MOONIE'S TEA ROOM

大好きな読書や言葉、料理のコトなど。

『パン焼き魔法のモーナ、街を救う』

2023年03月13日 | BOOKS
『パン焼き魔法のモーナ、街を救う』
著者:T.キングフィッシャー
ハヤカワ文庫

パンの発酵を促したり、ジンジャークッキーにダンスさせたり、そんな ささやかな魔法が使える女の子 モーナ。
ある朝、いつも通りにパンを焼きに厨房に降りていくと、そこには女の子の死体が…。
容疑者として捕まってしまったモーナに、次々と厄介ごとが襲いかかります。
街を守れる魔法使いは次々といなくなり、残った魔法使いはモーナだけ。
モーナは仲間と一緒に勇気と知恵を振り絞って、街を攻撃する敵や内部の敵と向かい合います。

敵を攻撃できるような強い魔法が使えるわけでもない、人を傷つけるような魔法を使ったことも、武器を持ったこともない女の子が戦争に巻き込まれていくストーリーは、とても主人公を身近に感じられると同時に不安感さえ共有してしまいます。
容赦無く近づいてくる敵との戦いがどうなるか。
虚しさはありつつも、モーナや仲間の健闘に励まされる一冊です。

この物語を読んでいるとき、頭の片隅ではずっとウクライナへの侵攻のことがありました。
今回の戦争を見ていて思うのは、英雄が必要となるような戦争なんて起きてはいけないということ。
戦争の中で「君たちは英雄だ」と大統領や国民が讃えてくれることよりも、本当は戦争に行く必要もなく家族と穏やかに暮らしている方がずっとずっと幸せなはずで、自分たちの国と家族を守るためでも誰かが犠牲になることは、どうしても悲しくて悔しい。

考えて、考えて、少しでも より良い方へ。
モーナの物語は「自分で考えること」の大切さを教えてくれます。



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