
「仙台坂上交差点」の歩道脇に真新しい説明柱が設置されていました。「仙台坂」と初めて知ったときは、東北地方の仙台と何か関係があるのではないか?と思いついたのですが、やはりその通りでした。東京都心部には「紀尾井坂」「紀の国坂」など、大名屋敷に因んだ名前の坂が数多く存在します。

仙台坂上交差点前では道路工事が行われていたのでかなり渋滞していました。麻布台地の丘陵地帯の住宅地の中を散策して行きたいと思います。周辺は中低層マンションが密集しているように建ち並んでいます。

港区麻生運動場のグラウンドの脇を通り抜けていきます。

しばらく歩くと「愛育病院」の建物が見えてきました。愛育病院は産婦人科、小児科、新生児科を中心とした周産期の専門病院であり、1934年(昭和9年)に昭和天皇が今上天皇(当時の皇太子)の出産を記念してその下賜金をもとに作られた恩賜財団母子愛育会が1938年(昭和13年)に開設しました。

聖路加国際病院・山王病院と共に「ブランド出産御三家」の一つと言われています。近年では2006年(平成18年)9月6日に文仁親王妃紀子が悠仁親王を出産されたことで話題となりました。有栖川宮記念公園の広大な緑地帯の北側に位置し、閑静な住宅街に囲まれていてひっそりとした雰囲気に包まれていました。

「愛育病院前交差点」は山手の住宅街の雰囲気と反して、ものすごく交通量が多かったです。港区の芝地区から広尾や西麻布方向への抜け道となっているからでしょうか。

交差点から西方向(日本赤十字社医療センター方向)へ緩やかな下り坂が伸びています。この坂は「北条坂(ほうじょうざか)」といいます。この坂を下っていくと外苑西通りの「日赤病院下交差点」へ出ることができます。

説明柱にはこう書かれていました。「坂下近く南側に大名北北条家の下屋敷があったため、この名が付いた」。

愛育病院前交差点から道路を北へまっすぐ進めば六本木ヒルズ前に出ることができるのですが、駐日中国大使館の手前で右へ路地へと進み、元麻布三丁目の住宅密集地の中を進んでいきます。

中国大使館の敷地の南側に沿って続いている坂を「狐坂(きつねざか)」と言います。坂の斜面に沿って中低層マンションや住宅が密集している中を散策していきます。

道幅は1.5車線、これはおそらく戦前から変わっていないのではないでしょうか。

狐坂の坂下へ来ると、六本木の高台にそびえ立っている六本木ヒルズの高層ビル群を見上げることができました。森タワーの高さは238メートルですが、標高の低い坂下から見上げると実質的な高さは270メートル近くになります。

坂下から元麻布三丁目の谷津地形の中の住宅密集地の中を北へ向かって歩いていきます。

中国大使館の敷地の北側へ伸びている「宮村坂」です。

住宅密集地の中をしばらく歩いていると麻布十番商店街に出ることができました。後は道なりに沿って歩き、六本木ヒルズを目指します。

ようやく六本木ヒルズ前に到着しました。これで初冬の元麻布散策は終わりです。

地図の中心点の位置から六本木ヒルズを綺麗に見上げることができます。このあたりは本当に戦前から街並みが変わっていないのではないか? と本気で考えてしまいました。