「すごい事件だね」
「よかったんじゃあないの」
さすがに、ひねくれ者のKだ、
「なにが よかったんだい」
「あの子は 優秀らしい 成績もトップクラス」
「・・・」
「あのまま大学に行き 医者にでもなってごらんなさい それこそ 原因不明の死亡事故が連続したかもしれないじゃあないか」
そう来たか、
「その頃には 医学や薬学の知識も熟達して 分析不可能な配合をしてしまったかもしれない」
「正常にもどることは」
「考えないほうがいい 何十万人何百万人の中には 変わった人がいるものだ」
「先天的かな」
「時代と場所がちがえば ダ・ビンチやガリレオだったかもしれない」
「それよりも 困った風潮だ 朝から晩までマスコミが大騒ぎ 何十人何百人の警官が動員されている あれは ゼンブ税金だろう 貴重な財源だ」
「先天的な疾患かな」
「先天的な特質と見たほうがいい 小学生の頃 ネコを解剖したらしい」
「そんな報道だったね」
「できることじゃあないね 生き物を殺すのは異常な心理だ 殺して何も感じないですむのは せいぜい ゴキブリぐらいか」
博覧強記のK、
「東北にマタギという狩猟民がいるのだが 山で狩りをして里にもどる際に かならず儀式をする」
「これによって 殺戮のケガレをはらい ふつうの生活にもどる たしかケボカイだったか」