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はじめは 自分の書く言葉に
なんとなくすっきりしないものを感じる
こんなことば 知ってはいるが
自分ならめったに使わないなどと思う
思いもしない言葉が頭に浮かびあがり
いつの間にかそれを書いている
確かにぴったりの表現なのだが
自分にしては強すぎると思ったり
うますぎると思ったりする
文章の中で なぜかその文 その言葉だけが
奇妙に重いと感じる
そこだけ 奇妙に浮いている
または 全く私らしい文章なのだが
なぜだか 私の文章を
誰かがそっくりに真似して書いているような感じがする
自分が書いたはずなのに
そういうことが はじまりである
これは 自分で書いているが 自分ではないなと
うすうす感じ始める
そういうことが 起こり始めたら
もうすぐ来るな と心の準備をしておいた方がよい
彼らはやってくる
そしてあなたを通して 自分を表現しにくる
あなたは苦しい
運転していた車のハンドルを急にとられて
勝手に自分を他人に使われる
肉体的変化も訪れる
わたしは 一週間ほどほとんど眠れなかった
相当に苦しかった
だが 病院などにはいかないほうがいい
ことをよけいややこしくするだけだから
心配しなくても 平常に戻れば健康に戻る
自分の位置を正しくつかみつつ
「彼ら」のやることを感じて見ていることだ
もちろん彼らがやっているときには
同時に自分もやっている
時と場合によって微妙に違うが
最初から最後まで自分で書いたと思っていた詩が
後で読み返したら ほとんど「彼」が書いていた
と感じる作品もあった
ブログカテゴリ「貝の琴」の中の「めざめたか」がそうである
読み比べる時間があれば読み比べてみてほしい
彼はわたしが気付かないうちから
こうしてわたしを通じて詩を書いていた
「彼ら」はみごとにやってくれる
そしてそれが終わったとき
見事に一巻の詩集ができている
自分が書いたことにはなるのだが
自分が書いたのではない詩集が出来上がる
もちろん これはわたしが経験したことを書いているのであって
これから 御二方の身の上に起こる経験が
このとおりになるとはかぎらない
彼らはあなたがたにはまったく別のやり方をするかもしれない
余計なことだが 自分がなんという天使であるかということを
名乗る天使はひとりしかいない
ほかの天使はだまって仕事をするだろう
彼らは親切で 侵してはならない領域は決して侵さない
最中には 奇妙な変化も訪れた
たとえば絵を描いていた時
右に動かそうとする指が どうしても左に動いてしまう
そういうことがあった
なぜかはわからないが
絵を描くときはそれに注意して
ゆっくりと指を動かした
詩を書く練習は一応しておいたほうがよいと思う
別に頑張る必要はない
思っていることをそのまま書き
自分が正しいと思うことにそって流してゆくと
自然に 当然というところにいきつき
立派な詩ができてくる
表現力というものは ある
わたしたちは子供ではないからだ
わたしたちは 生きている
彼らにとってわたしたちは
地球上のアンテナ基地のようなものだ
たぶんこれからも
たくさんの天使がわたしたちのところに訪れると思う