広瀬君の話
先日、わしの新車バイクハスラー50を
ひっくり返した広瀬君ですが
高校の時の同級生で、
引っ込み思案でおとなしい奴でした
でもプライドだけは高くてね~
面白いやつでした
2人とも自転車通学で、家が近所だったので
よく一緒に帰ってました
2人ともテニス部をやめた仲だったので
たまにはテニスでもしようかっていう話になり
たびたび、わしの小学校の裏庭にある、
テニスコートに忍び込んで
よくやったもんです
40年前当時は、おおらかなもんで
小学校なんか自由に出入りできましたからね
それで、広瀬君とテニスをするわけなんですけど
二人で、遊びでするだけなんで
わしにしてみたら、ラリーを楽しみたかったのに
広瀬君は、嫌なコースに打ってきます
「へんなとこ打つなよwwラリーが続かないじゃん」
とかいうと
「あほか、テニスというのはそういう、
いやらしいもんや!」とかほざいてました
そらそうやろけど、遊びやねんから
っていっても、かたくなに、難しい場所に打ってきます
そしてこっちがミスすると
「へたくそ」とかへいきで言うやつw
鬱陶しい奴ww
なもんで、わししか友達おらん
そして、わしがバイクを買ったとき
運転させろっていうから
運転のやり方教えてやったのに
しょっぱなに、ウイリーしてひっくり返ってましたからね
人の新車ひっくり返しといて
謝りもせず
「おまえは、最初から乗れたのか?」とか
おれはこんなに無様なのに、お前ごときが乗れたとは思えん!!
ってな顔をしてほざいてましたw
「誰でも乗れるわ!」って言ったら
いたくプライドが傷ついたようで
2度と乗ることはなかったですw
そんなことはどうでもいいんですけど
高校3年になったとき
わしは当然のように、文系に進んだのですが
広瀬君は、何を思ったのか理系に進んでしまいました
友達がおれしかいない広瀬くん
理系と文系ではカリキュラムが違うので
別のクラスになり、疎遠になってしまった
そしたら、広瀬君不登校になってしまいました
何度か、家に誘いに行ったのですが
結局出席日数が足りず、留年してしまった
わしは、当然のように浪人してしまい
別々の道を歩み始めたのですが
1年後、某大学の試験の時に、広瀬君を見かけました
おお、なんとか受験できるようになったんだって
うれしくなって、「おい広瀬!ひさしぶり」って
声をかけたのですが
眼もあわさず、知らん顔で無視されました
その時の顔は、
わしのバイクをこかしたときに見せた
「おまえごときに」って顔でした
それから、40年
広瀬君、元気に生きてるかな~
あの頃ぼくらはアホでした (集英社文庫) | |
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