CubとSRと

ただの日記

知らないことばかり

2018年11月25日 | バイク 車 ツーリング
 30も半ば近くになって、自分の力で職場に通うしかない、という「危機」に直面した。
 一大危機だ。だが、閃いた。
 「じゃあ、バイクの免許取って通えばいいんだ」
 名案だった。
 その時はホントに名案だと思った。
 クルマなら免許取るのに時間がかかる。けど、原付バイクならすぐ取れる・・・だろう。
 通勤なんだから。自分の身体だけ運べばいいんだから。クルマみたいに三人分空けて乗らなくてもいいんだから。
 バカみたいに簡単にそう決めた。
 そう決めてみると、何だか妙に楽しくなった。
 妙に楽しくなったはいいけれど、免許をどこで手に入れるのか分からない。
 どうせ試験場なんだろうけど、その試験場、どこにあるんだ?いつ行ったらいいんだろう。費用は?準備するものは?戸籍抄本、持っていかなくていいんだろうか。
 確か、偶然目に入った交番に聞きに行ったと思う。
 丁寧に教えてくれた。
 「免許を取るには講習会で講習を受けて、終了証を持って試験を受けに行って~」
 早速、週末に講習会場に行く。水道局の屋上だったような気がする。
 警察官と、バイク店の人(にしか見えない人)がいて、寒さに震えながら講習を受ける。
 受講者全員が防寒用のジャンパーなどを着ている中、講習をしている人はツナギ一枚。
 「バイクに乗る時は厚着をするよりも風が入らないようにすることが大事です」
 、と言いながら平気な顔をしている。絶対、下に何か着込んでるよ(その勘は当たってたと思う)。
 十数人の受講者は震えながらそれを聞いている。
 「別に免許取得に関係ありませんから、正直に答えて下さい。これまでにバイクに乗ったことがある人」
 何と言う質問!
 「え?」
 と思った。全員手を挙げている!
 え?と思った本人以外。
 ええ~?そんなのズルいや。
 
 講習会と言っても、その震えながらの立ち話と原付スクーターでの発進、停止の練習だけ。
 それでも、初めてさわったアクセルと言うのは、こんなに反応が鈍いものなのかと思ったり、だからと言ってアクセルとブレーキレバーとを同じ手のひらでどうやって??
 ・・・などと思ったりしているうちに、ほとんどの受講者は受講を終えて帰ってしまった。
 順番が遅かったということもあるけど、居残りみたいな感じになって最後の方で終了証をもらって、何か釈然としない気持ちで帰る。
 でも、これで、一週間後は免許試験だ。
 
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うれしかった

2018年11月24日 | バイク 車 ツーリング
 昨日は新嘗祭。
 9時頃、例の如く門柱に国旗を掲げた旗竿を括り付けた。
 そうしておいて朝食。
 10時半過ぎて、ガレージに降り、SRの洗車を始める。
 洗車と言うより、「初めてのタイヤの手入れ」。
 昨晩ネットで「タイヤの皮むき」についてホワイトベースというショップの店長が説明している動画を見た。
 ・・・・・・・・・・・ 
 新品のタイヤには表面の劣化を防止するための処理が施されている。
 走れば摩擦で取れる。これを一般に皮むきという。
 逆に言えば、路面と擦れ合わなければいつまでも経っても取れない。
 取れてなければタイヤのグリップ力は低いから、いきなりバンクさせて劣化防止剤がついたままのところが接地すると、スリップしやすい。
 だから、新しいタイヤに替えたら、走って皮むきをするより市販の台所用のクレンザーをつかい、たわしなどで落とす方が良い。
 そうすることで、より安全に走ることができる。
 ・・・・・・・・・・・

 なるほどなるほど。結構長いこと乗って来て、そんなこと、考えたこともなかった。
 「とにかく、バンクさせてタイヤをまんべんなく使うしか皮むきの方法はない」
 ずっとそう思ってきた。
 で、下手くそだからいつまでたってもタイヤの両端がつるつる光っている、これが何とも恥ずかしかった。
 逆にタイヤ交換をした時、いつもの通り「一皮むけるまで滑りやすいですから」と言われるのに、すっかり慣れてしまって「は~い」と生返事をして、いつものつもりでスロットルを開け、タイヤがズルっと滑る、なんてことも何回か経験している。
 転倒こそしてないけど、これはこれで恥ずかしい。
 良いこと聞いた。早速やってみよう。

 ・・・・と言うわけで開始。
 汚れがついても目立たぬよう紺のヤッケを着て、ぽかぽか陽気の中、頭の中も春。先日のクレンザーを使ってやってみた。面白いように取れる。これならタイヤ交換をしたらすぐやった方がイイな。
 上機嫌で洗車を終え、後片付けをしていたら坂道を下って来た足音がそばで止んだ。
 ん?と思ってしゃがんだまま振り返ると、七十代くらいの女の人が家の方を仰ぎ見ている。何事か、と思ったらその人と目があった。
 お互い「こんにちは」と言った続きが、その人の「日の丸が上がってますね」、という一言。
 「はい」
 「久し振りに見ました。いいですね」
 「この辺の人は揚げてませんからね」
 「家も揚げてますよ。〇丁目ですけど」
 「そうですか。今日は新嘗祭ですからね」
 「新嘗祭ですね」
 どちらからも「勤労感謝の日」、という言葉が出なかった。

 さて、ひとっ走り。
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免許を取る

2018年11月23日 | バイク 車 ツーリング
 初めて手にした免許は原付。当然、買ったバイクは原付。
 「取り敢えず、原付」。いや、「ずっと原付」のつもりだった。
 運動神経は鈍いし、落ち着きはないし、お調子者だから、
 「バイクは言うまでもなく、車の免許なんて凶器を持つようなもの」
 だから、「取らない方がイイ」
 そう思っていた。
 それに加えて「ちょっと免許が欲しいかな」、なんて思い始めた頃、巷では暴走族真っ盛り。
 つい数年前まで「このままでは日本が危ない。アメリカの占領下と同じじゃないか」
 、と
 「社会主義国になるべき」「真実の独立を勝ち取れ」
 等、学生がそれぞれの憂国の思いから勉強そっちのけで学生運動に取り組んでいた。
 そして、熱風が過ぎ去ったように「あの熱気は何だったんだ」、と呆然とする我々しらけ世代があって・・・。
 なのに。なんで今度は無責任極まりない暴走族?
 「憂国の思い」はどこ行った???「もう若くはないさ、と君に言い訳した」?
 「もう二十歳過ぎたんだから、バカやってられねぇ」?
 走りだけを追求した、爆音を響かせて疾走する「カミナリ族」と言われた連中はもっと前。
 彼らに対してはそれなりの共感みたいなものがあったけど、「暴走族」というのはいけない。 
 第一、暴走してない。単純に一般人に迷惑をかける。
 暴走してないでジグザグ走行をやったり、クラッチ切って空ぶかししたり、妙なクラクションつけたり。
 ヘッドライトは中空に向かい、マフラーはB29を突き刺す竹槍のように上方斜め45度を睨む。
 そんなのが「ブンブンブブブブン」「ぱらりらぱらりら」、で、深夜、人々の安眠を打ち破るために走り回っている。
 すると、バイクはみんなその仲間、と見られる。全然違うのに。
 けど、乗らない者から見れば、「皆一緒」。
 「乗るならクルマだな。けど、買う金、ないし。運動神経鈍いから免許取れないだろうし」
 仕事に就いて12年。
 まさかそんな奴が「免許」、それもバイクの免許を取る、なんて。
 
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通勤バイク(続き)

2018年11月22日 | バイク 車 ツーリング
 見事にはまっているからと言って、笑っている場合ではない。とにかく抜け出さなければならない。
 けど、見事にはまっている。左右に隙間がない。
 この時いきなり起き上がったりすると、もし怪我をしていたら怪我を酷くしてしまう、なんてことがある。
 まずは、身体を動かしてみること。痛いところ、動きにくいところは・・・?なかった。
 これは「氷川清話」で学んだ。
 海舟が或る時落馬して、しばらく動かなかった。従者が心配して駆け寄ると
 「慌てるな。何でもない」
 といっておもむろに起き上がったから、従者が不平を言うと
 「慌てて起きたりすると、怪我をしていたら余計に酷くなる。だから起き上がらないで具合を確かめていたのだ」
 と強がりを言った(と従者は思った)。
 強がり半分、真実半分・・・、と思う。次の危険が差し迫っているなら、そんなことは言ってられないが、そうでないなら、慌てて起き上がるより自分の身体だ、ちゃんと確認してからの方が良いに決まっている。
 
 さて起き上がろうとするが、書いた通りで、反転すらできないくらいの狭さだ。もう腹筋運動式で上体を起こすしかない。
 上体を起こし、側溝の縁に指を掛けてやっと外に出ることができた。
 出てみて、改めて側溝の幅が狭かったことや、そこに身体をぶつけることもなくすっぽりとハマってしまっていたことを再確認し、何だかひたすら感心してしまった。
 撥ね上げられたのではなく、単純に掬い上げられて、そのまま放り出された。上から叩きつけられたのではなく、ピザ窯の中にピザ用のスコップみたいなやつで滑り込むように投げ出された、と言うのが一番近い感じか。
 カブは、と見ると、当然、少し前方に横倒し。側溝にははまってない。
 首を巡らすと、5メートルくらい後ろに、側溝に脱輪した乗用車が見えた。
 カブは左のリアサスペンションが曲がって動かせない。
 「緊急時の通勤バイクにも~」、は、たった一日。
 腹が立ったのは、翌日上司に「頭は大丈夫か」と問われたこと。「脳神経外科に行け」、と。
 心配して言ってくれているのだとは思ったが、身体は大丈夫、という報告をした後の、この言葉だったので
 「ん?どういうこと」としか思えなかったんだけど、どうも本当のところは
 「二日続けて事故に遭う、ということは、一回目の事故で神経をやられているに違いない。二回目の事故は自分の異常行動から事故になったのでは?」
 と考えたから、らしい。
 いずれにせよ、常々「バイクは危ない」と言っている人だったから、僻み根性でそう聞こえたのか。
 それとも本当に頭がおかしくなっていたのか。
 10:0。相手が修理、治療費共、全額負担する。カブも買い替えてもらって、と言われたが、このカブ、もう生産してないわけだから。変形したリアサス、サイドスタンド等、交換してもらって、それから20年余り。今も乗っている。
 今は通勤してないから、SRと肩を並べている。「cubとSRのある隠居生活」だ。
 
 
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緊急時の通勤バイク

2018年11月21日 | バイク 車 ツーリング
 5、6年間だったと思うが、SRとセローの二台体制だった。そのセローも買い替えて二台目。それぞれに面白いバイクだから、それぞれに結構色々なところに行った。
 セローでは四国一周をしたり、富士山まで行ったこともある。
 車の合宿免許で、ストレスから変になりそうだった時、休日を利用して神戸まで戻った。二台目のセローで引き返して空いた時間を使って石鎚山までツーリングをしたりして何とか緊急事態を切り抜けることができた。
 ただ、SRもセローも、買い物は苦手だ。で、仕事の帰り、しょっちゅうスーパーの袋をハンドルにかけて帰っていた。
 そんなことから、遂にカブを「買い物専用」、ということで購入した。
 アパート住まいで、さすがに三台は置けないから、セローは手放した。
 「でも、緊急時には通勤バイクにもなる」、という設定だから、カブは50ではなく90ccのを買った。
 ほんとうなら110ccが良かったんだけど、国産では、ない。それにヘッドライトが角目。車体も角々している。
 中途半端に「カッコいい」から、カッコいいとは思えない。

 「緊急時には通勤バイクにも~」という設定は、思いもしなかった形で現実のことになった。
 前日の夕方、SRが巻き込み事故で乗れなくなったからだ。
 直進中、左の車線前方を走っていた車が、速度を落としながら右折を開始。こちらの目の前に壁になってしまう。
 中央分離帯の切れ目を遣ってUターンをしようと思ったらしい。車の右後部に突っ込んだ形になって横転。
 「カブを持っていて良かった~~」
 怪我らしい怪我をしてない、打ち身程度だったからそんな暢気なことを思っていたけど、これ書いていて気が付いた。最近の左ひざの痛み。あの時の後遺症だ!
 「明日はカブで通勤、か。天気が悪いから、却っていいかも」
 翌日は強い低気圧が襲来、朝から生暖かく、雨。加えて南からの強風が吹いていた。
 仕事の帰り、峠を越えて南向きに走っていた。
 正面からの強風は強くなるばかりで、遂に余りの圧力にカブが前進できなくなった。こんなことは初めてだ。
 仕方がない、降りて、取り敢えず風が弱まるのを待とう。
 ほんの一、二分後。
 後ろでクルマのブレーキ音と、車体が路面をこする「ガーッ」という音が聞こえたと思ったら、次の瞬間、腿の辺りを掬い上げられた。と思ったら、仰向けに身体が宙に浮いていた。
 「え?え?」と思ってるうちに側溝に落ちる。
 「ガコッ」という、ヘルメットがコンクリートにぶつかる音。
 笑ってしまうくらい見事に、身体が側溝にハマっている。
 
 
  (続く)
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