MONAのフォト・ギャラリー

写楽・・話楽・・・な日々

灯をかかげて

2019-05-16 23:36:39 | 小さなおはなし


生きることは  哀しみ  苦しみ 

忘れてしまいたい過去を もう一度たどり 修正したくなる 

先日おはなしした 映画「万引き家族」の父親役「治」の本名は「しょうた」

パチンコ店の駐車場で 車上荒らしをした時 車の中に置き去りにされ死にかけていた男の子を連れ帰り「祥太」と名づけます  

祥太に「父ちゃん」と言われたい 

切ない治のその気持ちは 自分が父親と親子の絆を築けなかった過去を 修復したいからなのです 

祥太を過去の自分に重ねているのですね 

一方 母親役の「信代」は 治が見かねて連れ帰った 親に放置されていた女の子に「りん」と名づけます 

りんの身体に残る傷をさする信代 

同じ傷が未だに残る信代には それが何であるのか分かるのです 

空腹のりんに おばあさん役の初枝が 熱々のお麩をふーふーして食べさせるシーンは まさに樹木希林の独壇場の場面! 

信代もりんに愛情を注ぎます 

やっと りんが居ないことに気づいた親が届け出て誘拐事件に発展しても 信代はりんを手放そうとはしません 


そして 祥太 

りんは祥太の後をくっついてまわります 

「お前は りんの兄ちゃんだよな!?」

「違う!」と言っていた祥太ですが 次第に兄としての自覚が芽生え始めます 

りんが祥太の指示なく 自ら万引きをしようとした時 それをさせまいとして怪我をしてしまいます 

病院に駆けつけた治と信代 警察の事情聴取に逃げ出しますが すでに遅く・・・ 


すべての罪を一人で被った信代 

「私は母親にはなれなかった」

静かに涙を流します 

怪我が治り 児相から学校に通うようになった祥太と会った治 

「おれはお前を残して逃げてしまった 父親失格だ」

二度と会うまいと心を決めるのですが 

祥太の乗ったバスが走り出すと 追いかける治 

バスの中から振り向く祥太

「とうちゃん・・・」小さく呟きます


さて りんは・・・ 

DVの親許に帰り 治に拾われたのと同じシーンで終わります 

でも 手には信代にもらったものを握り そして 手すりに掴まり何かを見た? 

その先には きっと りんを気にかけている誰かがいるのでしょう 

そう思いたいです 


家族とは何だろう? 

この問いかけに 誰もが心を動かされます  

 

コメント (6)
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