モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

妻女山奥の貝母(編笠百合)が咲き出しました。東風に揺れる慎ましい茶花(妻女山里山通信)

2014-04-17 | アウトドア・ネイチャーフォト
 友人のK医師に頼まれた長芋を届けることになり、先日妻女山里山デザイン・プロジェクトで作業した椎茸のホダ木に灌水したいので、妻女山で会うことにしました。約40リットルの水を持って山上へ。ソメイヨシノが七分咲きか、場所によってはほぼ満開になっていました。午後になって花粉混じりの東風(こち)が吹き始めたので、ゴーグルをして行きました。頼まれた伯父の本を渡し、自律神経失調症と花粉症で参っていますと言うと、最近は銀行員とか大企業の社員で不調を訴える人が来院すると。現在の様な激変期においては、小回りの効かない大企業ほど対応が遅れ、社員のストレスも増すのでしょう。人を物のようにしか扱わない日本企業の体質は、実は大企業ほど酷いことを私は仕事上よく知っています。在京の某TV局の取材を受けた時も、ディレクターがぼやいていました。

 あんずの里へ行くと言う彼と別れて、私は妻女山奥の貝母(バイモ・編笠百合)の群生地へと車を走らせました。いつもなら歩いて登るのですが、色々やることがあり仕方なく。駐車した林道から貝母の群生地は、見えないところにあり、普通にイノシシや稀に熊も出るので、積極的には場所を教えないようにしています。大きなイノシシが二頭、目の前を走り抜けたこともありました。いつぞやは、クリスマスに熊の足跡がありました。写真の貝母は、もっとも日当たりのいい場所のもので、まだ蕾のものも多くあります。花芯が立っていないものさえあります。見頃はゴールデンウィークの初め頃でしょう。全国各地に野生化した群生地があるようです。カタクリの群生地も見に行きたいのですが、少々遠いのでなかなか時間が取れません。午後になると花粉混じりの北東の寒風が吹くので、外出もままなりません。やれやれ。

 酷い藪だったこの場所を切り開いてニッチ(生態的地位)の鬩ぎ合いが始まって数年経つのですが、他の植物に対して貝母がここまで優位に立つとは、実は全く想像していませんでした。蕗などは地下茎を張りますし。ヤマフジは、大きい物は皆伐採したのですが、小さなものはそのままです。いやあ、貝母の旺盛な繁殖力には本当に驚かされました。貝母強し。日当たりのいい場所はともかく、灌木のある落葉松林の中にまでどんどん増えていくのは意外でした。

 しかし、その旺盛な繁殖力とは別に、俯いて咲く貝母の花は、慎ましやかで可憐です。貝母も育て、山野草を愛でるご近所のご婦人が言われてましたが、その慎ましやかさ故に茶花としても愛用されるのでしょう。花言葉は「謙虚な心」ですから。下から煽って撮影すると、和名の編笠百合の命名の理由が分かります。なぜ外側がこんなに地味なのに内側に模様がという理由は、受粉をする昆虫たちのメルクマールとなるためでしょう。カタクリの花の中に、また花の模様があるように。

 今の季節、妻女山では午後になると必ず強い東風が吹き始めます。貝母の細い葉先は、クルンと丸まっています。これで互いに絡み合い、東風の強風から身を守っているのです。貝母の茎はしなやかですが、非常に柔らかく、庭にある貝母に水をかけたら倒れてしまいました。まあ、翌日には元に戻っていましたが。堅木は強風で容易く折れますが、しなやかな竹は折れません。生真面目で頑固な人間ほど、実は弱いのです。ケセラセラ。ラテン系で行きましょう。私も若いころ南米・アマゾンを放浪し、カルチャーショックを受けて人生観が変わりました。フォト・エッセイ『アマゾンひとり旅

 逆光に透ける花はひときわ美しいと感じます。基本的に帰化植物であり、日本の植物図鑑には載っていません。絶滅しても生態系にはどうということはないのですが。ここは昔川中島のSさんという薬草問屋の方が、畑を借りて貝母を薬草として育てていた場所なのです。今回の妻女山里山デザイン・プロジェクトの作業後に川中島のN氏に聞いたら、ああ知ってるということで、父の話が本当だったと分かりました。貝母は、主に咳の薬として漢方薬メーカーに卸していたようです。その後中国から安価な素材が入ってきて商売として成り立たなくなったのだと思います。ところで漢方薬というと自然なような気がしますが、現在のものは化学薬品を使って抽出されているので、必ずしも安全とは言えないかもしれません。昔ながらの煎じて飲むタイプが安心でしょう。元の素材が汚染されていたらどうにもなりませんが。

 貝母は、花後に六角形のさく果をつけ、下に向かって種を飛ばしますが、その時強風が吹くと飛びます。東風に乗って飛ぶので、どんどん西へ増えていくわけです。そして、梅雨のさなかに溶けるように消えてしまう、節分草やカタクリと同じ、スプリング・エフェメラル(春の儚い命・春の妖精)の一種なのです。
 薬草としての貝母について少し固く書きますと、「乾燥させた鱗茎は貝母と呼ばれる生薬として日本薬局方に収載されており、粉末が去痰・鎮咳・催乳・鎮痛・止血などに用いられる。貝母は、清肺湯、滋陰至宝湯などの漢方処方に用いられる。鱗茎をはじめ全草にフリチリン・フリチラリン・ベルチシンなどのアルカロイドを含む。心筋を侵す作用があるので副作用として血圧低下、呼吸麻痺、中枢神経麻痺を引き起こす事もある。また、呼吸数や心拍数が低下する事もあるため、使用時は量に注意すべきである。」(Wiki) とあります。

 一日の気温差が20度といつになく異常な春を迎えた北信濃は、梅と杏と桜が同時に咲くという異常事態になっています。右が桜、真ん中が梅、左が八重の梅。森や近所の杏も満開です。私は自律神経失調症で偏頭痛や指先のしびれなどに悩まされていますが、花粉症がそれに止めを刺しているような悲惨な状況です。午後になると花粉混じりの強風が吹き荒れるため眼球を取り出して洗いたい気分です。やれやれ。止まない雨はないといいますが、ここのところの異常乾燥。金曜日からの傘マークが本当に待ち遠しい。

 最後は、妻女山駐車場の奥に見える不思議なオブジェですが、私が発案し、妻女山里山デザイン・プロジェクトの面々で作った『森のゆりかご』という現代芸術の作品です。吊り下げられた緑色のパッケージの中には、キノコのおがくずが入っています。これはカブトムシの産卵場としては失敗したのですが、今回探してみると、なんとコガネムシかアオカナブンかハナムグリかの幼虫が見つかりました。『森のゆりかご』という名も名目だけではなく、ちゃんと森の虫達の役に立っていたわけです。いい年した男達が、少年のように喜んだ瞬間でもありました。でも、山だからいいですけど、畑なら害虫だったりするんですけどね…。畑では今、江戸時代初期に入ったと思われるオランダ原産のナバナ・野良坊菜が食べどきです。数年前に私が息子に頼んで種を送ってもらいました。現在、近所に無料で種を配布していますが、非常に評判がよく喜ばれています。野良坊菜のレシピは、『MORI MORI RECIPE』にたくさんあります。菜の花やかき菜にも応用できます。

祈り ~熊木杏里~
[
「この距離を縮める言葉が出てこない」「君へと続く想いの糸を、ただつかまえて繋がってる祈り」
千曲市出身の彼女の歌のルーツは、信州の里山の自然だそうです。透明感のある歌声と感性豊かな詞は必聴に値します。

さて、たまには文化人類学・社会学を。
◆共同体社会と人類婚姻史
◉【家族って何?】~プロローグ~
元々日本では、農村を中心に「村落共同体」という集団単位で長い間生活していました。明治時代になるまで、「家族」という集団単位は存在していなかったのです。
現在の「家族」につながる婚姻制度(一対婚制度)が生まれたのは明治時代に入ってからで、私権圧力を背景にして「家制度」が制定され、家父長とその家族を一つの家に属させたことが家族制度の始まりでした。その「家制度」は昭和初期には民法改正によって廃止され、現在の家族制度に繋がっています。
気付きましたか?つまり日本においては、「家族」はたった100年程度の歴史でしかないのです!
現在の家族(一対婚制度)が、私権の衰弱によって簡単に機能不全に陥ってしまったということを考えてみると、この制度が私たち日本人には定着していないと捉えるべきなのかもしれません。
私権時代が終わり共認原理へと転換した今、家族のありようとその元となっている婚姻制度の実態に着目する良い機会と捉え、家族制度の歴史を溯って改めて「家族」とは何なのか?を追求し、これからのみんなの意識に合った新しい集団形態とは一体どのようなものが相応しいのか?を考えてみたいと思います。
【家族ってなに?】 シリーズ6大正時代~村落共同体が国家圧力、市場圧力で浸食された時代。核家族が登場し、生産の場と消費の場に分断され、家庭は教育機能を喪失したカタワの集団となり現代に至っている。
恋愛至上主義ゆえに結婚制度が壊れ、家族が消失する
 ---3組に1組が離婚し、7組に1組が不妊に悩み。家庭内離婚は数知れず。それ以前にお金があっても忙しく、お金がなければ貧乏で結婚できない現状。結婚できなければ子供も作れない社会です。昔は一人扶持(ぶち)は食えなくても二人扶持は食えると言いました。共働きと家事分担が当たり前の時代に変わっても、「お金は男が稼ぐもの」という価値観に男女とも縛られ続けているのも問題ですが、働く既婚者をケアする政策が事実上、全くされていないのが最大の問題でしょう。少子化対策など全くないのが現状です。加えてこれから2016,17年には放射能パンデミックが起きます。ウクライナの例を見ると、人口の大規模減少は避けられないでしょう。しかし、政府が推し進めようとしている移民政策には反対です。いずれにせよ、古代から家族という制度があったわけでもなく、不変なものでもなかったということです。興味のある方は、『日本婚姻史』を読まれるといいかも。---

にほんブログ村 写真ブログへ にほんブログ村 写真ブログ ネイチャーフォトへ にほんブログ村 アウトドアブログへ にほんブログ村 アウトドアブログ ハイキングへ にほんブログ村 歴史ブログへ にほんブログ村 歴史ブログ 日本史へ

放射能情報については、左のツイッターをご覧ください。命に関わる重要なツイートをしています。呼吸による吸引内部被曝は、ほぼ100%吸収されます。食品による内部被曝も非常に危険。内部被曝は足し算です。微量だからといって安心はできません。食べて応援は、死への誘い。チェルノブイリの例を見ると、日本では2016年に晩発性障害が増加。17年には爆発的に増えることが分かっています。
製造所固有記号データベース :放射能検査結果を見ると相当に厳しい。汚染地の森も河川も太平洋も死につつあるのです。糖尿病は、代表的な被曝症状。ストロンチウムがベータ崩壊してイットリウムになり、すい臓に集中して糖尿病を誘発します。また、ストロンチウムは骨に溜まり排出不可。造血機能を破壊して白血病になります。
OKFOOD 既に多くの人が見ていると思いますが、思わぬ食品が汚染地の工場だったり、工場は西でも材料がとか、心配は尽きません。毎日がロシアンルーレット。
◉今年は野菜の苗の培養土を買うのを止めました。どこのホームセンターも信用出来ないからです。自前で作ることにしました。市販は鹿沼土がほとんど。国の基準が400Bq/kgではね。カインズの350未満という自社基準もお笑いです。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« あんずの里・千曲市の森のあ... | トップ | 桜満開の妻女山へ。桜吹雪の... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アウトドア・ネイチャーフォト」カテゴリの最新記事