


雨が空から降れば、思い出は地面にしみこむとキノコが続々。雨の日はしょうがないなんて言わずに山に行くのでした。雨の山行は、実は嫌いではありません。雨の日でしか見られない風景があるからです。それに雨の日は野生動物も人が来ないと知っているせいか、結構気がゆるんでいたりします。
昔、雨の日に息子と山の細い一本道で小尾根を回ったら、目の前に大きなヤマドリがいました。お互いそれはびっくりしたものです。小尾根を回ったら目の上に猪が五頭いたこともありました。大きなアオダイショウが、突然の登山者に、前に進むのではなく横に飛び跳ねて斜面を転げ落ちていったこともあります。蛇は、慌てると這うのではなく転げ落ちるというのを初めて見ました。
夏休みなのに、戻り梅雨のためか、最近の子供は山の子でも外ではあまり遊ばないのか、まったく姿が見えません。こんなに豊かな自然に囲まれているというのに、もったいないことです。暗くなるまで帰ってこなかった僕たちの子供時代とは隔世の感があります。ガンダム世代が親の子供達ですからね。仕方がないのかも。
今回の収穫は、なんといってもアカジコウの群落をみつけたことです。なんの気なしに林道脇の急斜面をよじ登り、藪を突っ切ってみると、大きなアカジコウがたくさん。ほとんどは虫が入っていてだめでしたが、小さなものはなんとかセーフ。アカジコウといえば、イグチ科のキノコの中でも美味しいと評判でありながら、アカヤマドリと同様に夏のキノコであるためと、虫が入りやすく食べ頃に出会うのが難しいため、以外と幻のキノコだったりします。40~50本はあったでしょうか。いいものだけを採りました。似ている毒キノコもあるので、同定は慎重に確実に。自信がなかったら絶対に食べないことです。
そして、今回もアカヤマドリを見つけました。幼菌が4本と成菌が2本。さらに崖の際でアイタケを見つけました。写真のように白いハツタケに緑青(ろくしょう)色の鹿子模様がついた、なんだかお洒落なキノコです。食べられそうに見えませんが、なかなか美味しい出汁だ出ます。生活の柄も色褪せたときに、野生のキノコは少しだけ力をくれるのです。採りにさえ行けば、野生のキノコに値上げはないですからね。あんまり蒸し暑いので帰ってアイスクリームを食べました。サガミじゃないですよアカギのです。
アイタケは、澄まし汁で卵とじに。アカヤマドリは定番のオムレツと醤油、酒、味醂で煮て瓶詰めにしましたが、カレーライスにもピッタリです。カレーライスの女も好きですが…。アカジコウは、スライス。少し醤油を垂らしてシンプルにバターソテーにしました。なかなかの一品です。
MORI MORI KIDS Nature Photograph Galleryには載せますが、もうひとつ猛毒のドクツルタケも採取しました。もちろん食べるためではありません。害虫退治のためです。たった一本食べただけで遠い世界に行ってしまいます。掲載の写真。下の三点は毒、もしくは食べられないキノコです。野生のキノコ狩りをしたかったら、まず猛毒のキノコを確実に覚えることです。その後で美味しいキノコを。食べられるキノコと美味しいキノコは別です。無毒でも美味しくないキノコもたくさんあるのです。そして、キノコには向いている調理法というものがあります。それを知るのも大切なことです。
それにしても、この梅雨の戻りでキノコの饗宴はいつまで続くのでしょう…。
★ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、特殊な技法で作るパノラマ写真など。キノコ、夏の花、昆虫、樹木、蝶などを更新しました。トレッキング・フォトルポにない写真も掲載してあります。