ロシア制裁の効き目はまるでなかった?
ペトロ・ロンダリングでインドは「ペトロ・ヘブン」に化けていた
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ロシアのウクライナ侵攻から半年。西側の制裁はかえって西側の経済を痛めつけた。ドイツは原発再開にむけて走り出した。中国は、制裁に加わらず堂々とロシアから石油とガスの輸入を拡大した。
制裁規制からはずれた資源は欧州列強、知らぬ顔をしてロシアからの輸入を増やしていた。ちなみに2月24日の侵攻以後、ドイツがロシアから輸入したエネルギーは122億ユーロ、イタリアが79億ユーロ、以下、数字だけ並べるとオランダ78,トルコ68,フランス44,ポーランド43となる。
留意すべきはインドである。
侵攻前、インドのロシア石油輸入は微々たる量だったが、前年比8倍に「躍進」していた。報道によれば、グジャラート州の港にはいったタンカーはロシア出資の製油所に運ばれ、ガソリンに精製される。これは「インド産ガソリン」となって、各地に転売が可能。つまりペトロ・ロンダリングだ。
マネーロンダリングはタックスヘブンで国籍を変えるように、インドは「ペトロ・ヘブン」に変身したというわけだ。
拠点はグジャラート州の港。西インドは紀元前から中東、アフリカとの交易で栄えた。中東の湾岸諸国や東アフリカの沿岸地帯から南アフリカにかけてインド人の進出が目ざましい。
グジャラート州はモディ首相の出身地であり、安倍晋三元首相も、習近平主席もわざわざ訪問した土地、しかもガンジーの拠点だったから、かならずガンジー記念館にも立ち寄る。
州都のアーメダバードは国際色豊かで経済繁栄にまっしぐら。日本は、このアーメダバードから南のムンバイまで新幹線工事を展開している。
したがって日本企業のグジャラート州への進出は刮目すべき増加ぶりで2013年には84社だったが、2017年に221社、2018年に383社となっている。
スズキを筆頭に豊田通商は工業団地も建てた。
ことほど左様に国際情勢は複雑怪奇、日本人の善良さや法治主義は、彼等にとっては綺麗事の建前に過ぎないことが分かる。
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和四年(2022)8月17日(水曜日)
通巻第7432号 より
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「国益」とまでは言わずとも、少なくとも国が損をするような、間違っても衰退するようなことは避けねばならない。「そのためになら大概のことは許される」
おそらく、世界中の国(の為政者)はそう考える。
問題は「大概のこと」の内訳で、最も範囲の狭いのが日本だ、と世界の国々が薄々気付いていること(・・・なんじゃないかな)。