エリザベス・シプン・グリーン
*
美しい人に見えますが、これは偽物の女性です。
美しく見えるのは、中にいる人が、非常に小さいからです。
それが、無欲な感じに見えるので、人はこんな人を本当の美女とよく間違えてしまうのですよ。
「おお、ありがたい神さま、こんないいことをわたしたちにしてくださって、この世界にあるかぎりのすばらしいものを、惜しまずみせてくださいますあなたに、まごころのせっぷんをささげさせてください。」
ハンス・クリスチャン・アンデルセン「旅なかま」
☆
この世界はすばらしい。神の愛に満ちている。ありとあらゆるものがある。
人間が生きることに迷ったときに、助けてくれるものが、そこら中にありふれて存在している。その世界に生きることを許されているということは、神が人間をあまりにも深く愛しているということを、証明している。
北辰は、その神の真の代理人でなければならない。神が愛している人間を搾取して、自分だけをよいものにしようとすることなど、言語道断だ。
古代の王は着飾らなかった。人より少しいいものを身に着けていただけだ。宝石も絹も房も、これ見よがしの勲章などもなかった。
それなりの王冠と笏があっただけだ。それも質素なものだった。
不必要なものを欲しがって、人間を苦しめてはならない。そのことが十分にわかっているものでなければ、北辰になってはならない。
北辰を選ぶときは、その人格をじっくり見つめていかねばならない。動かない北極星のように、愛に決して迷わない態度を、見抜かねばならない。
国民の幸せが自分の幸せなのだと、明るいまなざしで、まっすぐに言う魂を、探さねばならない。
アドリアン・ルートヴィヒ・リヒター
*
実の母親が、自分より若いというだけで、自分の娘に嫉妬するということは、あるのです。
普通は、それが悲しいことにならないように、ちゃんと自分で乗り越えるのですけれど。
エリナー・ヴェア・ボイル
*
アンデルセンは絵を描きませんでしたが、美しいことばで美しい心を描きました。
小さなものを愛する繊細な心が、美しい世界を作っている。
世界は人それぞれの中にあります。その世界はそれぞれに違う。
その世界が色石のように集まって来て、また一つの大きな世界ができる。
すばらしい。
わたしたちはなんと幸せなのだろう。