の若さにして、突如脳梗塞に見舞われ、ロックトインシンドローム(閉じ込められ症候群)という病気に犯され、自分の自由な精神を自分の不自由なからだに閉じ込められてしまった主人公の状態を、蝶とはその状態に抗いながら自由に羽ばたく彼の精神を表します。

病気で倒れる前は、雑誌「ELLE」の編集長として華やかなファッション業界で仕事をしていた彼、ジャン・ドミニク・ボビー。
有名メゾンのコレクションにも顔パス、パーティの常連、モデルとのお遊びもあって当たり前。
移動手段はオープンカー、それも多分外車。
私生活では奥さんと三人の子供がいて、愛人もいました。

わが世の春だった彼が突然、病に倒れ、動けず話せずの状態になり、唯一の意志伝達手段は左瞼のまばたきだけ。
そんな絶望のどん底に居た彼を、周りの人々が支え、まばたきだけで1冊の本を完成させました。
それがこの映画の原作「潜水服と蝶」です。

映画の公式HPにある予告編を観たとき、言語療法士が「ウイだったら1回まばたき、ノンだったら2回」と言っている場面を見、これでどうやって、他の文字や言葉を表すのだろう疑問に思っていました。

こういうことだったのです。
アルファベット26文字、使用頻度の多い順に並べ替え、言語療法士が1文字ずつ最初から読み上げます。
そして、彼がつかいたい文字を彼女が発音したそのときに、まばたき1回。
そう、アルファベット1文字ずつ、瞼で綴っていくのです。
彼女は文字を書きとめ、彼の言いたいことを推測し、彼に確認します。
彼は本を完成させるために20万回のまばたきをしたそうです。

こんな気の遠くなるような作業を彼にさせたのは、病に侵されてもなおなくしてはいなかった彼の生への執着でしょう。

実際、彼は運動機能訓練士や言語療法士の女性の胸元や唇にセクシュアリティを感じていたし、ユーモアのセンスもなくしてはいませんでした。
ベッドの上でもいつも身だしなみを整え、決してパジャマのままでいることはありませんでした。

身体が思うようにならない。頭脳は明晰なのに。
この絶望的ジレンマに打ちのめされることなく、自分の精神の自立と自由を保持し続けた彼と彼を支えぬいた人々の様子に、生きる強さを教えられた思いです。



主演女優賞

2008-02-27 01:23:07 | 映画
はい。
皆様もとっくにご存じのこととは思いますが、フランス人女優がフランス映画での演技でアカデミー賞主演女優賞をとりました。

彼女の受賞スピーチはコチラで♪cliques cliques ♪


 でかした!マリオン・コティヤール!! Bravo!Marion Cotillard!! 
昨日午後9時からのWowWowでの授賞式放送を猫と観つつ、なぜか涙していた私。

今朝のラジオ番組では「主演女優は意外な人が獲りましたね」なんて言ってたけど失礼な 
私は最初から彼女しかいないと思っておりました。
理由は、他の候補者のインパクトがなかったから。
唯一、万が一と思ったのは「エリザエベス・ゴールデンエイジ」で主演したケイト・ブランシェット。しかし、蓋を開けてみればそれは杞憂におわりました。

彼女、受賞のスピーチではがんばって英語でしゃべっていましたね。
これからハリウッドからのオファーもわんさかくるでしょう。

私が彼女のことを良いと思い始めたのは(偉そうですね )映画「ロング・エンゲイジメント」での演技でした。
殺された夫の復讐をする妻の役柄。大きな瞳からポロリと がこぼれたその瞬間がとても印象的だったのでした。

私は、自分が華奢とは真逆のタイプなので、華奢な女優さんにひかれるのです。
たとえば、ベルギーの女優さんセシル・ドゥ・フランスとかね。

さて、女優と言えば、いつも思うのです。
アカデミー賞の授賞式の中継を見るたびに。

助演女優賞、主演女優賞とノミネートされた女優さんを紹介するとき、彼女たちの出演した作品の一部が放送されます。
その作品の中で彼女たちは、政治的迫害に遭い家族と引き離される母、神経に病気を持つ娘、社会的には許されない職業を選ぶ女性などさまざまな役柄を演じ、厳しい険しい迫真の演技をしています。
作品の紹介が終わり、授賞式の席に座っている、素の(正確にいえば、決して”素”ではないけれど)ご本人のアップが映し出されます。
自分の演技を観て、ほほ笑む人、演技のあまりの迫力に驚いたふりをする人、いろいろです。
しかし、この瞬間に思うのは「女優ってすごい」ということ。
なぜって、映画の中とはまるで本当に別人。

「当たり前のことを言ってもらっちゃ困るよ、こっちは女優だよ」という声が、はい、はっきり、くっきり聞こえてまいります。

もちろん、授賞式に出席しているその瞬間も女優という役柄を演じているのでしょうけれど。

彼女たちの”根性”の1万分の1でも私にあったら・・・と思うのでした。


「エディットピアフ・愛の賛歌」をご覧になっていらっしゃらない皆様、日本版DVDも発売になり、レンタルも開始されるでしょう。
ぜひご覧ください。
そして、マリオン・コティヤールのど根性の演技をご堪能ください。






恐怖の報酬(Le salaire de la peur)観ました

2007-12-07 08:40:37 | 映画
1953年フランス映画。
監督はアンリ・ジョルジュ・クルーゾ

南米のとある町。
一旗挙げようと、ヨーロッパ大陸から渡ってきた男たち。
しかし、うまく行かずに、持ってきた資金もなくなり、食い詰め生活を送っている。
祖国に帰りたくても、その旅費が工面できない。

そこに舞い込んできた話が、ニトログリセリンの輸送。
成功したら一人2000ドルの報酬。

トラック2台にニトロを積み込み、選ばれた4人が出発する。

はい、これからが2000ドルの報酬を受け取るための恐怖の始まり始まり。

どんな障害物があるのかは、映画を観て味わっていただきたい。

前半(男たちの食い詰め生活の描写)がちょっと退屈かな?と思ってもそこでめげずに見続けてほしい。
面白いから!!!
そして、ああ、俳優さんって本当に大変な職業なのねぇ~~と思うはず。

そして、私がなによりも「へぇ~~~そうなんだ」と驚いたのが、この映画の撮影場所。でっきり南米へ渡っての撮影かと思っていたら、なんと、南仏でだって。
参りました。

この映画に出演されている主な人々は、全員亡くなってしまっているけれど、この映画はヨーロッパじゃぁ、クラシック作品として、映画好きが一度は必ず観る映画だそうな・・・・。









お正月、スリルを味わいたい方は、ぜひDVDレンタルでご覧ください。

超オススメ。

goo映画での解説はコチラをクリック♪

allocineでの解説はコチラ(フランス語)

La vie des autres (善き人のためのソナタ)

2007-12-06 01:01:37 | 映画
観ました。

原題(ドイツ語)もきっと「La vie des autres(他人の生活)」をドイツ語に訳したものなんだろう。

でも、私としては、この日本語タイトル「善き人のためのソナタ」の方がしっくりくる。

映画の中で、シュタージ(国家保安省)の局員ヴィースラー(ウルリッヒ・ミューエ演じる)に私生活を盗聴監視されている劇作家が仲間の自殺を知り、女優である恋人に弾いて聞かせるピアノソナタ、それが「善き人のためのソナタ」だ。
それは自殺をしてしまった仲間からお誕生日祝いに送られたソナタだった。

善き人とは誰のことなのか。

国家が個人を盗聴監視し、言論思想統制をしている、そんな中でも自分の自由意志を貫こうとする芸術家たちのことなのか、と、映画を観始める前はそう思い巡らせていたけれど、それは違うのだ。

善き人とはヴィースラーのことなのだ。

冷徹なシュタージの一員だった彼は「他人の生活」を監視盗聴する、任務として、確実にやっていく。
でも、そんな彼がどうやって「善き人」となっていくのか、そしてそれがどのような結末となるのかは、DVDをレンタルして是非ご覧頂きたい。

彼の無感情で冷たい表情が次第に驚きや戸惑いや疑問、希望、そして失望へと変わって行くところは本当に観ている者を引きつけて、映画の中にのめりこませていく。

ヴィースラー役を演じた俳優さんウルリッヒ・ミューエ自身も旧東ドイツ時代は監視の対象だったそうだ。その監視役の中には彼の奥さんも入っていたらしい。

彼は今年の7月22日に亡くなってしまった。54歳で。
この役を演じたことにはきっと複雑な思いがあったのだろうなぁ。

そんな思いを自国民にさせてきた国って・・・と思うと世界の広さを感じる。
そして、まだそんな国はたくさんあるのだ。
日本のすぐ近くにも。


善き人のためのソナタ

2007-12-02 23:04:48 | 映画


5日夜10時、テレビの前に正座ですよ。

WowWowでやるのです。

善き人のためのソナタ」を。

ずっと観たいと思っていた映画。
レンタルDVDはいつもレンタル中だった映画。

とうとうテレビで観られます。

ベルリンの壁崩壊直前の東ドイツが舞台です。
反政府分子の生活を監視するために、劇作家と舞台女優のカップルの生活を盗聴する国家保安省の局員。しかし、彼は、カップルの生活ぶりを知るにつれ、今の自分に疑問を持ち始めるのです・・・・そしてどうなるのかな?

12月のWowWowはヨーロッパ映画がいつもより多いような気がするのはわたしだけ?

フランス映画「あるいは裏切りという名の犬」もやります。この映画はよかったよ。大人の男にお勧めの映画です。

ちなみに、この「善き人のためのソナタ」のフランス語タイトルは「La vie des autres(他人の生活)」だそうな。