先日、連休なので珍しくテレビを見た。富山県の上市警察署に置かれた剣岳を中心とする山岳救助隊の活動を紹介したドキュメンタリーだ。
最近は空前の中高年登山ブームなのだという。登山者の目標の一つが、富山県剣岳に置かれることは予想できる。新田次郎の『剣岳・点の記』(*)に見るように、登頂の困難さが登山者の意欲をかきたてる存在だからだ。
しかし、東北の山々の優しい山容とは異なり、剣岳は全山嶮しい岩の山である。一定の技術と、何よりも体力が求められる。登頂で体力を使い果たし、下山時に何の変哲もない沢で転落死する例が後をたたない。このドキュメンタリーでも、単独行らしい62歳の女性がなくなっている。
番組では、新人隊員の成長を軸にして、山岳救助隊の使命と活躍を描いていたが、いくら成長して鉄人になっても、剣岳に殺到する中高年登山者の数が多ければ、一定の確率で事故は起こるだろう。かつて穂高や剣岳を経験した同じ中高年の一人として、技術と体力の不足しがちな中高年登山者は、岩場の連続する峻険な北アルプスの岩峰よりも、森林限界の低い東北の山々の、展望の良い尾根歩きなどにもっと目を向けてはどうかと思う。中高年はどうしてもがんばりすぎる傾向があるから、もっとゆったりとした登山の楽しみ方をしてもよいのではないかと思ってしまうのである。
(*): 【物語案内】より新田次郎著『剣岳・点の記』
最近は空前の中高年登山ブームなのだという。登山者の目標の一つが、富山県剣岳に置かれることは予想できる。新田次郎の『剣岳・点の記』(*)に見るように、登頂の困難さが登山者の意欲をかきたてる存在だからだ。
しかし、東北の山々の優しい山容とは異なり、剣岳は全山嶮しい岩の山である。一定の技術と、何よりも体力が求められる。登頂で体力を使い果たし、下山時に何の変哲もない沢で転落死する例が後をたたない。このドキュメンタリーでも、単独行らしい62歳の女性がなくなっている。
番組では、新人隊員の成長を軸にして、山岳救助隊の使命と活躍を描いていたが、いくら成長して鉄人になっても、剣岳に殺到する中高年登山者の数が多ければ、一定の確率で事故は起こるだろう。かつて穂高や剣岳を経験した同じ中高年の一人として、技術と体力の不足しがちな中高年登山者は、岩場の連続する峻険な北アルプスの岩峰よりも、森林限界の低い東北の山々の、展望の良い尾根歩きなどにもっと目を向けてはどうかと思う。中高年はどうしてもがんばりすぎる傾向があるから、もっとゆったりとした登山の楽しみ方をしてもよいのではないかと思ってしまうのである。
(*): 【物語案内】より新田次郎著『剣岳・点の記』