息子が古本屋で探していた本が、増補改訂版で出版されました。
欲しいと思って探し初めて半年もしないうちに改訂版が出版されるなんて、とってもラッキーです。
『素数夜曲 女王陛下のLISP』吉田武 (東海大学出版会)3780円
英題は「Invitations of The Queen of Mathematics : (cons Primes LISP) 」
息子が生まれる前、1994年(平成6年)に出版された『素数夜曲・女王の誘惑』(海鳴社)を大幅に加筆・増補したもので、224ページが871ページに増えています!!
息子曰く、「ページが4倍ぐらいに増えたのに、値段は2倍しないんだよ!」だそうです。
(たしか、本体2000円で消費税60円の2060円でした!消費税3%の時代なんですね!)
改訂版の出版前までは古本で10万円近い金額でしたから、本当にありがたいことです。
「これならお小遣いで買える」と言っていましたが、毎年恒例の「夏休み用書籍購入費」で買ってやることにしました。例年は2冊だけど、これは2冊分の価値があるということで、今年はこの1冊。
よほど嬉しいのか、岩波国語辞典よりも一回り大きくて重いこの本を毎日のように持ち歩いております。
『オイラーの贈り物』『虚数の情緒』と並ぶ、吉田武・数学“全方位独学法”3部作(?!)の1冊ということで、そのうち残り2冊も我が家にやってくるのじゃないかなぁ……
。
表紙の絵は、多摩美大の中野嘉之教授の『凝』というタイトルの絵なのですが、この本を読み始めるとなぜ梟なのか分かるようになっています。この本のために描かれたということで、絵のタイトルも納得です。
中のイラストは大高郁子さん。小難しい本なのに、くすっと笑えるイラストが素敵。フクロー君も可愛いです。
(「百万遍」のイラスト、思わず吹き出しちゃいました
)
正直に言ってしまうと、私は計算が苦手で2桁の足し算でも紙に書かないとできないタイプ。
試験科目としての数学はわりと得意で、数学の証明や図形問題を解く閃き
の瞬間は好きだったのだけれど、やっぱり計算力が追いつかなくて、高校数学も受験対策・センター試験レベルまででした。大学入学後は、数学とは全く縁のない生活を送ってます。
だから、息子の「数学好き」には驚いてばかり。
この本も読む前に、「私向けではない」と判断しました。(スミマセン
)
この本は、「中学生から一般まで」とは書いてありますが、その前に「"数学を愛する"」という形容詞が必要な書籍です。(けっして「読めば数学ができるようになる」本ではありません)
定理の証明や数学オリンピックの問題にドキドキワクワクしている、少年少女にこそ読んでもらいたい!
数字をひらがなやカタカナのように読み、方程式や関数を日常会話のように理解し、証明や微分積分を友人や先生と語らい、関数電卓を常に携帯している(したいと思ってる)、そんな数学を愛する「数学ネイティブ」の中学生・高校生には本当にお勧めしたいですし、この本だけではないですが『知識を深める本』に早く出会えるといいですね。
とくにこの本は、図書館で借りるのではなくて、手元に置いて、電卓もパソコンも使って実際に計算し、時間をかけて読み進める本じゃないでしょうか。
「国語力も必要だよなぁ」と、ちょっと心配ですが、これを読みこなせるなら心配はいらないかもしれません。
<オマケの話>
息子に「『蘇州夜曲』って歌、知らないわよね?」と聞いたら、「?」という顔をしてました。
西条八十 作詩、服部良一 作曲、歌は李香蘭。 私の世代でも、知らない人が多いのでは……。
私は祖父の影響で聞いたことがあったので、書名を聞いたときに分かったのだけど。