「おお、ありがたい神さま、こんないいことをわたしたちにしてくださって、この世界にあるかぎりのすばらしいものを、惜しまずみせてくださいますあなたに、まごころのせっぷんをささげさせてください。」
ハンス・クリスチャン・アンデルセン「旅なかま」
☆
この世界はすばらしい。神の愛に満ちている。ありとあらゆるものがある。
人間が生きることに迷ったときに、助けてくれるものが、そこら中にありふれて存在している。その世界に生きることを許されているということは、神が人間をあまりにも深く愛しているということを、証明している。
北辰は、その神の真の代理人でなければならない。神が愛している人間を搾取して、自分だけをよいものにしようとすることなど、言語道断だ。
古代の王は着飾らなかった。人より少しいいものを身に着けていただけだ。宝石も絹も房も、これ見よがしの勲章などもなかった。
それなりの王冠と笏があっただけだ。それも質素なものだった。
不必要なものを欲しがって、人間を苦しめてはならない。そのことが十分にわかっているものでなければ、北辰になってはならない。
北辰を選ぶときは、その人格をじっくり見つめていかねばならない。動かない北極星のように、愛に決して迷わない態度を、見抜かねばならない。
国民の幸せが自分の幸せなのだと、明るいまなざしで、まっすぐに言う魂を、探さねばならない。