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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

妻女山の貝母は残花に。種も見られます。見頃は今週末まで。仁科三山と白馬三山(妻女山里山通信)

2021-04-21 | アウトドア・ネイチャーフォト
 21日(水)も、たくさんの方が訪れてくれました。貝母は満開を過ぎて散り始めていますが、まだまだ見頃です。花びらが落ちて種と雌しべだけになったものが見られるのも貴重です。訪れてくれた方々には、貝母の歴史や、12年かかったここの整備の歴史、陣場平の川中島の戦いのことなどをお話しています。
「時々の 花は咲けども 何すれぞ 母とふ花の 咲き出来ずけむ」丈部(はせつかべ・はせべ)真麻呂(万葉集)
 これが貝母のことであるという説があります。丈部真麻呂は、遠江国山名郡(現在の静岡県袋井市)で徴兵され九州に派遣され国境警備にあたった兵士・防人(さきもり)でした。
 意味は、季節ごとに花は咲くのに、どうして母という花は咲かないのだろうか(咲くのだったら摘み取って共に行くのに)。防人というのは、21歳から60歳までの健康な男子が徴兵されました。任期は三年で、延長もされたそうです。食料・武器は自弁で帰郷は一人で帰るため、途中で野垂れ死ぬ者も少なくなかったとか。人民には重い負担になったようです。

 満開のカスミザクラの下で咲く貝母(編笠百合)。貝母の鑑賞は、午前中がオススメです。午後になると強風が吹き始めるからです。ピクニックランチを持って登ってこられる方も多いですね。拙書でも紹介の鞍骨城へ登る途中に立ち寄る方も多いです。

(左)花も全開しなくなりました。下から上に向かって咲いていくので、下からしなびて散っていきます。(右)右は花びらが散って雌しべとさく果だけになったもの。まだ小さいのですが、最終的には、直径2センチ以上になります。さく果といってホウセンカのように弾けて飛びます。その時、東風(こち)が吹くことが多いので西へと増えていったのです。

(左)初めて訪れた方は、必ず歓声をあげます。今年もたくさんの人達の目と心を楽しませてくれた貝母に感謝です。妻女山里山デザイン・プロジェクトの保全作業は、7月まで続きます。(右)セリバオウレンの種も褐色を帯びてきました。

 昼食は堂平大塚古墳のログハウスを借りました。ホットサンドにはまっていて、今回はベーコンとポテトとアスパラの卵とじ。クマバチの羽音を聞きながら北アルプスを眺めながらまったりと過ごしました。堂平大塚古墳は、横穴式で古墳時代末期のもの。横穴式なのでリユースができます。

(左)脇に咲く花桃も満開です。(右)ハナネコノメの群生地があります。

 春のバラ科の黄色い花はたくさんあって同定が難しいのです。ヘビイチゴ、ヤブヘビイチゴ、オヘビイチゴ、ミツバツチグリ、ツルキンバイなどなど。みな似ています。これは、葉の枚数などから、キジムシロでしょう。

(左)ログハウスの下にある蟹沢(がんざわ)の泉に咲く山葵(ワサビ)の花。(右)ハナヤスリ目ハナワラビ属の一種だと思います。希少で貴重です。

 堂平大塚古墳から望む仁科三山の爺ヶ岳。山頂の左に見える黒い影は、近くを飛ぶ鳶(トンビ)だと思います。

 鹿島槍ヶ岳を挟んで右に五竜岳。山頂右下の有名な武田菱は、暖かさでつながっていますね。しかし、北アルプスはまだまだ冬山です。

 妻女山(旧赤坂山)展望台からの白馬三山。手前の茶臼山中腹は、リンゴの産地です。花が咲くのも今年は早いでしょう。その手前は、篠ノ井の町並みです。激しい気温差で体調が最悪なので、早めに下山して温泉へ向かいました。

 22日(木)、23日(金)も大勢の方が訪れてくれました。リピーターも多いのですが、山登りに来て私の説明を聞いて訪れた方もいます。初めて見る方は、やはり驚かれます。散り始めましたが、週末までは、まだまだ見頃です。森の中の日当たりが悪いところの貝母は、まだ開いています。あちこちでウワミズザクラも咲き始めました。堂平大塚古墳では、ヤマツツジも咲き始めました。午後は、2時過ぎぐらいから風が強く吹くので、お弁当を持って午前中に訪れるのがいいでしょう。今日は、陣場平に入ろうとしたら、猪が二頭、猛スピードで駆け抜けて行きました。

妻女山陣馬平の貝母を発見してからの保全活動の歴史。今年も満開です(妻女山里山通信):2009年の写真などは、現在と全く異なる風景です。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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