以前の山響定期(第254回,*1)で購入してきた、伊藤恵さんのCD「シューマニアーナ」Vol.4(fontec:FOCD9324,1991,DDD)を聴いています。お目当ての「ピアノソナタ第1番」はたいへんステキな演奏で、通勤の音楽にも愛聴しておりますが、同盤に収録された「暁の歌」Op.133は、どうもロードノイズの大きな通勤の音楽には似合わないみたい。ピアノソナタ第1番(*2)のほうは、訴える力のある音楽ですので運転しながらでも大丈夫ですが、「暁の歌」のほうは、もう少し静かな落ち着いた環境で聴きたい音楽です。
例えば晩夏の夜、自宅のPC-audio用のミニコンポを通じて、ヘッドホンで静かに聴くときに、心にしみる音楽と言えばよいのでしょうか。
1853年、若きブラームスが、デュッセルドルフ在住のシューマン夫妻を訪ねてきた年の作品。たぶん、体内に潜む梅毒の原因となったトレポネーマ(スピロヘータと言った方が通りやすいか?)が少しずつ内蔵器官や神経組織を侵し、体調不良が明らかになってきつつあった頃でしょうか。シューマンのデュッセルドルフ時代というのは、少しずつ異変が、本来は見えないはずのものが見えたり、聞こえないはずの声や音が聞こえたりする症状が、顕著に現れてきた時期かと想像しています。
その意味では、力と意欲にあふれた音楽とはなりえず、ともすれば途絶えがちになる楽想を手繰り寄せながら繊細につなぎ合わせたような音楽も、なるほどと理解できます。わりと好きだなあ、こういう音楽(^o^;)>poripori
アルカイックな味のある第4曲などは、とりわけ印象的です。
同時に、傍らで夫(父親)を見守るクララや子どもたち、家族の心配と不安もあったことでしょう。そこに登場する来客が、青年ブラームス。不安や心配を一時わきにおいて、驚きと興奮をもって歓迎したであろう家庭のようすもまた、想像することが可能です。
○
YouTube にも、この曲の演奏がありました。かなり遅いテンポで始まります。
Robert Schumann. "Gesänge der Frühe" Op.133. 1853
(*1):山形交響楽団第254回定期演奏会で池辺晋一郎、シューマン、ベートーヴェンを聴く~「電網郊外散歩道」2016年7月
(*2):シューマン「ピアノ・ソナタ第1番」を聴く~「電網郊外散歩道」2007年12月
例えば晩夏の夜、自宅のPC-audio用のミニコンポを通じて、ヘッドホンで静かに聴くときに、心にしみる音楽と言えばよいのでしょうか。
- Im ruhigen Tempo 落ち着いたテンポで
- Belebt, nicht zu rasch 元気に、速すぎないように
- Lebhaft 生き生きと
- Bewegt 動きをもって
- Im Anfange ruhiges, im Verlauf bewegreres Tempo 始めは静かに、それから動きのあるテンポで
1853年、若きブラームスが、デュッセルドルフ在住のシューマン夫妻を訪ねてきた年の作品。たぶん、体内に潜む梅毒の原因となったトレポネーマ(スピロヘータと言った方が通りやすいか?)が少しずつ内蔵器官や神経組織を侵し、体調不良が明らかになってきつつあった頃でしょうか。シューマンのデュッセルドルフ時代というのは、少しずつ異変が、本来は見えないはずのものが見えたり、聞こえないはずの声や音が聞こえたりする症状が、顕著に現れてきた時期かと想像しています。
その意味では、力と意欲にあふれた音楽とはなりえず、ともすれば途絶えがちになる楽想を手繰り寄せながら繊細につなぎ合わせたような音楽も、なるほどと理解できます。わりと好きだなあ、こういう音楽(^o^;)>poripori
アルカイックな味のある第4曲などは、とりわけ印象的です。
同時に、傍らで夫(父親)を見守るクララや子どもたち、家族の心配と不安もあったことでしょう。そこに登場する来客が、青年ブラームス。不安や心配を一時わきにおいて、驚きと興奮をもって歓迎したであろう家庭のようすもまた、想像することが可能です。
○
YouTube にも、この曲の演奏がありました。かなり遅いテンポで始まります。
Robert Schumann. "Gesänge der Frühe" Op.133. 1853
(*1):山形交響楽団第254回定期演奏会で池辺晋一郎、シューマン、ベートーヴェンを聴く~「電網郊外散歩道」2016年7月
(*2):シューマン「ピアノ・ソナタ第1番」を聴く~「電網郊外散歩道」2007年12月
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