フレンズに行かなくなって、久しくなりますが、今でも私の中で、フレンズに対しては特別な思いがあります。
パン・トンや田村さんのINがギリギリでハラハラしたり、ステファンのINに驚くやら、ときめくやら。
そして、今年は10周年。荒川さんが今回、本田さんや田村さんや宮本さんとの写真を何度も載せたように、彼らと共に立ち上げたフレンズの変わらない部分と成長した部分に感慨を覚えます。
変わらない部分は荒川さんが歳を取った時の思い出づくりの場に、と、言っていた通り、いつも同じメンバーが集まる。これは他に類を見ることがなく、毎年、同じ顔合わせであることで、観客との信頼関係も出来上がるという効果を生んだように思います。
最初のコンセプトの総てのスケーターが主役である、というところ。この文句が張りぼてでなく、お客さんもそのことを理解しているから、総てのスケーターの演技を1つ1つの宝石を愛でるように、見て、声援を送っている、そして、そこにはスケーターのリラックスした笑顔がある。
そして、海外のトップスケーターたちもコラボ好きな荒川さんに(とシェイリーンのフィナーレで)馬車馬のように働かされながらも(笑)、毎年やってきてくれること。(他のショーだって、トップスケーターは来ますが、フレンズって日本のショーの中でスポンサー面とかで考えると一番規模の小さい方のショーだと思うんです。)
現役のトップスケーターがいても、プロスケーター達が本当にとても輝いて見えること。
それから、昔から地に足のついたショーだな、と思うところ。
どんなに海外のトップスケーターが集まろうと、キャパを広げない。あの、キャパで、いつものメンバーが集まる、だからこそ、観客とスケーターとの間に信頼関係のような、特別な雰囲気が生まれ、その雰囲気がスケーターをさらによい演技に結び付け、それを観た観客が特別な瞬間を味わえるという相乗効果を生んでいることに気づいていること。(だからこそ、本田さんのベストスマイル(笑))
さて、テレビ放送、テレビって競技やオリンピックと結び付けずには、放送できないんですね・・・。なんか、ムリムリ感が・・・。
それでも、地上波でダイジェストを見ることができて嬉しい。
荒川さん「You Rase Me Up」
10年間、みんながいなければここまで続かなかった、という気持ちを込めて、初回に滑ったプログラムを復帰のプログラムとして。
当時の青い衣装の白ヴァージョン。
ほぼ、技術は戻っていて、でも、荒川さんのファンだからこそ、「ほぼ」と「完璧」の差を感じた。
それは、音楽に合わせた「ため」コンマ一秒といったところの差。
スパイラルもスピンもレイバックのイナバウワーも荒川さんは音楽に合わせた「ため」があり、その「ため」が、「難しいことをやっています!」的な主張を忘れさせ、音楽と作品の世界に誘ってくれる。
でも、それすらも、じきに戻ってくるのだろうと予感させる演技でした。
宮原選手×田村さん
宮原さんは高難易度な技術を持つだけでなく、指先から背筋まで気を配り、音楽を表現するスケーターなのだと、「ミス・サイゴン」で認識。「ファイヤー・ダンス」も激しいけれど、エレガンスです。田村さんとの競演!二人共楽しそう。リフトで「わーい!飛行機!!!」的な明るさ(笑)
本郷選手×鈴木さん
長久保コーチ門下生ということは、立ち上げメンバーの年の離れた兄弟弟子の本郷さん。振付師デビューの鈴木さんとの競演はシルク・ドゥ・ソレイユの不思議な世界。本郷さんと鈴木さんのミラーの演技。こういうのって、きっと本郷さんの表現力に生かされていくと思う。
衣装の色の組み合わせも合っていていいですね。これも、テレビで観ることができて、嬉しい。
小塚選手
昨シーズンのEXをSPに。たたみかけるようなステップは誰にも真似のできない小塚君の真骨頂。
私は昔からキャンデロロやヤグディンや高橋君といったドラマチックスケーターが好きなんですけど、小塚君の存在に出会って、有香さんの「月の光」をフレンズで見て、巧いスケーティングを見る歓びを知って、最近では小塚君のFSは音楽に溶け込むスケーティングを見るだけで、気持ちよすぎてうっすら涙が出てくるようになって、今、小塚選手は私の中ですごく特別な存在なんだと思う。
荒川さん×ステファン「Can't Help Falling love with you」
サプライズではなく、フレンズコラボ史上で一番洗練され、完成された作品だと思う。
二人共30代になって、大人の余裕が出てきたのでしょうか?こんなロマンチック直球なプログラム、素敵すぎます。
ステファンが振付けた大人のラブソング。優しい目線を交し合って、ふわりと優しく差し伸べる手、自然な笑顔。二人ともとても動線が美しいスケーターなので、本当に絵になります。
よくある、女の子のスケーティングアイドルが夢のように王子様スケーターにリードされて夢の競演!というのとは違う、対等な関係。
このプログラムが素敵すぎて、いろいろ書いたら脱線してしまって、書き直しているんですけど、まず、箇条書きにしてみようかな?
・二人の体型がマッチしていることってペアで大切なことなんだと思った。日本人では珍しい大人の女性の美しさを持ち(10年前よりさらに美しくなっていると思う!)、欧米のアイスダンサーと肩を並べてもひけをとらないスタイルを持つ荒川さんはステファンの相手にとてもマッチしていると感じました。(身びいきもありですけど)
・適度に信頼関係と距離感を持った二人の方が組みやすいんだということ。
日本人同士の組み合わせになると本人たちにとっても見ている観客にとっても近すぎる存在で、なんとなく、中学校のフォークダンスのような照れがあり、どっぷりとしたロマンスな雰囲気が出にくい・・・。でも、これは、日本人だけじゃない。AOIのMAN EATERなんか、よくよく見ると、近い関係ほど遠慮や気遣いを感じる。
荒川さんとステファンも、高橋君とロシェットも、リラックスしてとてもいい笑顔を交し合っているし、シングルスケーターにとって適度な距離感の関係って大切。
・技術的にもいろいろすごい。多分、ステファンはいろいろな国で女子スケーターの相手役を頼まれることが多く、リードが慣れていることも大きいと思うのですが、
二つのリフトが音楽にマッチしていて素敵。そして、降りる時もよいしょ、という感じではなく、スケーティングの流れが続いているので、シングルスケーターがリフトやりました!的な感じではなく、作品世界に溶け込んでいる事。
・宮原さんと同じリフトだけれど、荒川さんは片足を組んで、ポジションも大人の女性(宮原さんはあれで楽しい感じが出てたから、あれはあれでよくて否定しているわけではないです)。膝に乗っかる時もふわっと乗っていて、ステファンにとても気遣っていて、荒川さんいつの間に、そんな自然なリフトをできるようになっていたの!と感心してしまう。
・二人でぴったりあったジャンプのあと、荒川さんが片足で次の手を引かれるスパイラルに続いているところ。
・二人で組んだ時のアウト~インのディープエッジの美しさ。その時に見つめ合う二人や荒川さんのたおやかな腕の動きがが醸し出すロマンティックな雰囲気。
素敵すぎて書ききれない!でも、本当にただただ、美しいこと、大人でロマンチックなこと。それが単純に素敵なんです。
(ソロナンバーはほぼ、と書きましたが、こちらは前言撤回したくなるほど、余裕を感じる「ため」がありました。)
さてさて、今回はステファンと荒川さんに夢中になっているところで終わり。きっと、えーーー!今更?って思う頃に再び書くと思います(笑)
とにかく、フレンズ10周年おめでとう!!!
太田由希奈さんPIWご勇退
近年はPIWを特別な存在にしていたのは太田さんの存在だったので、とても残念です。傑作「La Wally」を見ることができたのも、PIWのお陰。
アイスショーの世界で太田さんは私にとってとても大きな存在なので、他のショーで滑って下さることを願ってやみません。