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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

妻女山は貝母だけではないのです。雨上がりには粘菌が出現。かの南方熊楠が夢中になり、中国の歴代皇帝が求めた不老不死の薬?(妻女山里山通信)

2022-05-13 | アウトドア・ネイチャーフォト
 たくさんの人が訪れてくれた妻女山陣場平の貝母は散りましたが、ヤマツツジ、ガマズミ、ホタルカズラ、ギンランが咲き、ウスバシロチョウが舞っています。サンコウチョウやオオルリの鳴き声も聞こえます。まもなくカッコウやブッポウソウの鳴き声も聞こえ、何種類ものゼフィルスも舞い始めるでしょう。そして、それ以外にもほとんどの人が知らない生物が現れるのです。それは粘菌(変形菌)。
 拙書でも『怪しくも美しい「粘菌」も宇宙船地球号の乗組員』というエッセイを載せています。粘菌は、動物のように体を変形させて移動したり大きくなりながら、キノコのように胞子を飛ばして増える不思議な生物。しかも、脳も神経もないのに迷路を抜けられる。北大の中垣教授のチームがイグノーベル賞を受賞したのは有名です。そして粘菌といえば、やはり南方熊楠。そんなことをエッセイでは詳しく面白可笑しく書いています。
 以前、国立科学博物館で粘菌展の時にモジホコリをいただいて、「もじ太郎」と命名して育てたことがありました。餌は、それしか食べないというクウェーカーのオートミールでした。私は仕事で忙しく、粘菌課長に任命した長男も勉強で忙しく、目を離した空きに、結局胞子となって雲散霧消しました。

 キフシススホコリ。モジホコリ科ススホコリ属。子実体形成は、雨上がりの夕方から始まり深夜に終了。明け方の太陽を待って乾燥させ、胞子を飛ばします。原形質流動は1秒に1ミリ、一進一退を繰り返し、波打つように成長します。三歩進んで二歩下がるような感じです。変形菌の餌はというと、植物の遺骸を腐らせるカビとかバクテリア、微小藻類や原生動物など。細胞膜がむき出しの状態で、どこでも口になり胃になって消化します。

 マツノスミホコリ。 ムラサキホコリ科 ススホコリ属。赤松の丸太に発生。ヤマザクラの花びらが。胞子は真っ黒な粉状で、触ると指が真っ黒になります。粘菌に毒性は無いようですが、キノコの胞子を大量に吸い込むと危険な様に、粘菌も胞子を大量に吸い込むと危険です。なお食べてもおそらく無害です。経験ではたいてい木の味がします。中国では古代に太歳(たいさい)といって食用にしたとか。歴代の皇帝が、不老不死の薬として探させたとか。徐福伝説も、失われたユダヤ民族の一部族が、秦の始皇帝に太歳を探すことを口実にして来日し、3000人ともいわれる村人全員が帰らずそれが大和王権の元になったとか。「粘菌 太歳」で検索するととんでもない画像が出てきます。近年、中国で発見されて大騒ぎになりました。

【信州の里山】妻女山の変形菌(粘菌)その1 Japanese Myxomycetes vol.1

 妻女山を中心に、茶臼山や鏡台山などで撮影しています。以下の3つのBGMは、大好きなエリック・サティ(866-1925)です。彼はフランスを代表する作曲家です。音楽会の異端児などといわれましたが、現在は西洋音楽の革新者と評されています。
アリス= 紗良・オット。これを観て好きになれなかったら、あなたは病院へ行ったほうが良い。心がすさみがちな今こそ彼女のピアノを(妻女山里山通信):3つ目の動画のアンコールで、エリック・サティを弾いています。本当に感動的な癒やされる野外コンサートです。素晴らしい!こういうコンサートが日本でもできないものでしょうか。サイトウ・キネンも一日だけでも野外で行うとか。

◆Alice Sara Ott and Others (Playing and Practicing)

 なんで突然アリス= 紗良・オットの練習風景なのと。いや、これ最高なんです。面白すぎて、激しくて真剣で楽しすぎて。見ないと損します。クラシックは難しくて?それは誤解です。これを観れば分かります。私にクラシックの素晴らしさを教えてくれたのは、若い頃恋人だった英国王立音楽大学に留学したピアニストでした。左のブックマークの国分寺・国立70sグラフィティの記事に、ロンドン遊学の記事があります。彼女とは別れましたが、本当に才能ある美しい人でした。

【信州の里山】妻女山の変形菌(粘菌)その2 Japanese Myxomycetes vol.2


【日本の里山】森の変形菌(粘菌)Japanese Myxomycetes

 山梨県小菅村の大菩薩峠へ続く、牛ノ寝通りの大マテイ山周辺の変形菌です。粘菌を食べに来たてんとう虫の幼虫の貴重な画像も見られます。

【甲州の里山】大マテイ山・粘菌ハンティング Myxomycetes Hunting at Mt.Ohmatei

 大マテイ山の続編。家族で粘菌ハンティングに登った可笑しなトレッキング。BGMは、世界的なジャズピアニスト、オスカー・ピーターソンのサマータイムとオーバー・ザ・レインボーのアルバムから。

粘菌(変形菌)図鑑。妖しく奇妙で美麗なマクロの世界。ツノホコリ、キフシススホコリ、マメホコリ、クダホコリetc(妻女山里山通信):中垣教授「単細胞だから単純などというのは、とんでもない誤解です。粘菌が持っている脳も神経も使わない情報処理システムは、原理的にすべての生物が持っている基本的な土台です。その意味で、あらゆる生物は知的である。これが単細胞生物の物理エソロジーに挑戦する、私の基本的な理解です」

MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery変形菌(粘菌)Jpanese myxomycetes の図鑑ページです。粘菌のバリエーションの多さとそのカラフルさに驚くと思います。

 これ以外の動画やスライドショーは、YouTubeのsaijouzanのサイトでご覧ください。トレッキングや自然、歴史など、海外からのアクセスもあり、再生回数27万回のものもあります。信州の自然や歴史が満載です。


 初夏の山菜料理二品。まず「ウド飯」。採れたてのウドを使います。ご飯を炊いて生のウドを輪切りにして塩をまぶし、炊きたての御飯に乗せて蒸らすだけ。採れたてが肝。タラの芽やコシアブラの葉が開いていない新芽でもできます。もう馬鹿旨です。ただ、アク抜きが必要なワラビやフキではできません。
 右は山蕗の「伽羅蕗(きゃらぶき)」。伽羅とは古代のインド語で、香木の一種の黒沈香のこと。サンスクリット語のカーラーグルが語源。里蕗は太く水分が多いので、山蕗でないと作れません。私は体に悪い白砂糖や三温糖を使わないので、奄美大島産サトウキビ100%のキビ糖と、友人手作りの醤油と焼酎だけで作ります。山椒の実がまだ無いので若葉を使いました。非常に奥深い佃煮に仕上がりました。山椒の実がなったら、縮緬山椒を作ります。里山の恵みです。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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