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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

オオアマナ、ギンラン、大輪の琉球ツツジで吸蜜のウスバシロチョウ。幼虫色々と不思議なアブと虫こぶ(妻女山里山通信)

2019-05-18 | アウトドア・ネイチャーフォト
 最高気温が26度とか27度とか全国に異常天候早期警戒情報が。昨年の猛暑に続いてこの夏も? どうなるのでしょうね。帰化植物の繁茂も旺盛です。ハルジオン、オオブタクサ、ヨウシュヤマゴボウなどの除去に陣場平へ。途中、山桜の折れた枝をとりあえず通行可能に処理。帰化植物の除去は本当に大変です。しかし、ベトナム戦争の枯葉剤のネオニコチノイド系やグリホサート系除草剤は、絶対に使ってはいけません。かならず自分か子孫に命に関わる被害が出ます。
ネオニコチノイド グリホサート の検索結果 あなたの命に関わる情報。必見です!

(左)陣場平の下の入口にオオアマナ(大甘菜)の群生地があるのですが、気づいた人はいるでしょうか。明治末期に入ってきた帰化植物です。東方の賢者達にキリスト生誕の場所を知らせた星が草原に降り注ぎ、花となった伝説から、英名はベツレヘムの星。アマナは食用ですが、オオアマナは有毒です。(右)あちこちに小さな群生地があるギンラン。ある菌根菌や樹木と共生関係にあるので、持ち帰って植えても育ちません。やはり野に置け銀蘭。売られていたら間違いなく盗掘品。速やかに通報を。

(左)お昼はKさんのログハウスへ。五穀米にイナバのタイのグリーンカレーと山蕗と身欠き鰊、干しホタルイカの煮物。遠く篠山や鹿島槍ヶ岳が霞んでいます。(右)高さ10センチ、花の直径が3ミリと小さな花の群生が。なんですかこれは。調べると、明治末期に渡来したマメ科シャジクソウ属のコメツブツメクサ(米粒詰草)です。マメ科なので根に根粒を作り、その根粒菌が空気中の窒素を固定し、アミノ酸や亜硝酸を植物に供給する一方で、植物が光合成で生産した炭水化物を得ているという共生関係を成しています。牧草地に植えると、肥料になっていいのだそうです。

(左)コメツブツメクサにあちこちで何か動くものが。とりあえずマクロ撮影しましたが、なんだか分かりません。帰って拡大すると5ミリぐらいの小さなバッタでした。フキバッタの若齢幼虫でしょうか。翅は退化して飛べないバッタです。フキバッタは日本に9属26種いるそうで、同定はなかなか難しい。(右)眼がグレーなのと翅裏の文様からヤマトシジミですね。

 Kさんのログハウスに咲くリュウキュウツツジ(琉球躑躅)で吸蜜するウスバシロチョウ。ハルジオンやシナノタンポポ、ホタルカズラより長い時間吸蜜しています。花も大きいし蜜の量も多いのでしょうね。白琉球ともいいますが、琉球とつく様に亜熱帯性のためか、開花は他のツツジよりやや遅めです。

(左・右)リュウキュウツツジでせわしなく吸蜜するビロードツリアブ(天鵞絨吊虻)。ハエ目短角亜目ツリアブ科で、幼虫は土中のヒメハナバチの仲間の幼虫や蛹に寄生します。都市郊外にも普通にいるのですが、小さくて気がつかないでしょうね。以前、飛翔中の交尾を撮影したことのあるミナミヒメヒラタアブなどはもっと小さいので、そもそも見る気がないと眼にも入りません。

 幼虫三種。同定はなかなか難題です。(左)ツツジの葉にオオノコメエダシャク。食草は、キブシやミツバウツギの葉らしいのですが、ツツジも食べるのでしょうか。(中)未同定。(右)オオムラサキの幼虫を探しに行ったら、エノキの葉にシマキリガの幼虫が。エノキの葉を丸めて巣とするのですが、あちこちに見られました。残念ながら今回はオオムラサキの幼虫は発見できませんでした。

(左・右)そのツツジと林道の斜面の穴にアブ(虻)の一種がたくさん舞っています。よく見ると何か土を食べているようにも見えます。穴の中に入っているものも。苔か土についた藻類を食べているようにも見えます。だいたいこの穴は彼らの巣なのでしょうか。調べましたが未同定です。これはまた観察に行く必要がありますね。大発見かも? 明日も観察に行きます。

 ミツバツチグリで吸蜜中。翅が透けて黄色い花びらが見えます。飛び方がぎこちなく下手ですが、なんとも愛らしい蝶です。

(左)コマユミ(小真弓)の可愛い花。秋の紅葉も非常に美しい。コマユミで画像検索すると、盆栽がたくさん出てきます。紅葉と赤い実が好まれるのでしょう。(右)コナラの幼木にナラメリンゴフシ(楢芽林檎五倍子)という名の虫こぶ(虫えい・ゴール・GALL)が。拙書のコラムでも「小さな虫がつくる偽のリンゴ」という記事を載せています。ナラメリンゴタマバチのメスが、コナラの冬芽に産卵し、五倍子(フシ)を形成します。中にはたくさん卵が詰まっていて、やがて羽化してきます。次第にリンゴの様に赤くなります。

(左)飯山の名物富倉蕎麦のつなぎに使われるオヤマボクチ。つなぎにこの葉の繊維を使います。(右)オオムラサキの食草であるエノキの葉と、エノキハイボフシ。これも虫こぶ。フシダニ(ダニ目フシダニ科)の一種によって作られる不規則な形の袋状の虫えいです。体調は0.2ミリ以下のウジ虫状。また、エノキには先の尖ったエノキハトガリタマフシもできることがあります。自然の奥深さと不思議。自然界に無駄な生物はひとつもいないのです。大きなブナには、約4000種類の生物が共生関係にあります。自然の仕組みは、我々が思っているよりもずっと複雑で、重要なのです。特に里山は長年人が手を入れることで維持されてきたものです。人の手が入らなくなるとアッと言う間に荒廃します。自然のままにしておけばいいというものではないのです。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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