モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

信州の夏は高原に限りますな(妻女山里山通信)

2010-06-12 | アウトドア・ネイチャーフォト
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 下界の最高気温が29度という日、とある高原へと向かいました。目的は山菜採りですが、ついでに山も登ってしまおうという欲張りな計画。標高差は250m程ですが、ほぼ真夏の直射日光を浴びながら急登をこなすのは結構体力が要ります。気温は20度ほどですが、虫が大量発生してまとわりつくのには閉口しました。
 それでも高度をかせいでいくと眼下に広がるのは見事な大パノラマ。時折吹く風が、なんとも心地よい。

 高原の夏の花の時期にはまだ少し早いのですが、足元には一面のミツバツチグリの群生。桃色の縁取りが可愛いツマトリソウ。ツマトリソウは、「妻娶り草」でも「妻と理想」でもなく、花の縁が薄い紅色に縁取られることから「端取草」。サクラソウ科ですが、APG植物分類体系ではヤブコウジ科になりました。従来の分類法は、主に植物の花の形態から分類するのに対し、この分類法は遺伝子レベルでゲノムの相違を検証するものです。

 林の縁にはアマドコロ(甘野老)が。同じユリ科のナルコユリ(鳴子百合)や毒草のホウチャクソウ(宝鐸草)と似ていますが、アマドコロは、茎の断面が角張っていて花柄と花の間に突起がありません。ホウチャクソウは、茎が分化し花期が早めです。アマドコロは、山のアスパラと呼ばれるオオナルコユリと共に美味しい山菜です。

 急な斜面には、ヤグルマソウがシダと共に大きな群生地を作っていました。一般的に矢車草と呼ばれているの青や紫の園芸種は矢車菊。こちらが本当のヤグルマソウです。まもなく白い銀河のような小さな花を咲かせます。

 山頂を極めた後、ほとんど人が来ない山奥で、熊に気遣いながら山菜を採取してザックに入れ、手持ちの大きな手提げ袋にも入れました。ずっしりと重くなった荷物を背と手によろよろと下山して見晴らしのいい場所に陣取り昼食。冷たいビールが体中に染み渡りました。カッコウのさえずりとキジの大きな鳴き声が時々響きます。森の中からはハルゼミの合唱。信州の夏は高原に限りますね。

★ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、地衣類、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。

★夏の信州のトレッキングは、フォトドキュメントの手法で綴るトレッキング・フォトレポート【MORI MORI KIDS(低山トレッキング・フォトレポート)】にいくつかアップしてあります。ご覧下さい。

★山菜料理は、新信州郷土料理として、MORI MORI RECIPE(モリモリ レシピ)にいくつもあります。今の季節は、痺れる縮緬山椒が旬。
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