MOONIE'S TEA ROOM

大好きな読書や言葉、料理のコトなど。

『ふたつの家のちえ子』

2013年12月30日 | BOOKS
『ふたつの家のちえ子』
今村 葦子(イマムラ アシコ) 著・絵 
評論社 (1986年1月)


 お孫さんから「おばあちゃんの子どもの頃って、どんな生活だった?」と聞かれたら、団塊の世代の皆さんはどんな子供時代を思い出すでしょう?
 この本は、まさに団塊の世代・1947年生まれの著者 今村葦子さんの描く一人の少女の幼少期の物語です。
 1950年代前半、映画『となりのトトロ』とほぼ同じ時代ですね。
 私の両親は著者よりも少し下の世代ですが、母や父から聞いた子どものころの想い出と重なるところが多くて、この物語の世界に幼い頃の両親がいるような気がしてきます。

 主人公のちえ子は、祖父母の家で暮らす女の子。
 赤ちゃんの頃にやむを得ない事情で祖父母に預けられたので、両親を知らずに、祖父母の愛情に包まれて暮らしています。
 前半では、「祖父母の家」で暮らす、春から始まる1年間が描かれます。
 後半は「ふたつの家」の二つ目の家である「山の上の家」での、母・姉兄妹との賑やかな生活を描いています。
第一次ベビーブーム時代の子だくさん家庭で、ちえ子には兄2人(双子)・姉と妹がいます。
 お父さんはちえ子が生まれてすぐから闘病中で、お母さんが働き、兄と姉が家事を手伝って暮らしを支えているのです。
 祖父母の愛情の深さとはまた違う、母や兄弟姉妹の愛情の強さと生き生きとした毎日の生活が様々なエピソードから伝わってきます。
小学校へ通うことになった7歳のちえ子と、個性豊かな兄2人、しっかりものの姉、可愛い妹のやりとりの、なんとも微笑ましいこと。兄弟姉妹のいる素晴らしさを感じます。

 花まつり、お盆、「ふたつの家」それぞれのお正月。
 もらい湯やお下がり、お手製の洋服、ヤギのミルク、ガキ大将、自転車の三角乗り、家族で食べる運動会のお弁当。
 懐かしくて優しくたくましい昭和の香りが届いてくるような物語です。
 生や死が今よりももっと身近で、家族がもっと助け合って暮らしていたころ。
 今の子どもたちにも、この家族の良さが伝わるでしょうか?

 後半は3月からお正月までを描いているのですが、物語の最後に訪れる家族の幸せの温かさに胸の奥がきゅーっとなります。
児童書コーナーにありますが、団塊の世代の皆さんにも是非読んでいただきたい名作です。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

レンジで「ホットトマトジュース」

2013年12月28日 | 料理&美味しいもの
 この冬、ハマっているもの。
 温かいトマトジュース、「ホットトマトジュース」です。

 老化原因物質 「AGE(エイジーイー)」対策として、食事前に冷たいトマトジュースを飲んでいたのですが、さすがに寒くなってきたので温めてみたら…… 美味しい
(AGE対策としては生野菜が良いようですが、食物繊維がとれるので「食べる順番療法」としてはOKです
 
 1杯の加熱時間は、500ワットだったら1分半~2分。(800ワットだと、1分~1分20秒。)
 ラップはなくても大丈夫。実は、電子レンジの「牛乳」キーを使うと便利です。
 牛乳よりもドロリとしているので、ちょっとかき混ぜてから飲まないと上のほうが熱いので気を付けて!

 そのままでも美味しいですが、私のお気に入りは、タバスコを数滴。
 タバスコのほかにも、温めてから黒こしょうを挽いて入れたり、乾燥バジル・オリーブオイルを少量入れるとトマトスープみたいで、食事と一緒でも美味しいです。 
 夕方ちょっとお腹がすいたときにも、とろみがあるからか結構満足感がありますよ。
 おやつに、チーズやヨーグルトと一緒に摂ってもいいですね。
 
<参考>
リコピン吸収を抜群にする - トマト大学 <カゴメ株式会社>
 オリーブオイルや牛乳と一緒に摂ることで、リコピンが効率よく摂れるそうです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

塩麹ローストチキン! (アレンジレシピ&焼く時のコツ)

2013年12月27日 | 料理&美味しいもの
 塩麹を使ったら、本当にびっくりするほど柔らかくてジューシーなローストチキンができました!
 こんなにしっとり美味しいなんて、予想以上。塩麹の力に感激してしまいました。
 クリスマスにもオススメです。
 当日午前中に買ってきて漬け込めば、クリスマスディナーに間に合いますよ。
 
 参考にしたのはこのレシピ。
塩こうじで柔らかローストチキン - ハナマルキキッチン(COOKPAD)

 これをアレンジして、
  ・塩こうじ
  ・すりおろしにんにく
  ・白ワイン (ブランデーでも)
  ・ローリエ (ローズマリーでも)
  ・粗挽きこしょう(黒)

 を合わせて、半日ほど漬け込みました。(夕方焼くために、午前中に漬け込み)
 我が家では、液体の塩こうじではなくてパウチタイプの少し粒のある塩こうじを使いました。
(骨付き鶏もも肉1本に、塩こうじ 大さじ1ぐらいです。あとは香りつけなので、適当に)
 皮にフォークで穴をあけて、ビニール袋などでしっかり塩こうじが密着するように漬け込むのがポイントでしょうか。

 1本ずつビニール袋に入れて空気を抜きました。

 焼く前に、
  ・オリーブオイル
  ・はちみつ
  ・しょうゆ
  ・ブランデー(または紹興酒)

 を混ぜたタレを 刷毛で塗って、200度に予熱したオーブンへ。(各大さじ2~3ぐらいでしょうか)
   
 焼いている間にも、5〜7分ごとに タレを塗ります。
 焼きムラができないように天板の向きを変えたり、焼き色が濃いところにはアルミホイルをかぶせて焦げないように。

 オーブンで30〜40分焼いた後、一番厚みのある関節に近い部分に竹串を刺して、肉汁が透明なのを確認します。
 この時点で焼き色が足りなかったら、さらにタレを塗りながらグリルで加熱します。
   
 焼き上がりはこんな感じ。

   
 ミニトマトやブロッコリーで華やかになります!
   

 ローストチキンもそうですが、大きい肉を焼くときには、
  ・焼く30分~1時間前には冷蔵庫から肉を出して常温に戻すこと。(夏は時間を長くし過ぎないように注意!)
  ・焼いた後、オーブンの中で肉汁を落ち着かせること。(焼きたてに取り出してしまわない!)
   ※ローストチキンの場合は、15分~30分ほどオーブン内で休ませます。オーブン内が熱いので、冷めないのでご安心を!


 と、いうことで、
  ・肉を常温に戻す時間
  ・オーブンの予熱時間
  ・焼く時間
  ・焼いた後余熱で肉汁を落ち着かせる時間

 を考えて、肉を冷蔵庫から出したり、オーブンの予熱を始めてくださいね!

 塩こうじレシピは、丸鶏のローストチキンでも応用できそうです。この美味しさ&手軽さ、海外でも七面鳥の丸焼きとかに使えるんじゃないでしょうか!

<追記・関連記事 2014.12.25.>
ローストチキンの所要時間・タイムテーブル - MOONIE'S TEA ROOM
 自宅で作るローストチキンの所要時間の備忘録記事です。

<関連サイト>
ハナマルキキッチン - COOKPAD
 COOKPADのハナマルキのレシピページ
塩こうじ - ハナマルキ
 ハナマルキの塩こうじのページ。レシピもあり。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『the Twelve Days of Christmas』

2013年12月25日 | BOOKS
『The Twelve Days of Christmas』
出版社:Moa Beckett Publishers, Auckland, 1994

 オーストラリアの写真家アン・ゲデスさんの写真絵本です。
 英語の歌「The Twelve Days of Christmas」をモチーフにした写真は、どれも可愛い赤ちゃんの写真で、とっても可愛いんです。
 表紙の写真は違ったりしますが、別の出版社からも出ているようです。
 下記のサイトで、本の中の写真を見ることができます。(それぞれのページをクリックすると、そのページが拡大されます。)
Anne Geddes Gallery - The Twelve Days of Christmas

 「クリスマスの12日」というのが何日から始まるのかは、「クリスマスの12日って?」 - MOONIE'S TEA ROOMを参照してください。

 モチーフになった歌は、恋人がクリスマスの日から12日間毎日プレゼントをくれるという歌詞なのですが、私の知っている歌詞とちょっと違うみたい。
 この写真絵本では「my true love gave to me 」となっています。私の知っている歌詞は「my true love sent to me」なのですが。

 家族、そして恋人と祝うクリスマス。
 私はキリスト教徒ではないですが、クリスマス・年末年始を通して家族と(実家の家族も含めて)笑顔で過ごしたいと思います。

<関連記事>
「クリスマスの12日って?」
「Anne Geddes 2006カレンダー」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『クリスマスの女の子 The Story of Holly and Ivy』

2013年12月24日 | BOOKS
『クリスマスの女の子 The Story of Holly and Ivy』
ルーマー・ゴッデン 作
久慈美貴 訳
福武書店 (絶版)復刊情報を追記しました!

 この表紙の女の子の嬉しそうな顔!お人形も、とっても嬉しそうでしょう!
クリスマスに、子どもたちがこんな笑顔を見せてくれる世界が続くといいですね。

 女の子の名前はアイビー。お人形はホリーと言います。
二人とも緑の美しい常緑樹「Ivy =キヅタ(フユヅタ)」と「Holly =柊 ヒイラギ」の名前が付いているのです。
 クリスマスの賛美歌に「ひいらぎとつたは(The Holly and the Ivy)」(讃美歌第二編第217番)という曲があって、その曲の題名からこの物語ができたそうです。

 孤児院育ちのアイビーは自分を待つ「どこかにいるかもしれない おばあちゃんの家」を、おもちゃ屋さんの棚のホリーは自分を待つ「クリスマスの女の子」を探しているのです。
 二人の願いと祈りが、クリスマスの日に奇跡を起こします。

 奇跡は二人だけでなくて、子どもがいなくて寂しいジョーンズさんの奥さんとジョーンズさん、おもちゃ屋さんの店員のピーターにも幸せを運んでくれます。
 大人である私は、子どもたちの幸せよりも、一組の夫婦の幸せにグッときて涙が出そうになりました。

 皆が、その人を必要としている誰かと出会えるといいですね。

 残念ながら、この本は絶版になってしまっているようです。
福武書店さんも今はベネッセコーポレーションになってますものね。
 1989年刊のこの本。ぜひ図書館で探してみてください。

<追記 2018.10.31.>
 徳間書店から復刊されました。
・『クリスマスの女の子』
(四つの人形のお話3)
ルーマー・ゴッデン/作
久慈美貴/訳
たかおゆうこ/絵
徳間書店

 ゴッデン「四つの人形のお話」の一つとして、表紙は変わりましたが、同じ久慈さんの翻訳で復刊しています。
 他の3つのお話も合わせてどうぞ。

<参考>
The Holly and the Ivy - YouTube
The Holly and the Ivy

 賛美歌「The Holly and the Ivy」を聞くことができます。とても素敵なコーラスです。

<追記>
 岩波書店から別の翻訳で絵本が出ていました。
『クリスマス人形のねがい』
  ルーマー・ゴッデン 文
  バーバラ・クーニー 絵
  掛川 恭子 訳
  岩波書店 (2001年)

 色彩豊かな挿絵がとても素敵です。ただ、こちらはページ数が少ないけれど文字が多いので、『クリスマスの女の子』のほうが読みやすく感じました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ラブコメ今昔』

2013年12月21日 | BOOKS
『ラブコメ今昔』
著者: 有川浩
角川書店


赤い表紙の文庫版はコチラ。
角川文庫『ラブコメ今昔』

 『空飛ぶ広報室』を好きな方なら、もう読んでらっしゃるでしょうか。
 私は、今回初めて読みました。

 自衛隊×ラブコメディの短編集。
 どのお話も、仕事にも恋にも一生懸命な、非常に真面目な男女が出てきて素敵です。

 軽かったり、いい加減だったり、浮気だとか裏切りだとかのない恋愛小説って、こんなに清々しいものなんだなぁ。

 「若者は恋愛をしなくなった」と言われる昨今ですが、多くの若人はきっと真面目で恋に臆病で、でも素敵な恋に憧れているのだと思います。
 二人で一緒にいて笑顔になれる恋愛、こういう正統派ラブコメディがあふれている世の中であってほしいです。


 今でも幸せな熟年夫婦の馴れ初め話って、若者に力を与えてくれると、私も信じています。
 子どもに「結婚が怖い」「家庭を持つのが不安」なんて言われないように、家庭を明るく楽しく幸せにするのも親の責任かもしれません。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『いつもが消えた日 - お蔦さんの神楽坂日記(2)』

2013年12月19日 | BOOKS
『いつもが消えた日 - お蔦さんの神楽坂日記』
西條 奈加(サイジョウ ナカ)
東京創元社


 『無花果の実のなるころに』の続編、「お蔦さんの神楽坂日記」の第2弾です。
 第1弾は短編集でしたが、今回は1冊で1つの物語になっています。
 元芸者のおばあちゃん・お蔦さんと、料理が得意な男子中学生・望くんが、今回は第1弾よりもショッキングな事件に巻き込まれます。
 事情の見えない不可解な事件から起こる噂や報道の無責任な残酷さ、普通の人が引き込まれる借金地獄の恐ろしさ、私たちが普段知らないだけで、身近にあることかもしれません。被害者・容疑者・債務者への偏見や、猜疑心で物事を歪めて見てしまっていないか、少し不安になりました。

 そして、連続テレビ小説「ごちそうさん」を見ていても感じるのですが、やっぱり「食べることは生きること」・「人は誰でも食べなければ生きていけない」のだと、この本を読んで感じました。
 本当に辛いこと、不安なこと、切ないことがあっても、人は食べなくちゃ生きていけませんし、愛していても憎んでいても人々の暮らしには食事が、食卓があります。

 我が家にも主人公・望君と同じ世代の男子が2人いて、あれこれと会話しながら一緒に食卓を囲んでいるのですが、「いつも」が普通にある日常の有難さを、この本を読んで再確認しました。
 食卓を、みんなが笑顔で楽しく囲めることが、人生の最大の幸せなのでしょうね。


 それにしても、お蔦さんは70歳手前ですが、とっても粋ですし、ちょっと古風ですね。やっぱり芸の道の人だからでしょうか。
単行本第1弾の表紙はは白髪の後ろ姿でしたが、文庫や第2弾はだいぶ若くなっています。今の60代だったらこちらのほうが自然ですね。
 そして、可愛い有斗君。最後のシーンの望君の感慨が本当によく伝わって、涙が出ちゃいそうでした。
 西條さんのお話は時代物も現代ものも、人と人とのつながりが魅力ですね。また次も楽しみです。

 

<関連サイト>
今月の本の話題 - 僕のおばあちゃんはもと芸者のお蔦さん 西條奈加『いつもが消えた日』[2013年11月]
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『るなちゃんと たまごやき』

2013年12月18日 | BOOKS
『るなちゃんと たまごやき』
著者: 間所 ひさこ (まどころ ひさこ)
イラスト: 岡本 颯子  (おかもと さつこ)
あかね書房(あかね幼年どうわ 1977年)

 ネコのぐるぐる目玉が印象的なこの絵本。
 私が小学生のころに大好きだった1冊です。

 久しぶりに読んでみたら、娘と主人公のるなちゃんが似ていて嬉しくなりました。

 たまごやきが好きなネコが面白いだけでなくて、手をつないで歌いながらお買い物に行くお母さんと娘が楽しそうで、仲良しなのが伝わって、余計に大好きだったのだと思います。
 卵を農家へ買いに行くのも、本当に懐かしい。鶏舎のニワトリと、生みたての温かい卵をとらせてもらった記憶がよみがえります。


 私の母の卵焼きは、お砂糖が入って甘い卵焼き。
 絵本に出てくる「たまごやき」は塩と胡椒の味付けでバターで焼いたオムレツなのだけど、私はこの絵本を読むと母の卵焼きを思い出します。
 久しぶりに、あまーい卵焼きを焼こうかな。


 そういえば、これも岡本颯子さんのイラストですね。
(先日の記事『ふしぎな おきゃく』もそうでした。)「こまったさん」シリーズ・「かぎばあさん」シリーズも実家の本棚にありましたし、今まで気が付かなかったのが不思議!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『生きている喜び 認知症と脳卒中を患った夫とともに』

2013年12月17日 | BOOKS
認知症と脳卒中を患った夫とともに
生きている喜び
神保 タミ子・著
幻冬舎ルネッサンス


 「認知症」を患い、その後「脳卒中」で体の自由が利かなくなった夫との生活を記録した介護手記です。
 病気が分かった時のショックだけでなく、初めて体験する病気への偏見や医療現場での様々な問題に落ち込んだり悩んだりしながらも、周りの助けを借りつつ前向きに愛情込めて介護している著者の生活と思いがとても丁寧に綴られています。


 私が一番ショックだったのは、認知症の人への大きな偏見でした。
 一部の医療現場で尊厳を軽視する扱いがされていることには恐怖を感じましたし、自分の中にも「脳の病気・認知症」に対する偏見があることに気づいて愕然としました。

 次に、「知的生活習慣」のある人でも認知症になるということ。
 元大学教授である著者の夫が、研修会の講師をしている時期に症状が出始めたということに驚きました。
「知的生活習慣のある人は認知症になりづらい」というイメージが大きかったので、少なからずショックでした。
 「誰でも認知症になる可能性がある」と、認識を改めました。

 この本の素晴らしいのは、困難な状況になりながらも「愛」のある生活、前向きな介護を伝えてくれているところです。
愛する家族の病気を前に、毎日毎日が「肯定的な老後」「尊厳のある老後」になるようにサポートする姿勢が随所に見えます。
 1冊を通じて、「介護のために、老後のために、家族生活のために、大切なこと」がいくつも示されているのです。

 ■・夫婦愛・家族愛・信頼
  これが、一番の要。これがないだけで、ストレスが倍増してしまう気がします。
  家族が病気に偏見を持たないことで、患者の心の平穏が保たれる可能性にも希望が感じられます。

 ■・情報・セカンドオピニオン
  次に、大切なもの。正しい情報を得ることで、できることが見えてきます。
  この本では「アルツハイマーの誤診」について書かれていますが、知識がなければ「誤診」に気が付かず間違った対応をする可能性もあるということが分かります。

 ■・介護法の勉強・良い介護用品と介護環境づくり
  少しでも、楽にする工夫が家族の笑顔につながります。
  この本では「古武術介護法」や「介護用特殊ベッド」、リフォームで、在宅介護の壁を乗り越えています。

 ■・良い出会い(相談できる主治医・ケアマネージャー・仲間)
  一人で抱え込まないこと、相談できる相手がいること、疑問をそのままにしないこと。
  勇気がいることもありますが、著者の行動から良い方向へ進んだ体験に勇気づけられます。


 もう一つ。
 著者には信仰があり、クリスチャンとして祈ることも大きな支えになっています。
 多くの日本人には得られない支えかもしれませんが、この本に出てくる『ニーバーの祈り』は、クリスチャンでなくても参考にしたい言葉です。

   「変えることのできるものを変える勇気と、
   変えることのできないものを受け入れる冷静さと、
   その両者を見分ける英知とを、主よどうか与えてください」

     (『ニーバーの祈り』)


 病気である夫から、周りの人たちから、そして今までの自分の人生から、謙虚に学ぶ著者の姿勢を見習いたいと思います。

 幻冬舎ルネサンスは自費出版をしている出版社ですが、認知症が増えている今、この本のような「愛」と「知恵」のある介護の本が増えるといいですね。



<参考>
ニーバーの祈り - Wikipedia
 アメリカの神学者 ラインホルド・ニーバーによる祈りの言葉。(Serenity Prayer「平静の祈り」・「静穏の祈り」)
公益社団法人 認知症の人と家族の会
 認知症のことが分かる、「家族の会」のサイトです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『おはなし だいどころ』

2013年12月15日 | BOOKS
『おはなし だいどころ』
さいとうしのぶ作/絵
PHP研究所


 『あっちゃんあがつく』の さいとう しのぶさんの絵本。
 台所のいろいろな仲間たちが登場する、楽しい小さなお話が30話入っています。

 ひらがな・カタカナの読める子なら自分で読むことができますし、読み聞かせるなら2歳ぐらいでも分かると思います。家の台所にあるようなものが出てきますから、きっとニコニコと笑顔で聞いてくれるんじゃないでしょうか。
 小学1年生の「朝の読書」にもいいですね。短くて面白いので、「寝る前のお話」にもおススメです。

 さいとうさんの絵本は、毎日新聞に掲載されていた『おしゃべりさん』や『もういっかいおしゃべりさん』、『しつもんおしゃべりさん』もそうですが、文はユーモアたっぷり、絵は笑顔たっぷり。身近なものが登場するうえに、可愛くて優しくて、読む人も読み聞かせる人も聞く人も笑顔になれますね。



 余談ですが、『おはなしだいどころ』のように、「おはなし」と「だいどころ」の間にスペースを入れないと、出版社のサイトでは検索できませんでした。
 題名がひらがなの絵本や児童書は文字の間にスペースをはさむことが多いですから、スペースがなくても検索できるといいなぁ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ふしぎな おきゃく』

2013年12月14日 | BOOKS
『ふしぎな おきゃく』
作/肥田美代子(ひだ みよこ) 
絵/岡本颯子(おかもと さつこ)
ひさかたチャイルド


 ラーメン屋さんでラーメンが食べたくなる1冊です。

 小さなラーメン屋さん「とんちんけん」に、赤い縞々のマフラーと帽子をつけた不思議なお客がやってくるという絵本。
焼き豚と海苔とメンマとネギののった醤油ラーメンが、本当に美味しそうなんです。
 物語も温かくて素敵ですし、「ふしぎなかぎばあさん」シリーズのイラストでもおなじみの岡本さんの絵が本当に素敵で、何度読んでも幸せな気持ちになります。

 たしか保育園でもらっていた月刊絵本で、調べてみたら1981年11月の発行でした。
2006年に復刊されたそうです。きっと、懐かしくて「また読みたい!」と思った人がたくさんいたのでしょうね。
 ちょうどあの頃の園児が、子どもを持つ世代になっているのだなぁ!
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『あまからカルテット』

2013年12月13日 | BOOKS
『あまからカルテット』
柚木麻子 著
文藝春秋


文庫版はおいなりさんの表紙がおいしそう。
文春文庫『あまからカルテット』

 『ランチのアッコちゃん』の柚木さんですが、私はこの『あまからカルテット』のほうが好きなんです。
 女子高からの仲良しアラサー4人組の、それぞれの仕事・家庭・恋愛を描きながら、甘くてからくて面白い物語なのです。
 謎解きものが好きな人も、友情もの・恋愛もの・美味しいものが好きな人も、元気がもらえる「女子会」のような1冊です。

 「稲荷寿司」で始まって、「おせち」まで。
 美味しそうな料理が、素敵な脇役になっています。

 私はもうアラフォーに入る年だけど、30代目前って「女子」の人生の大きな山というか谷というか、「30歳」というものを大きく感じていた気がするなぁ。
 いまや「40歳」なんてちっとも恐くないんだけど、「女の敵は女」ということはときどき実感。
 それでも、女同士じゃないと分からないこともあるから、女友達って大事なのよね。

 最終章の大晦日のドタバタ、何度読んでも笑ってしまいます。
 そろそろ、年賀状・お歳暮・年末年始準備の季節。この1冊も年越しの準備にいかがでしょ?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ようこそ授賞式の夕べに』

2013年12月10日 | BOOKS
『ようこそ授賞式の夕べに - 成風堂書店事件メモ(邂逅編)』
著者:大崎梢
東京創元社


 「成風堂書店事件メモ」シリーズの女性陣と「出版社営業・井辻智紀の業務日誌」シリーズの男性陣が顔合わせ。

 今回は「書店大賞」という賞の授賞式当日が舞台になっています。
 もちろん、モデルは「本屋大賞」ですよね。
 その「書店大賞」に関わる出版社サイド・書店サイドが、ひとつの「謎」に右往左往。
 その謎が2つのシリーズのメンバーを引き寄せていきます。

 元書店員で作家である大崎梢さんならではの、書店愛・書籍愛があふれている作品です。
 本にまつわる賞の裏側でどれほどの苦労があるのか、どれだけ頑張っている人がいるのか、私たちに伝えてくれています。
 次の「本屋大賞」のときには、全国の書店さんたちに思いを馳せてしまいそうです。

 表紙のイラスト、上でドタバタと走っている営業マンが可愛いです。
 時間ごとに区切られた節の間の小さなイラスト、「しおり・本・営業カバン」もきちんとルールがあるのでチェック!
 

「成風堂書店事件メモ」シリーズ
1.配達あかずきん
2.晩夏に捧ぐ
3.サイン会はいかが?

「出版社営業・井辻智紀の業務日誌」シリーズ
1.平台がおまちかね
2.背表紙は歌う

 文中にちらりと、『クローバー・レイン』(ポプラ社)に関するコトも出ていて、読んだ方は「おお!」と思うんじゃないでしょうか。
 2つのシリーズだけじゃなくて、『クローバー・レイン』も読んでから読むことをおススメしたいですね。

<関連サイト>
人気シリーズの名探偵同士がいよいよ出会う! 大崎梢『ようこそ授賞式の夕べに』[2013年11月] - WEBミステリーズ
 出版社・東京創元社のウェブマガジン
 数量限定だった特製ペーパーについての情報があります。
 特別書き下ろし掌編「桜咲く日に」……私も読みたかったなぁ。文庫化されるときに入れてもらえないかなぁ?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『せかいで いちばん つよい国』

2013年12月08日 | BOOKS
『せかいで いちばん つよい国』
デビッド・マッキー/作
なかがわちひろ/訳


 「自分たちの国が世界中を征服すれば、世界中が自分たちのように幸せになる」と考えた大きな国の大統領が、兵隊のいない小さな国を征服しに行ったら……。
 世界の平和を見つめなおす、皮肉とユーモアにあふれた素晴らしい絵本です。
 小さな子への読み聞かせはもちろん、大人にも、とくに政治家の皆さんに読み聞かせたい1冊ですね。

 大きな国は欧米風の服を着て、小さな国はイスラム風の服を着ていることにも、大きな意味を感じます。
 表紙を開いてすぐの見返しと、最後の見返しの絵も、絵本の一部としてお見逃しなく。

 原題は『The Conquerors』
 直訳すると「征服者たち」ですね。
 「a General=司令官」は、「だいとうりょう」と訳されています。ずばり、「世界の警察」と称されている大きな国の大統領は軍の最高司令官ですから、名訳かもしれません。
 イギリスの出版社アンダーソンプレスの原書の紹介では、「Just who has conquered whom? (本当のところは、誰が誰に征服されたのかな?)」と書かれていました。


 兵隊のいない小さな国として、私たちができることはなにか。
 武器を持つことではない、もっと心豊かな方策がこの本にあります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『アテナの印』(「オリンポスの神々と7人の英雄」シリーズ第3巻)

2013年12月06日 | BOOKS
 またまた悔しくなっちゃうぐらい面白い!!
 本当に続きが気になる第3巻です。

『アテナの印』
(「オリンポスの神々と7人の英雄」シリーズ3)
リック・リオーダン作
金原瑞人・小林みき訳
ほるぷ出版



 全5巻の、ちょうど真ん中・第3巻。
 第1巻は主人公のパーシーがいなくて、第2巻でも恋人たちは離れ離れ。
 第3巻ではやっと「7人の英雄」がそろって、いよいよ7人での冒険の旅の始まりです。
 恋人同士の絆もそうですが、7人の仲間たちの絆が深まっていく様子に心打たれます。

 今までと変わらず、ユーモアもたっぷり。
神様の娘が「ハローキティ」の服を着てたり……。思わず吹き出してしまうこともしばしば。
 次から次へと悪いことばかりなのにこんなに面白いのは、登場人物の魅力はもちろん、あちこちに散りばめられた伏線を見つける楽しみがゲームのように細かく作りこまれているからでしょう。 

 11月に英語版が出版された第4巻は「The House of Hades」
第3巻にもちらっと出てくる『ハデスの館』がそのものズバリ、舞台でありタイトルなんでしょうね。英語版の表紙は支え合うパーシーとアナベスですが、彼らの道の険しさが表れているイラストです。
 来年(2014年10月)発売予定の最終巻・5巻は「The Blood of Olympus」というタイトルになるそうです。
ガイアが必要としているものが「血(blood)」ということですから、危険な冒険はラストまで続くのでしょうね。

 息子たちが「うわぁ、続きが気になる!!」というので、「4巻、英語版を買ったら読む?」と聞いたら、「時間がない」とのこと。私だけでも買おうか……でもこの翻訳の面白さもあるので翻訳を1年間待つことにしようかな。

<関連記事>
『オリンポスの神々と7人の英雄』シリーズ - MOONIE'S TEA ROOM

<追記 2014.10.03.>
 「オリンポスの神々と7人の英雄」シリーズ4『ハデスの館』の発売日は、11月中旬になるそうです。詳しくはほるぷ出版のツイートをチェック!

<追記2015.10.24.>
 出版社のページではまだ見つけられなかったのですが、amazon.co.jpで、新刊の案内を見つけました。

『最後の航海 (オリンポスの神々と7人の英雄5) - 2015/11/20

 とのこと。いよいよ、「オリンポスの神々と7人の英雄」シリーズも最終巻。11月20日前後の発売予定ですね。
 楽しみです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする