12月9日(土)
6時5分、散歩に出ようと門扉を開けようとしたら鉄柵扉の前に何者かがうずくまっている。
「遅くなったから」と慌てて飛び出していたら、踏んづけてしまうところだった。何よりギョッとした。この距離から飛び掛かられたら不意打ちそのもので、勝てそうにない。
例の、庭を縄張りにして昼寝していた猫か?門扉の外で往き倒れになったのか?そう思った。
けど、猫というやつは飼い主の前でも死ぬところは見られないようにするものらしいから、全く餌の一つもやったことのない者の前にそんな姿を見せるなんて、ある筈もない。
それに「猫?」と思った瞬間、あいつじゃないとすぐに気が付いた。
茶と焦げ茶の細かな斑ではなく、ほぼ灰色らしい。
そして大きさはともかく、確実に形は猫じゃない。
まだ暗い中でそいつをよくよく見ると、本当に猫ぐらいの大きさだが猫じゃなく、「大根」だった。
「大根と猫を見間違えるなんて、どんだけボケてんだ」と思いながら、「いや、これは瞬間見間違えたって不思議じゃないぞ」、と自分に言い訳をする。
その大根、猫又じゃないけど三つ又になっていて、まるで太い両足の間に「巨〇(或いは巨大チ〇〇)」が生えているような形をしていた。
その両足と巨〇を門扉の方に向けて寝そべっている。それで一瞬今にも飛び掛かろうとする前足と頭のように見えた。
「あ、そういうことか」とやっと気が付いた。
あの一昨年からSRに乗り始めた近くの人が作っている野菜を持ってきてくれたに違いない。以前にもそうやって置いてあったことがある。
これは何かお返しをしなきゃ。
(続く)