モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

ヘビイチゴとヤブヘビチゴ(妻女山里山通信)

2010-06-22 | アウトドア・ネイチャーフォト
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  梅雨に入ると里山ではヘビイチゴやキイチゴがたくさん目につくようになります。ところで、ヘビイチゴ属にはヘビイチゴとヤブヘビイチゴがあります。春のバラ科の黄色い花は、みな同じように見えて同定が難しいものです。オヘビイチゴはキジムシロ属で、葉が2~5枚ありつる性というより立ち上がるので見分けがつきます。また、赤い果実ではなく褐色なので、これも見分けがつきます。

 ヘビイチゴとヤブヘビイチゴの見分け方ですが、花の時期にはなかなか難しいものがあります。花はそっくりですが、葉はヘビイチゴの方が大きく緑が濃いのが特徴。生育場所がヘビイチゴは、日当りのいい場所。ヤブヘビイチゴは、林の中や縁、薮の中などやや日陰ということでしょうか。写真のヘビイチゴは日当りのいい林道脇、ヤブヘビイチゴは日陰になる森の林床にありました。花の下にある副萼片が萼片よりも長いのがヘビイチゴ。短いのがヤブヘビイチゴですが、よく見ないと分かりません。

 果実になると違いがはっきりしてきます。写真を見ると一目瞭然。まずイチゴはそれ自体は偽果で痩果(そうか)といい、本当の果実は表面のつぶつぶです。ヘビイチゴは、痩果の直径が8~10ミリぐらい。色が淡く、時には痩果の表面は白です。果実のつぶつぶにはしわがあり光沢がありません。
 ヤブヘビイチゴは、痩果の直径が10~20ミリぐらい。色が濃く、光沢があります。

 子供の頃、ヘビイチゴは毒があると聞かされていましたが、実際は無毒です。食べてみたことがありますが、スカスカした甘みのない無味無臭の不味いイチゴです。食用に不適というだけで毒性はないようです。中国では、ヤブヘビイチゴをジャモ(蛇苺)といって全草を熱、咳、のど、痔の薬として用いるそうですし、抗がん活性作用もあるそうです。そうすると、この名前も古代に中国から入ってきたということなのでしょう。蛇苺は、本来薮蛇苺のことだったのですが、どこかで入れ違ったのでしょう。

 いすれにしてもヘビイチゴは、不味くて食用にはならないが、蛇なら食べるだろうとか、蛇にかまれたときに薬用としたことからの命名といわれています。古代に伝わり、薬草だったという割には万葉集にも出てきませんが、蛇が食べるイチゴでは歌にもならないということでしょうか?

「蟒蛇(うわばみ)の 喰う様可笑し 蛇苺」 林風

 蛇が苺を食べる様を想像すると、なんだか不似合いで可愛らしくておかしいのですが、当の蛇からはそんなもの食べないよと言われそうです。

★ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、地衣類、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。シマヘビの黒化個体の写真やアオダイショウの子供の写真、マムシの抜け殻の写真もあります。

★夏の信州のトレッキングは、フォトドキュメントの手法で綴るトレッキング・フォトレポート【MORI MORI KIDS(低山トレッキング・フォトレポート)】にいくつかアップしてあります。菅平高原の大松山アップしました。ご覧下さい。ミツバツチグリの拡大写真にバラ科の黄色い花の見分け方が載っています。
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