MOONIE'S TEA ROOM

大好きな読書や言葉、料理のコトなど。

『JK、インドで常識ぶっ壊される』

2022年03月21日 | BOOKS
『JK、インドで常識ぶっ壊される』
熊谷 はるか 著
河出書房新社

 出版社の紹介ページには「普通の女子高生が、突然インドへ引っ越すことに。」と書いてあるけど、全然「普通」じゃないです。
 いろんなことを「見る目」と「聞く耳」「考える頭」、そして「伝える言葉」を持っている凄い女子高生です。

 この本は「第16回出版甲子園」のグランプリ受賞作。
 家族の仕事の都合で滞在したインドでの経験と思いが、分かりやすく生き生きと伝わってきます。
 インドで感じた格差への疑問や罪悪感、そして「自分ができること」を考える前向きな気持ち…。
 ウクライナへの侵攻をニュースで見ながら「私ができることなんて、何もないのでは」と思っていたところへ、この本はまさに「ハチドリの一滴」でした。
 「自分ができることをする」まずは、それから。

 著者のこれからの活動が楽しみです。
 多感な時期に感じたことを、生かしてほしい。そして伝えてほしい。
 私も自分なりの活動をしながら、若い世代の活動を見守っていきたいと思います。
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装幀を楽しむ

2021年11月06日 | BOOKS
 本を読むのが大好きで、でも好きだからこそスペースの問題で文庫本を買う事が多い私ですが、装幀が素敵な本に出会うと単行本が欲しくなってしまいます。

 一番初めに装幀に感動したのは「はてしない物語」。
 物語から出てきたような装幀、印刷。
 バスチアンが体育用具倉庫で今まさに読んでいるのと同じものを読んでいるのではないかという興奮。
 この本ばかりは単行本で読まなければならないと、今でも思います。

 近年では、『図書館の魔女』に感激しました。
 手触りや、光の反射。もう、眺めていても幸せになってしまう装幀です。
(もちろん、物語も素晴らしい本なのですが)

 最近、発見した時に大興奮して家族に呆れられてしまったのが、
 『図書館の魔女 烏の伝言』(高田大介:著・講談社)と『総理の夫 愛蔵版』(原田マハ:著 ・実業之日本社)の見返しが、色違いだけれど、同じ紙だったこと!
 写真で分かるでしょうか?
(ちなみに、両方とも書籍装幀のデザインオフィス「welle design」さんがデザインされてます)

 あぁ、これだから本屋さんが大事です。
 手にとって、開いてみて、一目惚れしちゃうような本が待っているはず。
 早く、出歩くことに罪悪感を感じないで済むようになるといいなぁ。
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『自閉症は津軽弁を話さない』

2021年01月17日 | BOOKS
『自閉症は津軽弁を話さない』
松本敏治
福村出版(2017年)

角川ソフィア文庫版(2020年)

 言語学や言語習得論を勉強していることもあって、興味を持った1冊です。
 夫婦喧嘩(?)がきっかけで、「言葉を身につけることの不思議」に取り組んでいく研究者の記録です。

 実際に子どもと接する立場と、大学で研究する立場。
 現場の実感と、一般的な知識。
 敵対しているわけではありませんが、現場側を応援したくなるのは、私も似たような立場だからかもしれません。

 小学生の支援ボランティアに入ると、子どもたちは本当に一人一人が同じではないと痛感します。
 得意不得意も、好き嫌いも、感覚も、みんな違います。
 そんな中で、私も、自閉スペクトラム症の子は共通語を話す傾向があるように感じていました。
 「共通語だな」と思ったというよりも、「アナウンサーのように丁寧な話し方をするな」という印象でした。
 なので、この本のタイトルを見たときにワクワクしました。
 はっきりと方言が現れない地域(都会)では気がつかない現象が、方言をよく使う地域(地方)で発見されて研究されることも興味深く感じました。

 社会言語学的にも、方言(地域変種)は場面や状況を判断しながら使う言葉です。
 習得する段階でも、相手の意図を読み取ったり、推測したりしながら身につけているのですね。
 日本語は「高コンテクスト文化(高文脈文化)」といって、「言外の意味」が多く含まれる言語だと言われています。
 「言外の意味」を察することが難しい人にとっては、少々生きづらい社会なのかもしれません。

 この本には続編『自閉症は津軽弁を話さない リターンズ』が出ています。
 そちらも是非読んでみたいと思います。
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『りょうしりきがく for babies』

2020年09月07日 | BOOKS
『りょうしりきがく for babies』
クリス・フェリー:作
サンマーク出版


 目に見えない 小さな世界のできごとを、簡単に描いてくれています。
 丸と線と、分かりやすい色。
 "for babies" なんて書いてありますが、赤ちゃんだけじゃなくて、理科が苦手だったお母さんにも、このあたりから絵本で教えてもらう方が良いなぁと思いました。
 「へぇ。そうなんだ!」と、私は思ったのですけれど、家族は「そうなんだよ」ですって。
 知ってる人は知ってる世界なんですね。

 子どもが小さい頃の「なんで」は 本当に多種多様で、もしかしたら「りょうしりきがく」に興味を持つ子だっているかもしれません。
 まず、「子どもに読ませよう」ではなくて、大人が手にとってパラパラと読んでみるのをオススメします。
 世の中のいろんなことに「なんて不思議なんだろう」と、大人が驚いたり気づいたりすることが、子どもたちにも良い影響があるのじゃないかと思うのです。

 不思議だなと思うこと、調べてみようと思うこと、夢中になること。
 自分は「もう大人だから」といってやらないことを、子どもにだけ期待したり押し付けないように、まず自分から。
 もしかしたら興味を持つかもしれない、そんな絵本に親子で出会えるといいですね。
 そして、今は興味を持たなくたって、いつか「そんな絵本読んだなぁ」と思い返す日が来るかもしれません。
 
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『まんが クラスメイトは外国人 課題編』

2020年08月10日 | BOOKS
『まんが クラスメイトは外国人 課題編』
「外国につながる子どもたちの物語」編集委員会 編
まんが:みなみ ななみ
出版:明石書店 (2020/02/20)


 「まんが クラスメイトは外国人」シリーズの新刊がでました。
 1冊目の『まんが クラスメイトは外国人 多文化共生20の物語』は2009年の出版、2冊目の『まんが クラスメイトは外国人 入門編 はじめて学ぶ多文化共生』は2013年の出版でした。
 1冊目が出版されてから10年以上経った今、はたして「多文化共生」は進んでいるでしょうか?

 2020年1月1日現在の人口動態調査では、日本に住む外国人の人口は286万6715人。
 日本人の人口は1億2427万1318人だそうです。
 日本人人口は11年連続で減少、外国人人口は6年連続で増加しています。
 計算してみると、日本に住んでいる44人に一人は外国人ということです。
 街でも、コンビニなどで外国人の店員さんが増えていることを実感します。
 それでも、「多文化共生」が進んだと感じないのは、「日本人」と「外国人」が交流する場面が少ないからかもしれません。

 この本では、学校での「外国人」と「日本人」生徒が出会う問題を、まんがで分かりやすく描いています。
 「日本人」の立場から、「外国人」の立場からだけでなく、いろんな視点・立場からの意見を描くことで、読者への問題提起になっています。
 まんがの後には、文章で詳しい説明があり、歴史や経緯、現在の状況などを深く学ぶことができます。

 「ハーフ」はずるいのか?
 ヘイトスピーチ、日本の難民・移民政策、領土問題、戦争責任、日本の先住民族…。

 どれも、若い世代だけでなく、親の世代も考えていかなくてはいけないテーマばかりです。
 移民社会であるアメリカでも、今でも人種差別があり、今年も「Black Lives Matter」運動が大きなニュースになりました。
 日本でも「人種の問題」が「他人事ではない」ことなのだと、まず気づくところから始めなくてはいけないのでしょう。

 多くの若い人に、そして多くの大人に手に取って欲しい1冊です。
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『おひめさまに なった ワニ』

2020年04月30日 | BOOKS
『おひめさまに なった ワニ』
("PRINCESS CORA AND THE CROCODILE")
作:ローラ・エイミー・シュリッツ
絵:ブライアン・フロッカ
訳:中野 怜奈
発行:福音館書店


 将来「りっぱな女王」になれるように、朝から晩まで やることばかりの コーラ姫。
 毎日の忙しさに うんざりしています。
 それでも、王様も お妃様も お世話がかりも、コーラ姫の気持ちに全く気が付きません。
 コーラ姫のことを深く愛して、本当に大切に思っているのに、将来への不安と心配で頭がいっぱいなのです。

 コーラ姫が 名付け親の妖精に 助けを求めると、お城にやってきたのは大きなワニ!
 ワニは コーラ姫の身代わりになって、お世話がかりと王様とお妃様を相手に やりたい放題。
 しっちゃかめっちゃかの大騒ぎの中で、大人たちも、やっと大切なことに気がついていきます。
 コーラ姫が、”自由な時間”の中で 生き生きと過ごす1日の幸せそうなこと!

 なによりも、最後にきちんと 自分の気持ちを伝えることができた コーラ姫が素晴らしい。
 そして、姫の言葉に耳をかたむけ、しっかりと聞き、気持ちを受け入れた 大人たちも素晴らしいと思うのです。

 これはアメリカの児童書ですが、日本の子どもたちも「そうだそうだ!」と うなずきながら読むんじゃないでしょうか。
 「りっぱな大人」になるために、夜遅くまで塾に行ったり、毎日のように習い事に行ったり、”自由な時間”を持つことができない現代の子どもたちの気持ちを伝えてくれる1冊だと思います。

 子どもの「幸せ」ってなんでしょう?
 毎日我慢して忙しくしていたら、「りっぱな大人」になれるんでしょうか?
 大事なのは、お互いの思いを伝え合うこと。分かり合うこと。
 お互いに不安や不満を抱えながら、親子の仲がうまくいかないまま、大事な子ども時代を過ごしてしまったら、大きな後悔が待っているような気がします。
 まず この本を読むべきなのは、子育てをする大人たち なのかもしれませんね。

「読んであげるなら 5歳から
 自分で読むなら 小学校初級から」ということです。
 すべての文字に ふりがながついています。
 ちょっと長めのお話ですが、お子さんたちも「次はどうなるんだろう?」と、あっという間に読み終えてしまいますよ。
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『マイ・ストーリー』

2020年03月31日 | BOOKS
『マイ・ストーリー』
ミシェル・オバマ 著
集英社


 厚みのある本です。
 各章で何度も伝えられるメッセージは、「誰かに必要とされること」「価値がある人間だと認めてもらえること」、そして「適切な教育を受けられること」の大切さ
 世界中の子どもたちにとって 本当に必要で大切なことを、彼女の半生を描くと同時に強く伝えてくれる1冊です。
 「アメリカ大統領夫人の半生」というだけで「私とは世界が違う」と思ってしまう人もいると思いますが、難しそうな選挙や政治の部分を飛ばし読みしてしまったとしても、読む価値があります。

 英語でのタイトルは「BECOMING」。
 各章のタイトルも「BECOMING ME」「BECOMING US」「BECOMING MORE」となっています。

 第1章「BECOMING ME」は、まさに『私』になる時期。
生い立ちから学生時代、仕事に向き合う日々と、のちに夫となるオバマ氏と出会い、恋に落ちるまで。

 第2章は「BECOMING US」。『私たち』の時期。
自分の生き方の見つめ直しと、恋愛から結婚。そして仕事と子育ての両立と、オバマ氏が大統領選挙で当選するまで。

 第3章は、「BECOMING MORE」。『私』から『私たち家族』を超えて、『もっと多く』。
一人の女性として、一人の母として、ファーストレディになることが決まってから、その終わりまで。

 そして、「エピローグ」では、ホワイトハウスを去り、新しい人生の旅を始めるまで。

 親族の家に間借り暮らしをしていた少女時代から、懸命に勉強しつつも楽しんだ学生時代、そして法律の仕事を経て、社会に役立つ仕事への転職、仕事と子育ての両立、そしてファーストレディになってからの忙しい日々の中での子育て。
 多くの葛藤・壁に出会いながら、前に進んでいく姿は、けっして日本で育つ女の子たちからも遠い存在ではありません。

 アフリカ系アメリカ人であること、女性であること、裕福な家庭の生まれでないこと。
 今なお、社会に大きな格差がある中で、生まれつきの「恵まれた側」ではなかった著者がいかに彼女の人生を歩んだか、その「BECOMING」こそが、私たちにとっても大きな希望だと感じます。

 この本を読んで私が反省したのは、私たち母親が政治に対して嫌悪感や拒否反応を示していることが、次の世代にどんな悪影響を及ぼしているかということ。
 著者は「政治家になるつもりはまったくない」「もともと政治を好きになったことは一度もなく、この10年を経てもその気持ちはほとんど変わっていない」(p.570) と書いていますが、次の世代の(とくに女の子たちが)政治の道に希望を持てるような、嫌いにならずにすむような変化を作り出さなければ、いつまでもガラスの天井が頭上にあり続けるのじゃないかと感じました。
 政治家にならなくても、政治を好きになれなくても、私たちの世代こそが「変わるんだ。変えるんだ。」と強がりでも言い続けていくのが大切なのかもしれません。
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『学びの技』

2020年03月01日 | BOOKS
『学びの技 14歳からの探究・論文・プレゼンテーション』
(YA アカデミック・シリーズ)
著者:後藤 芳文・伊藤 史織・登本 洋子
出版:玉川大学出版部
2014年


 中学1年生の娘の「総合学習」の教科書です。
 あまりにも良書なので、驚きました。

 大学に合格して、まず何をしようか考えている受験生に、この本を熱烈にオススメしたい。
 私は「大学に入学する前に、これを読んでおきたかった!」と思いました。
 この本に書かれている内容を中学生から実践している学生と、知らずに大学に入学した学生には、スタートに大きな差が出ると思います。
 副題に「14歳からの探究・論文・プレゼンテーション」とありますが、18歳でも大人でも遅いことはありません。

 これからの社会は、「一生学び続ける社会」です。
 まず、手にとって、大学生活(そして社会生活)で実践してください。
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『データで読み解く「生涯独身社会」』

2019年12月19日 | BOOKS
『データで読み解く「生涯独身社会」』
著者:天野 馨南子
宝島社新書

 「結婚したいのにできない」という課題を、データを示しながら解説してくれる一冊です。

 読み終わって1番の感想は、「子どもが大人になってから考え始めるのじゃ遅いんだ」ということ。
 子どもを持つ親としては、「結婚したいと思ってもらえる人間」を育てることも大事ですが、「この人たちの子どもと結婚しても良いと思ってもらえる義両親」になることも大事なのだと、空恐ろしい気もします。

 子どもが、経済的にも精神的にも自立した大人になること。
 経済的にも精神的にも、子どもに依存しない親になること。
 どちらも、一朝一夕ではできません。
 最終章で書かれているように、「親亡きあとの子の幸せ」を考えたら、適度な「親離れ」「子離れ」に早くから取り組まないといけないのだと感じます。

 「結婚」するにしても、しないにしても、親以外の大切な人と出会うこと。その人と幸せに暮らすこと。
 そのためには、何が大切か。
 社会や親が、自立を邪魔してはいないか。
 報道やネットの情報が、結婚の価値を貶めてはいないか。
 「早期教育」よりも、危機感を持って取り組むべき課題かもしれません。

 まず「子どもの幸せ」を願うなら、愛情だけでなくデータと知識を持って考え、自分たちの暮らしを見つめ直すこと、きちんと老後に備えていくことが必要になりそうですね。
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『妻と娘二人が選んだ「吉野弘の詩」』

2019年10月27日 | BOOKS
『妻と娘二人が選んだ「吉野弘の詩」』
吉野弘
青土社


 吉野弘氏の詩には、優しさと切なさがあります。
 奥様とお嬢さん二人の選んだ詩を集めたこの詩集は、もちろん選ばれた詩も良いのですが、娘の奈々子さんが書かれた「あとがきにかえて」の章が、この本の大きな魅力だと思います。
 どんな父であったか、どんな家族であったか。
 この「あとがきにかえて」を読んでから、詩のページに戻ると、家族の表情・営みが見えるような気がします。

 そして、「あとがきにかえて」の最後には、若き吉野氏の書いた私家版の詩集の詩が2篇紹介されています。
 とくに、二十歳前後に作ったという詩「愛を人々の上に」(収録詩集「山巓」)が、今の時代への警鐘のようで、強く印象に残りました。

 軽々しく、人を批判しないこと。不完全な人間を許し、愛すること。その大切さと難しさ。
 最近の悲しい事件を聞くたびに「どうにかならないものか」と思うのですが、一人一人が自分を省みて、少しでも周りの人を大切にすることが、小さなようで大きなことなのだと、思いました。
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『橋をかける 子供時代の読書の思い出』

2019年10月01日 | BOOKS
<単行本>
『橋をかける 子供時代の読書の思い出』
美智子
出版:文藝春秋

<文庫>
『橋をかける 子供時代の読書の思い出』
美智子
文春文庫


 本を読むことが、いかに人生を豊かにするか。
 大人から押し付けられる「読書」では伝わらない、本を読むことの素晴らしさを伝えてくれる1冊です。

 上皇后美智子様が、1998年に開催された第26回IBBY(国際児童図書評議会 = International Board on Books for Young People)ニューデリー大会の基調講演のため、「子供の本を通しての平和 ー子供時代の読書の思い出ー」と題して語られたビデオ講演の原稿を収録しています。
 表と裏の表紙から、それぞれ日本語と英語の両方を読むことができます。
   裏表紙 英語タイトル>
 単行本の表紙イラスト、風の吹く草原のような絵は、絵本でも有名な安野光雅氏です。

 美しい言葉で紡ぎ出される、子どもたちへの希望、世界中の人々への思いやりと、平和への祈り。
 一文一文に、深く博い知識と、読書の喜び、読書への感謝があふれています。

 読み終わって、「教養とはなんだろう」と考えてしまいました。
 受験勉強をすることでも、大学に入ることでも、「教養」科目を受講することでもない、本当の教養とは何か。
 ひけらかしたり人を批判するための知識ではなく、人を理解し 思いやりあふれる社会を築くために必要な知識を「教養」と呼ぶのかもしれません。
 
 「なんのために読書をするのか」「なんのために勉強をするのか」「この世界をどう生きるべきか」
 新しい「令和」の時代を生きる子どもたちに、そして、その子どもたちを導く大人たちに、ぜひ読んでいただきたいと思います。
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『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

2019年09月03日 | BOOKS
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー The Real British Secondary School Days』
著者:ブレイディみかこ
出版社:新潮社

 イギリス在住の著者が、中学生になった息子さんとの日常を描いた1冊です。
 しかし、その「日常」が驚くほどに「普通じゃない」。
 「外国人労働者受け入れ拡大」がスタートした日本に、これから間違いなく訪れる「多様性ある社会」を考えるための発見がたくさんある本です。
 中学生から大人まで、多くの人が読んでくれたら、多くの「分断」「差別」による問題が減るんじゃないでしょうか。

 イギリスというと「EU離脱=ブレグジット」か「王室」のニュース。
 「貧困」「移民」「差別」「格差」のニュースは、私たち日本人にはあまり届いてないように思います。

 この本では、「元底辺中学校」に入学した息子さんが学校生活で出会うトラブルや悩み事を取り上げながら、イギリスの社会問題をわかりやすく説明してくれています。
 そして、その問題は「日本にはない」とは言い切れないことばかり。

 それにしても、息子さんの考え方が毎回毎回素敵です。
 家族や周りの大人から「相手の考えを尊重する姿勢」が受け継がれていることが伝わります。
 大人よりも子どものほうが理解していることもある。
 私も、そんな当たり前のことを素直に受け入れられる大人でいたいと思います。

 表紙と挿絵イラストは、中田いくみさん。
 『やましたくんは しゃべらない』のときにも感じましたが、思春期に入る頃の少年の独特の空気が伝わる絵だと思います。
 ちょっと『ぼくの地球を守って』の輪くんを思い出してしまいます。
 
 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』は もともと雑誌連載。
その連載は、この本が出版された今も、雑誌「波」(新潮社)で続いています。
 続きも楽しみです。

<関連リンク>
新潮社『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』特設サイト
 新潮社の特設サイト。試し読みもあります。
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『貸出禁止の本をすくえ!』

2019年08月19日 | BOOKS
『貸出禁止の本をすくえ!』
アラン・グラッツ 著
ないとうふみこ 訳
ほるぷ出版


 娘が「来年の夏の読書感想文、この本にする!」と言っています。
 と、いうのも、今年の読書感想文を書き始めてからこの本に出会ったから……。
 出版されたのが、今年(2019年)の7月30日という新しい本です。

 たしかに、面白いだけでなく、考えさせられる素晴らしい1冊です。
 読書感想文の課題図書に推薦したいぐらい!

 ストーリーは、学校の図書室から主人公の大好きな1冊が姿を消してしまうところから始まります。
 「小学校の図書室にふさわしくない」という理由で、本棚から外されてしまったのです。

 主人公のエイミー・アンは、家でも学校でも、言いたいことを言わずに我慢してしまう女の子。
 そんな彼女と友達・家族が、この「貸出禁止」に立ち向かっていきます。

 本の中には「貸出禁止」になった本がたくさん出て来ます。
 これらの本は、実際にアメリカの図書館で異議申し立てや貸出禁止措置の出たことのある本なのだそうです。
 巻末には、本に登場した書籍のリストがありますが、私の読んだことのある本もたくさん。
 反対に「おすすめ書籍リスト」にしてもいいくらいです。

 一人の女の子の成長物語として素晴らしいだけじゃなく、「子ども(人間)の権利」「伝えること・話し合うことの大切さ」「意見が違う人に対する敬意」など、大人が読んでも勉強になることが多い物語です。

 表紙・裏表紙も、読んでから見ると「登場人物のことが伝わるなぁ」と感じる素敵なイラストです。

 英語タイトルの「BAN THIS BOOK」は、直訳すると「この本を禁止しなさい」。
 日本語タイトルと全く反対だけれど、読めば納得すること間違いなしです。
 子どもたちによる「図書館戦争」。ぜひ読んでみてください!
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『本屋さんで探す「明日のカルタ」』

2019年07月23日 | BOOKS
 「明日に向けて前向きになれる言葉を、書店内で見つけてください」
著者から、そんなお願いをされた全国の書店員さんたちが見つけた、素敵な一文が紹介されています。
 「あ」から「わ」まで、それぞれの文字と言葉にちなんだイラストが、なんとも愉快。
 娘は、まずイラストから楽しんでいました。

 巻末には、「選んだ言葉が登場する本の一覧」があります。
素敵な言葉の出てくる本は、読んで面白い本が多いですから、この1冊が読書のきっかけになるかもしれません。
 そろそろ夏休みですから、読書感想文の本を選ぶ参考にもなると思います。

 「言葉を紹介してくださった書店員の方々」のリストもあります。
自分の住んでいる街の本屋さんもあるかもしれませんよ。
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『専門医が教える 世界一わかりやすい 下肢静脈瘤の治療と予防』

2019年06月29日 | BOOKS
『専門医が教える 世界一わかりやすい 下肢静脈瘤の治療と予防』
齋藤 陽
医学通信社


 「下肢静脈瘤ってなんだろう?」という疑問に、詳しく答えてくれる1冊です。
 不安になってしまうような「下肢静脈瘤に関する都市伝説」をバッサリ切り捨ててくれているところを読んで、本当に安心しました。
 下肢静脈瘤が気になり始めたころに出会えていたら、もっと早く安心できたのに!これから妊娠・出産という方にも、「下肢静脈瘤かも?」と気になり始めた方にもオススメしたいです。

 知らない情報もたくさんありました。
 「日本人の10人に1人」
 「女性ホルモンや妊娠出産が影響すること」
 「妊娠を経験した女性の2人に1人」
 「2回目の妊娠から目立つように」
 「妊娠回数の増加で静脈瘤の発生の頻度も増加」
 ……3人の子供がいる自分に軽度の静脈瘤があるのも納得です。

 色々な種類の静脈瘤の種類・段階が紹介されていて、診断や治療・手術の情報も、全ページカラーで、イラストや写真がたくさんあって、非常に分かりやすいです。
 そして、どのような症状が出てきたら治療・手術をすべきか、はっきり書いてあります。
 手術の当日の流れも詳しく分かって、安心です。

 とくに素晴らしいと思ったのが、「信頼できる医師に出会うためのポイント」「悪徳クリニックにだまされないために〜悪徳クリニックの共通点〜」というページ。
 本当に参考になります!

 一度なったら自然には治らない下肢静脈瘤。
 それでも、ふくらはぎの筋肉を動かしたり、肥満や便秘にならないように適度な運動をすることで、少しでも悪化しないように気をつけていこうと、改めて思いました。
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