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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

皐月の妖精ヒメギフチョウを求めて聖山に登ったのですが…。ヤマシャクヤク(妻女山里山通信)

2022-05-18 | アウトドア・ネイチャーフォト
 結論から言うと出会えませんでした。遅かったかな。ここのところ梅雨のはしりで天気が悪く、遅くなってしまったのです。GW明けの晴れの日に行けばよかった様です。それでも色々な初夏の生物に出会えました。拙書でも紹介の、三和峠からのコースです。登るだけなら1時間もあれば山頂ですが、ヒメギフチョウを探すために、ゆっくりと時間をかけました。

 今回最も感動したのが、このヤマシャクヤク(山芍薬)でした。聖山は何度も登っていますが、ヤマシャクヤクを見たのは初めてでした。まだ開ききっていませんが、清楚で美しい。周りを見ましたがこのひと株だけでした。ヤマシャクヤクは、ボタン科ボタン属の多年草。絶滅危惧種のひとつで、信州では危惧種です。昔、山梨県のある山の人が行かない谷で群生地を見つけましたが、なかなか群生地にはお目にかかれないと思います。貴重です。

(左)チゴユリ(稚児百合)ユリ科。薄暗い針葉樹林の林下に群生します。俯いて咲く可憐な小花。(右)エンレイソウ(延齢草)ユリ科。もう結実していました。

 最初の急登をこなすと、山頂直下までは尾根の散歩道。白樺も散見されます。鳥はウグイスとシジュウカラの鳴き声。

(左)ムラサキケマン(紫華鬘)ケシ科。ケマンというのは仏具だそうですが、日本の草花は仏具から取った名前を持つものがあります。本来は糸で結んだ花環のことだそうです。アリ散布植物です。(右)聖山に非常に多いツタウルシ。触ったら酷くかぶれます。そのため今回は手袋をして登りました。

(左)ハウチワカエデ(羽団扇楓)の花が咲いていました。小さなハエの仲間が吸蜜中。(右)クサボケも咲いていました。

(左)聖峠付近で見られたヤマブキ(山吹)。(右)クリンユキフデ (九輪雪筆)の残花。タデ科イブキトラノオ属の多年草。

(左)クルマバソウ(車葉草)アカネ科アカネ亜科ヤエムグラ属の多年草。小さな群生地がありました。(右)タチツボスミレ(立坪菫)はあちこちに咲いています。

(左)ミヤマエンレイソウ(深山延齢草・シロバナエンレイソウ)。(右)ウスバサイシン(薄葉細辛)。ウマノスズクサ科カンアオイ属に分類される多年草。ヒメギフチョウの食草です。生薬名は細辛で、めまい、冷え性、便秘などに。

(左)ミヤマセセリの日向ぼっこ。(右)猛毒のヤマトリカブト。

 コケリンドウ(苔竜胆)リンドウ科。ハルリンドウやフデリンドウと比べるとひとまわりもふたまわりも小さい。高さ2センチあるかないかです。

(左)この大ブナが見えたら山頂はすぐそこ。(右)聖山山頂。少し早いお昼にします。独り占め。

 山頂から南峰の眺め。左に大林山。中央に四阿屋山。間に修那羅峠と向こうに子檀嶺岳。更に向こうに独鈷山。四阿屋山のずっと向こうには美ヶ原。右には、古い善光寺街道(北国西街道)が越えていた立峠があります。江戸時代には、立峠の石畳を通って多くの信者たちが善光寺へ参詣に行きました。眼下は麻績村。

 山頂から北西に下っての展望。北アルプスの仁科三山。左から爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳、五竜岳。

 白馬三山。まだまだ雪は多い。

(左)タカトウダイ(高燈台)トウダイグサ科トウダイグサ属。トウダイグサ科は、約300属7500種以上を含む大きな科です。(右)モミジイチゴ(紅葉苺)。梅雨明け頃に実るオレンジ色の木苺は美味です。

 オオカメノキ(ムシカリ)の残花。スイカズラ科ガマズミ属の落葉小高木。

 眼下の麻績村の風景。山頂から下ってすぐ。撮影中に20mは無い下から大きな足音。間違いなくツキノワグマです。木の枝を打ち鳴らして大きな音を出し、大声でクマを追い払いました。

(左)マムシグサ(蝮草)のつぼみ。(右)多孔菌科のキコブタケの仲間でしょうか。

 ウワミズザクラ(上溝桜)は、バラ科ウワミズザクラ属。落葉高木。別名は、花が強い杏仁に似た香りがあるため杏仁子(あんにんご)といい、実は食べられます。果実酒にも。総状花序の下に葉がつきます。上溝とは、亀甲占いのために上溝桜に溝を掘って燃やし、亀甲のひび割れで占ったため上溝桜が転訛してウワミズザクラになったということです。

 拙書でも紹介の三峯山と聖湖。聖湖は、へらぶな釣りのメッカです。

 403号の姨捨サービスエリア上の千曲川展望台から。千曲川の向こうに五一山脈。その向こうに、私のホームグラウンドの妻女山から斎場山、天城山、鞍骨山から鏡台山まで続く戸神山脈。

 更に右へ、手前に五一山脈。その向こうに、鏡台山。左奥に根子岳と四阿山(あずまやさん)。眼下には田植えを待つ姨捨の棚田が。

 聖高原は山菜やキノコの採種が禁止なので、帰りに禁止ではないとある山に寄りました。少しのコシアブラとウドをゲット。コシアブラは大きなものは天ぷらに、小さなものはコシアブラ飯に。ウドも太いところは自家製味噌をつけてまるかじり、先を天ぷらに。大満足です。

花の聖山へ。北アルプス含め360度の大展望が魅力。ヒメギフチョウとの邂逅(妻女山里山通信):ヒメギフチョウの写真はこちらで。山座同定もこちらで。

春に似合うアルバム。私の一推しはこれ。『April in Paris』:村上春樹さんのジャズ喫茶、ピーター・キャットを中心とした70年代のクロニクルまたはスラップスティック 「木の芽時の乗り越え方。」私のもうひとつのブログ。その一節から…
               ◆
 春は新生活が始まり希望の季節だが、同時に精神が不安定になり易い。寒暖の差が激しく自律神経が乱れるからだ。春眠暁を覚えずとか5月病とかいうが、気候変動の激しい春から初夏にかけては、体だけでなく心も疲れるものだ。その上、日本では春に新学期や入社、転居などを迎えるため、余計に精神のバランスを崩しやすい。そういう知識を持って、臨むといい。昔の人は、それを知っていて、「木の芽時」といって備えたものだ。そういう季節なんだと思えば、心も体も少しは軽くなる。肉や炭水化物の量を減らし、野菜や発酵食品を多めに摂る。砂糖や乳製品もできるだけ控えた方がいい。心も体もデトックスが必要な季節。蕗などの苦い山菜や抗酸化作用のつよいコシアブラなどの山菜やノビルやヨモギなどの野草を食べるのもいい。それが野生動物や先人の知恵だ。もちろん放射能汚 染されていないものを。
               ◆
 春は恋の季節でもあるが、そもそも恋というのは、精神のホルモンバランスが崩れること。快楽を司るドーパミンの大量分泌が恋愛を支配する。しかし、支配するのは恋愛だけではない。想像力や創造力も喚起する。脳は訓練次第で、経験からやりがいという報酬を得てドーパミンを放出し、それを糧とすることができることが既に分かっている。自然界はうまく出来ていると思うべきだろう。按ずるべからず。恋せよ乙女。あっ、熟年熟女もね。私もです。精進しましょう。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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