放射冷却でずいぶん冷えた日曜の午前中に、サクランボ果樹園の管理作業でコスカシバ対策の防除を実施、びっしょり汗をかきました。シャワーを浴びて昼食をとり、午後は山響こと山形交響楽団の第272回定期演奏会です。
時間に余裕を持って出かけましたので、駐車場もなんとか確保でき、開演前のロビーコンサートも聴くことができました。本日の曲目は、グラズノフの「牧歌」Op.103だそうです。関谷智洋さんのホルンに、1st-Vn:平澤海里さん、2nd-Vn:中島光之さん、Vla:田中知子さん、Vc:渡邊研多郎さんという顔ぶれのホルン五重奏曲という形か。もちろん、今まで一度も聞いたことがありませんでしたが、いや〜、なかなかいい曲ではないですか!
さて、今回のプログラムは、
- ドビュッシー/交響組曲「春」
- ウィリアム・ペリー/トランペット協奏曲(日本初演)
- ショスタコーヴィチ/交響曲 第1番 ヘ短調 作品10
指揮:飯森範親、トランペット:井上直樹
というものです。日本初演となるペリーのトランペット協奏曲はもちろん、なじみのない曲ばかりですが、グラズノフの「牧歌」が良かったので、いい演奏会になる予感。
第1曲めはドビュッシーの「春」。ローマ大賞を受け、イタリア留学中に生まれた作品だそうです。ボッティチェリの絵画「春」から着想を得たのだそうで、「ドビュッシーは印象主義」という評価は当時の絵画の流行から連想されて由来しているのだそうな。
ステージ上の楽器配置は、隙間なく並んでいる感じです。指揮台を中心に、左から第1ヴァイオリン(8)、第2ヴァイオリン(7)、チェロ(5)、ヴィオラ(5)、その右にコントラバス(3)、中央奥にはフルート(2)とオーボエ(2)、その奥にクラリネット(2)とファゴット(2)、さらにその奥にホルン(4)とトランペット(2)、最奥部にティンパニとトロンボーン(3)、ヴァイオリンの左側には、手前から奥に向かって順にハープ、ピアノ、パーカッションとなっています。
曲は第1曲、Tres modere(とても穏やかに)との指示通り、穏やかでいささか眠たくなるような、ぼんやりとした感じの音楽。これに対して2曲めは、Modere(中庸の速さで)と指示されており、最後はキラキラとした感じで終わります。若いドビュッシーの作品らしいものです。
第2曲めは、W.ペリーのトランペット協奏曲。この曲は、今回のソリスト井上直樹さんが飯森さんの指揮でコンチェルトをやるなら、絶対にこの曲をやりたいと、何年も前から言っていたもので、今回ようやく実現したものだそうです。
楽器編成は、ピッコロやイングリッシュ・ホルン、バスクラリネット、テューバ等が加わったほかに、まあステージ狭しと多彩な鳴り物が加わっています。当方の座席から確認できるものだけでも、シロフォン、チャイム、トライアングル、スネアにバスドラム、ボンゴ、タムタム、マラカス、などなど。
第1楽章:「ジャズ・プロムナード」。独奏トランペットがカッコイイ! アメリカらしい鳴り物いっぱいの音楽がなんとも楽しい雰囲気です。第2楽章:「バラード」。独奏者は、少し小ぶりで丸っこい形のフリューゲルホーンに持ち替えて、さらに弱音器を付けたのでしょうか、まろやかな音色で木管との優しい協調もしっとりと、とても聴きやすい音楽になっています。第3楽章:「カーニバル」。ラテンのリズムをバックに、賑やかで楽しいノリノリの音楽です。チケット完売となったほぼ満席のお客様も、ビックリ感動大喜びでしょう!
ここで15分の休憩の後、第3曲めはショスタコーヴィチの交響曲第1番。作曲者19歳、レニングラード音楽院の卒業作品だそうです。なんとまあ、すごいもんです。この曲がワタクシの肌に合う作品かどうかと言われればいささか疑問ありと言わざるを得ませんが、第2楽章の芸が細かい終わり方といい、第3楽章のちょいと気色悪いシニカルな耽美性といい、続けて演奏される第4楽章のエネルギッシュなフィナーレといい、才能あふれる若者の気合の入った作品の、ほんとに見事な充実した演奏でした。良かった〜!
終演後のファン交流会でも、いろいろな話を聞きましたが、一番記憶に残っているのは、指揮の飯森さんが初めて山形に来た時、ソリストの井上さんが山形の「いいところ」をあちこち案内してあげたのだそうです。もし、あのとき山形の魅力を教えてもらわなかったら、今こうしてここにはいなかったかも、と語る飯森さんの言葉は、現在の実感でしょうか。
うーむ。そういうご縁もあったのか。グループ農夫の会に参加して、大蕨棚田の米作りを応援し、毎年「山響棚田米」を育成しているという熱血スーパートランペティスト:井上直樹さんらしいエピソードだと思います(^o^)/