MOONIE'S TEA ROOM

大好きな読書や言葉、料理のコトなど。

『ナーダという名の少女』

2014年04月29日 | BOOKS
『ナーダという名の少女』
著者:角野栄子
角川書店


 『魔女の宅急便』の著者 角野栄子さんの、ブラジルを舞台にした少女たちの物語です。


 思春期の少女 アリコの心をかき回す、同性と異性の友人たち。
 『魔女の宅急便 3 キキともうひとりの魔女』の ケケを思い出すような、不思議な少女 ナーダとの出会いが、アリコの毎日を大きく変えていきます。

 ラテンアメリカ・ブラジルの熱い空気感・音楽のリズム。
生と死、貧富の差、友情と恋愛、どこか熱にうかされているような思春期の苦しみと喜びが混在する物語です。
 『魔女の宅急便』よりも、もう少し大人に近づいた少女向けでしょうか?

 著者の人生に大きな影響を与えたブラジルの生活と、そこで出会った友人たちの想い出への「センチメンタルジャーニー・感傷旅行」にも思えます。
 表紙のイラストもとても印象的。色彩豊かで、はっきりとしていて、本当に ナーダそのものです。


 『思い出のマーニー』にも似ていますね。
2人の少女の運命的な出会い、母性の不在、明らかになる二人の不思議な繋がり。
 イギリスとブラジルですし、時代も違いますが、両方読むと面白いと思います。

<追記>
 2014年春の叙勲で旭日小綬章の受章者に著者 角野栄子さんが選ばれたそうです。


 
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タケノコの姫皮と油揚げの明太子和え

2014年04月25日 | 料理&美味しいもの
 生タケノコを家で茹でたら食べることができる「姫皮」。
 タケノコの茶色い皮の内側の白くて柔らかい皮の部分です。
(もちろん、下茹で前に皮を剥いたり、捨てちゃったりしないでくださいね!)

 姫皮料理といえば、我が家では明太子和えやお吸い物が定番です。でも、大きなタケノコでも姫皮って量が少ないので、家族みんなで楽しむために今回は油揚げ(薄揚げ)で増量しました。これが、想像以上に美味しくて、家族に大好評。今後はこれが定番になりそうです。

 茹でタケノコの姫皮を切って、香ばしく焼いた薄揚げと一緒に明太子で和えるだけ。
下茹では手間が少々かかりますが、この美味しさのためなら頑張れちゃう。

タケノコの姫皮と油揚げの明太子和え

<材料>
・姫皮 大きなタケノコ1本分(下茹で済みのもの)
・油揚げ 1枚
・明太子 1~2腹(約100~200g)お好みで加減してください!
・しょうゆ 少々
・木の芽(あれば。飾り用)

<作り方>
(1)茹でタケノコの皮から、白く柔らかい部分を切り離し、食べやすいサイズに切る。
(2)油揚げはグリルなどであぶり食べやすいサイズに切るか、切ってからフライパンで香ばしくなるまで焼く。
(3)明太子は皮からだし、しょうゆを少々加え、(1)と(2)を和える。
(4)器に盛り付け、木の芽をあしらう。


 自分で茹でるからこその、香りと食感と姫皮料理。春は素敵ですね。


<参考サイト>
タケノコの下ゆでの方法を知りたい! - サントリーcafeプラス
 下茹での方法が載っています。
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『コロボックル絵物語』

2014年04月23日 | BOOKS
『コロボックル絵物語』
作: 有川浩
絵: 村上勉
講談社


 コロボックルを信じていた大人たちに、そしてこれからコロボックルに出会う子どもたちに。
佐藤さとるさんのコロボックルと、これから始まる有川浩さんのコロボックルをつなぐ1冊の絵物語です。

 ドキドキするような新しい出来事が起こる本ではありません。
ただ、新しく始まる物語への期待感がふくらむ、そんな物語です。
 木の上で良い風を待って、とぶ準備をしているコロボックルのように……。

 「あぁ、私も子どものころ、コロボックルを信じてた」
そんな懐かしい気持ちになる私たち・親の世代が買っちゃうんだろうなぁ。(私のように!)
 そして、この本を見つけた子どもたちが、ぜひ読み始めてほしいですね。

 単行本には、「コロボックル物語全作ガイド」は挟み込まれていて、佐藤さとるさんから有川浩さんへの手紙も掲載されています。
(下記の特設ページにも掲載されているものです)

 新シリーズ長編は来年春ぐらいの刊行のようです。本当に楽しみ!

<関連サイト>
Welcome コロボックル物語 特設ページ - 講談社BOOK倶楽部

<関連記事>
「コロボックル物語」、続編刊行!- MOONIE'S TEA ROOM
『だれもが知ってる小さな国』- MOONIE'S TEA ROOM
 2015年10月、いよいよ新シリーズ初の長編が発売になりました。『だれもが知ってる小さな国』の感想を書いてます。
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『上野池之端 鱗や繁盛記』

2014年04月19日 | BOOKS
『上野池之端 鱗や繁盛記』(うえの いけのはた うろこや はんじょうき)
西條奈加/著
新潮社


 落ちぶれた料理屋を立て直していく若旦那と店の奉公人たち。
しかし、優しく理知に富む若旦那には何か秘密があることに、若い女中 お末は気が付いていきます。

 6つの話は、美味しそうな料理が登場するだけでなく、1話1話に小さなミステリーが登場し、最終話へとつながっていきます。

 西條奈加さんのお話は、現代ものでも時代物でも人間の愚かさと愛すべき姿を描いていて、読んでいて切なくなったり、あたたかい気持ちになったり……。非常に魅力的な作家さんです。
最終話は「八年桜」。遅咲きの「霞桜(カスミザクラ)」だそうですから、ちょうど今の季節ですね。
 やわらかく暖かい春の日のような表紙イラストも素敵です。

<参考リンク>
カスミザクラ - 植物生態研究室(波田研)
 物語に登場する「カスミザクラ」の写真があります。4月の中旬~下旬、新緑のころに咲くそうですよ。
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『働かない息子・娘に親がすべき35のこと』

2014年04月17日 | BOOKS
『働かない息子・娘に親がすべき35のこと』
監修:二神能基 畠中雅子
アース・スター エンターテイメント


 「ひきこもり」という言葉が世の中に定着してどのぐらいたつでしょうか?
 最近「ひきこもりの高年齢化」についての書籍がいろいろと出版されています。

 この本は、とくに成人した「ひきこもり」のお子さんがいる保護者を対象にした本です。

 保護者の価値観・理想と、現実のギャップ。
 保護者のコミュニケーション不足(思い込みと押し付け)。

 日本の高度成長期を過ごした親と、就職しても不安定な現代を生きる子供たちの「理解しあえない」価値観の違いを、保護者が認識することから始めることを勧めています。

 「親に愛される、親の期待に応えられる人間になりたい」という頑張り屋の子どもたちが、親の理想である「ほんの一握りの勝ち組」になれなかったときに、「ひきこもり」は生まれてしまうのかもしれませんね。

 ファイナンシャルプランナー監修の「3章:息子・娘のために親が準備しておくべきこと」は、親の資産を上手に残して、親の死後に備えるというもの。
 資産のない家庭のプランがもっと詳しく載っていればよかったのですけれど……。


 親の理想で縛り付けずに、とりあえず日々の生きる糧を自分で得られるように、子どもを開放し、自立させること。
子育て真っ最中の私も、肝に銘じておこうと思います。
 
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「コロボックル物語」、続編刊行!

2014年04月16日 | BOOKS
 大ニュースです。
 あの佐藤さとるさんの「コロボックル物語」シリーズに続編が!
それも、なんと書いてくださるのは有川浩さん。イラストはもちろん、村上勉さんです。

Welcome コロボックル物語 特設ページ - 講談社BOOK倶楽部

 佐藤さとる版から有川浩版への架け橋になる新刊が今日発売予定です。

『コロボックル絵物語』
作: 有川浩
絵: 村上勉
講談社


 あぁ、なんてこと。
 本当に楽しみです。
 きっと、小学生の私が夢中になったように、娘が夢中になって読んでくれるような気がします。

 特設ページのインタビューには「来年の今頃には」と書いてありますから、きっと来年春には有川版コロボックルの新シリーズが幕開けです。
 まずは、『コロボックル絵物語』と今までの物語を読み返そうと思います!

<関連記事>
『コロボックル絵物語』- MOONIE'S TEA ROOM
 まず、前シリーズと新シリーズを繋ぐ架け橋となる絵物語です。
『だれもが知ってる小さな国』- MOONIE'S TEA ROOM
 2015年10月、いよいよ新シリーズ初の長編が発売になりました。『だれもが知ってる小さな国』の感想を書いてます。
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ジンクス!ジンクス アゲン!(Jinx! Jinx again!) - 『アナと雪の女王』

2014年04月15日 | Radio & Music&TV
 映画「FROZEN」、『アナと雪の女王』の中で流れる「Love is an Open Door」(邦題「とびら開けて」)。
 主人公アナとハンス王子が歌うデュエット曲です。

 この歌の中に、「Jinx! Jinx again!」という歌詞があります。
 日本語訳では「あ、またそろった!」と訳されていますね。

 「え?なんでジンクス?どういう意味?」と思う方も多いのじゃないでしょうか?
 これは、アメリカの言葉遊びというか罰ゲームのようなもので、「Jinx Game」というものだと思います。
 同じ言葉を同時に言ってしまったときに、先に「ジンクス!」と言ったほうが勝ち……というものです。
 アナとハンス王子は「ジンクス!」も「ジンクス アゲン!」も同じタイミングなので、引き分けですね!
Jinx (children's game) - Wikipedia(英語)

 日本では「良い縁起担ぎ」の意味でも使う「ジンクス」ですが、英語の「jinx」は「悪運・不運・縁起が悪いもの」という意味で、このゲームは同じ言葉を同時に言った人に先に「Jinx!」ということで小さな呪いをかけちゃうという、少し意地悪な言葉遊びのようです。
 「ジンクスをかけられた人(=jinxee)」は、ジンクス(不運・悪運)を背負ってしまうわけです。
 このジンクスを解くためには、誰かほかの人が名前を呼んでくれないといけないとか……。
 でも、最近は飲み物をおごったりする罰ゲームになってるようです。
(ほかにも、「『ジンクス』というときにはポンと肩を軽く叩く」などいろいろなルールがあるみたい

 これ、一昔前に日本でも話題になった「ハッピー・アイスクリーム」の原型じゃないでしょうか。
(同じタイミングに同じ言葉を言ったときに、先に「ハッピーアイスクリーム!」と言った人が、相手からアイスクリームをおごってもらえるという決まりだったように記憶しています
 「Jinx」という言葉の縁起の悪さを嫌った人が、代わりに使ったのかもしれないですね。

 もちろん気が置けない仲良しの友だちじゃないとできないゲームですよね。
 一緒に過ごしているときに、ふと同じ言葉を言ってしまうような仲良しの友だちだったら、ときどきはおごってもいいかなぁ。


<参考サイト>
Love is an Open Door - DisneyWiki
 ディズニーウィキ(英語)。「Love is an Open Door」の歌詞が分かります。

<追記>
 「Jinx! Jinx again!」の発音は、英語発音に近いようにカタカナで書くとしたら「ヂィンクス! ヂィンクサゲン!」という感じ。
「again」は、二重母音の「アゲイン」に近い発音もあると辞書にはありますが今は少数派のようです。
 「アゲイン」というカタカナで見慣れているのは、なんででしょうねぇ?「シーユーアゲイン(See you again.)」かな?

<関連記事>
Finish Each Other's... Sandwiches! - 『アナと雪の女王』 - MOONIE'S TEA ROOM
 今回の記事と同じ曲の中で、サンドイッチがなぜ出てくるか記事にしています。
『アナと雪の女王 サウンドトラック』時系列順並べ替え - MOONIE'S TEA ROOM
映画「FROZEN」(『アナと雪の女王』) - MOONIE'S TEA ROOM
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「a.k.a.」 は 「as known as」

2014年04月13日 | BOOKS
 英語で作者名の後に「a.k.a.」と書いてあるのをご覧になったことありますか?
 どんな意味の言葉かというと、「as known as」の省略形で「~という名前(別称)でも知られている」という意味です。

 結婚して苗字が変わったり、ペンネームを何種類も使い分けていたりする作家さんなどに使われます。


 遊び見返しや目次のページの近くに、英語タイトルや著作権情報などが書いてあると思います。
 「a.k.a.」を見つけたら、別名の作品も調べてみると面白いですよ。
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『思い出のマーニー』 と 「めぐりあい」

2014年04月10日 | BOOKS
 少女たちの心の成長の物語『思い出のマーニー』。
 先日、病院で相田みつをさんの額装詩「めぐりあい」が飾ってあるのを見て、すぐさま『思い出のマーニー』を思い出しました。

 ただ一人でも、本当に心から「あなたに出会えてよかった!」と伝えてくれる存在があることの大きな大きな意味。
 心の底から「誰かに必要とされている」と感じる経験が少女たちや周りの大人たちを変えていく、この物語の根幹を50文字弱の詩が伝えてくれているように思います。

 ほかにも、相田みつをさんの詩には、人と人との出会いを描いた詩がいくつかあります。
たとえば、「そのときの出逢いが」「ひとの世の」「出逢い」など。
 どの詩も短いですが、めぐり合うことの不思議と、出会うべき人に出会えた時の奇跡のようなものを絶妙に表現しています。

 『思い出のマーニー』は、めぐりあい・出逢いの物語なのだなぁ。
 何十年経っても、詩と児童文学とジャンルは違っても、人の心に響くものには、共通するものがあるのですね。

<参考サイト>
相田みつを美術館 企画展『めぐりあいの世界』
株式会社アルナ - 相田みつを作 「めぐりあい」
 作品「めぐりあい」の画像を見ることができます。

<関連記事>
『思い出のマーニー』(「When Marnie Was There」) - MOONIE'S TEA ROOM



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『おはよう スーちゃん』

2014年04月07日 | BOOKS
『おはよう スーちゃん』
ジョーン・G・ロビンソン作・絵
中川李枝子 訳
アリス館

 『くまのテディ・ロビンソン』や『思い出のマーニー』の著者ジョーン・G・ロビンソン(Joan G. Robinson)の幼年童話です。
原題は「SUSIE AT HOME」。「おうちのスージーちゃん」という感じでしょうか。
 小さな女の子 スーちゃんと優しい家族の日々の出来事が、とてもあたたかく描かれている、私の大好きな1冊です。

 スーちゃんはお人形遊びの好きな女の子。
 年齢は4~5歳ぐらいでしょうか?
 9つのお話が入っていて、それぞれはそんなに長くないので、読み聞かせにもいいですね。
 女の子を持つ親だったら、娘さんが大きくなってからでも、このお話を読んだら懐かしく幸せな気持ちになること間違いなしです。

 ロビンソン女史には2人の娘さんがいて、デボラさんとスザンナさんとおっしゃるそうです。
 『くまのテディ・ロビンソン』に出てくる女の子はデボラちゃんですし、今回のスーちゃん(Susie スージー)はスザンナの愛称ですから、きっとお嬢さんたちのために書いた本なのでしょうね。

 表紙も挿絵も著者本人のイラスト。
とても可愛くて、見ているだけでも優しい気分になりますよ。
 
 
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子どもと一緒に生ワカメをゆでよう!

2014年04月05日 | 料理&美味しいもの
  

 生ワカメの旬は早春。
 スーパーでも茶色の生ワカメやメカブが売っています。

 山育ちの私は、生ワカメなんて大人になるまで買ったことがなかったのですが、これが本当に美味しくて、しかもゆでる時の色の変化が魔法みたいで、春になると買わずにはいられません。

 左の写真がゆでる前。右の写真はゆでて冷水にとった後ザルにあげたところです。

 あんな茶色のワカメが実は美味しいワカメをゆでる前の状態だったなんて……、知らずにいたら人生の大きな損失です。

 茶色から緑色に変化するのは、本当に一瞬。
まるでマジックのようで、いつ見ても感激してしまいます。
 ついつい、子どもを呼んで「ほら、見てて!!」と「わかめ茹で実演ショー」のような台所です。

 これで子どもたちも大人になった時に美味しい旬のワカメを食べられますし、とっても良い食育になりますよ。

 生ワカメの茹で方は、
(1) まず水で洗って、太い部分とひらひらの部分に切り分ける。
(2) 大きな鍋にお湯をたっぷり沸かし、沸騰したお湯に太い部分からワカメを入れる。
(3) 色が変わったら、すぐ冷水にとり、水気を切る。
 (我が家ではザルにあげた後、大きな布巾に包んで水気を切ります)
ゆですぎないのがポイントです。たっぷりのお湯で茹で、さっと色が変わったら引き上げてくださいね!

 食べやすい大きさに切って、サラダ・酢の物などなど、お好きな料理にどうぞ!
 茎わかめ(太い部分)は、細く切ってごま油でちくわといためたり、シンプルなきんぴらも美味しいです。(茎わかめそのものの塩味が強いこともあるので、調味料は控えめに)
 茹でた後水気を切った状態で冷凍保存もできるそうですが、食べきってしまうので試したことがないのですよね……。

 ぜひ、お子さんと一緒にゆでてみてください!
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『マリアンヌの夢』『海の休暇』

2014年04月03日 | BOOKS
『マリアンヌの夢』(「MARIANNE DREAMS」)
キャサリン・ストー(Catherine Storr ) 作
猪熊 葉子 訳
岩波書店<岩波少年文庫>


『海の休暇』(「MARIANNE AND MARK」)
キャサリン・ストール 作
新谷 行 訳
学研<ジュニア世界の文学 12>(1971年)

 『思い出のマーニー』を読んでいて、ふと気になったのが『マリアンヌの夢』と続編である『海の休暇』。
 イギリスの女の子が夢と現実の狭間のような場所で友人ができるというストーリーも、「マリアンヌ」という名前も、ロンドンから海辺へ保養に行くという設定も、『思い出のマーニー』から連想されて、2冊合わせて読んでみました。
 (『思い出のマーニー』と『マリアンヌの夢』は同じ岩波少年文庫から出ています)

 『マリアンヌの夢』は、10歳の女の子・マリアンヌが主人公の物語。
 病気が原因で長期療養しているマリアンヌが、夢の中の世界と現実が密接につながっているような不思議な体験をするのですが、小学生ぐらいの女の子の純粋な子どもらしさと、子どもの未熟さゆえの残酷な部分や心の中に抱える恐怖が、子どもの目線でまざまざと描かれていて、子ども時代の自分の心の中を恐る恐るのぞき見ているようなそんな気分になります。
 心の中にある善ではないもの、どこからか沸き起こる妬みや寂しさ・いら立ち、大人でも説明しきれないような感情の揺れ。子ども時代を過ぎたら忘れてしまうような不安定な心理状態をファンタジーの形で描いているからこそ受け入れられるのかもしれません。著者のキャサリン・ストーは精神分析医でもあり、この本は子どもの心理を描いた本としても非常に貴重であると思います。
 
 『海の休暇』は、『マリアンヌの夢』の5年後を描いた物語。
 原書のタイトルは『マリアンヌとマーク』(「MARIANNE AND MARK」)と、非常にシンプルです。
 前作で、夢の中だけの友人だった二人がやっと出会うのですが、それは物語が3分の2も過ぎてから。
 物語の前半は、少し成長した14歳(もうすぐ15歳)のマリアンヌの思春期の少女らしい悩み・見栄・愚かな行動に、かつて少女だった多くの女性が「あぁ、分かる」と内心反省しながら読むのじゃないでしょうか。(私も反省・赤面しながら、過去のあれこれを思い出しました
 好きでもない男の子でも「女性」として扱われると嬉しかったこと、「普通でない」と言われると不安だったこと、「私たち」というグループの中に入れないことに劣等感と妬みを感じたこと、「ボーイフレンド」のいる優越感や、占いや超常現象を信じてしまうような「何かにすがりたい」と思う心理……。どれもこれも、今の女の子たちにもありそうなことですよね。
 しかし、この『海の休暇』の何よりも素晴らしいところは、マークの成長ぶり。理性的で、聞き上手で説明上手。女の子の保護者に対しても臆せずにきっちり話せるところなんて、非常に魅力的な好男子です。前作のマークの駄々っ子ぶりを思うと、この5年間の成長に感激してしまいます。この時期の男子の成長は目覚ましいものがありますからねぇ。


 『海の休暇』は今では希少本のようで、京都府の図書館で「府内1冊本」でした。
 「ジュニア世界の文学」シリーズなので、学校図書館にはあるかもしれませんね。
 学研(学習研究社)からの出版が1971年ということですから、もう45年も前です。
 そのため、「すてばち」のように懐かしい言葉も出てくるので、今の中学生には難しいかもしれませんが、教育関係に進む学生さんには是非読んでもらいたいと思う2冊です。


 ちなみに、『マリアンヌの夢』(「MARIANNE DREAMS」)は1958年の作品。続編の『海の休暇』(「MARIANNE AND MARK」)は1960年。
 『思い出のマーニー』(「When Marnie was there」)は、1967年に出版されています。
 イギリスで出版された、同じ世代の女性作家による、同じようにファンタジー色の強い物語ですけれど、『思い出のマーニー』が「優しい不思議」だとすれば、『マリアンヌの夢』は「ちょっと怖い不思議」ですし、ファンタジーではない『海の休暇』は「思春期の悩みと出会い」といった感じ。
 映画の原作として『思い出のマーニー』に興味を持ったかたは、こちらの2冊もいかがでしょう?
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小説版『FROZEN』(『アナと雪の女王』)

2014年04月01日 | BOOKS
 ジュニア版ノベライズなのですが、映画のストーリーを余すところなく、とても分かりやすく表現しています。
 映画には出てこないセリフや場面もあって、よりいっそう登場人物や話の流れを理解できること間違いなし!

 この写真のものは英語版ですが「9歳から12歳向け」ということで、中学英語ができたら読めるレベル。
 ペーパーバックの真ん中にはカラーページがあって、映画の場面を振り返れます。(カラーページは「ネタバレなし」なので、読む前に見てしまっても大丈夫。)

 あのシーンもこのセリフも、小説版を読まないと知ることができないかと思うと、映画を気に入った人には「読んでみて!!」と声を大にして言いたいです。
 私はマシュマロの登場シーンのオラフのセリフが大好き!!


 そうそう、日本では「オーロラ」って言っているものを英語では「northern lights」って言うんですね。知りませんでした。


 日本語版は偕成社さんから出ています。
 英語版が128ページなのに、日本語版が238ページってすごいですね。表紙イラストも違います。
 「小学生から」となっていますが、ぜひ大人も手に取ってみてください!
ディズニーアニメ小説版
『アナと雪の女王』
作:サラ・ネイサン
作:セラ・ローマン
訳:澁谷正子(しぶやまさこ)
偕成社


<追記>
 竹書房さんからも日本語版出ていました。
『アナと雪の女王』
著者:サラ・ネイサン/シーラ・ローマン
訳:有澤真庭
竹書房

 こちらは、中高生から大人向きのようです。漢字も表現も少し小学生には難しいかな?

 そして、こちらも。
『ディズニームービーブック アナと雪の女王』
文: 中井はるの
構成: 駒田文子
講談社

 こちらは、小学校の低学年から読めるものですが、映画に忠実。映画にない場面はないようです。


<関連記事>
『アナと雪の女王 サウンドトラック』時系列順並べ替え - MOONIE'S TEA ROOM
映画「FROZEN」(『アナと雪の女王』) - MOONIE'S TEA ROOM
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