世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

サムソンとデリラ

2014-03-10 03:32:58 | 虹のコレクション・本館
No,89
ピーテル・パウル・ルーベンス、「サムソンとデリラ」、17世紀フランドル、バロック。

ルーベンスからはこれを選んでみた。ほかにもたくさんおもしろい絵があるのだがね。まあサムソンとデリラの神話には見過ごしがたい面白さがあるのである。

どんな勇猛果敢な男も、女には弱いということだ。

ルーベンスは肉感的な女性が好きだったらしいね。夫人のエレーヌ・フールマンもずいぶんとふくよかなかわいらしい女性だ。あまり頭がよさそうでないところもよいらしい。

彼の描く女性たちはすべて、彼のこの好みによって描かれている。やせ形の美女が流行の昨今では、少々難しい絵である。美しいと思えないと思って見ている人間もいるに違いない。

だがまあ、本人はこれが好きだったのだ。ほかに理由はない。好きなんだな、これが。

だからサムソンも、デリラにはまったのである。いや、かわいい女だったんだよ。見ればすぐに吸いついてしまいそうな。もろ、好み。

勇者も油断するとこうなるのだ。女を甘くみてはならない。まあデリラは利用されていただけだったがね。

「好き」ということには特に理由はない。とにかく好きなのだ。それは重要なことだ。時に人生を大きく左右する。馬鹿みたいに熱心に、あらゆることを、好きだというだけでやってしまうのが、人間だ。

男は、好みの女に至極弱いということを、もっと勉強するべきだね。



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