MONAのフォト・ギャラリー

写楽・・話楽・・・な日々

大きな屋根になるという生き方

2019-05-18 22:57:41 | 小さなおはなし


*** 前記事に続きます *** 

生前 樹木希林さんがTVで 「 映画は監督のもの  俳優は監督に言われた通りに演技すればいいの 」と話していたことを覚えている 

でも 彼女が黙って従っていたとは とても思えない 

正面切ってではなく 斜って ボソッと 自分の考えを言っていたに違いない 

この「万引き家族」という映画でも きっと・・  


血の繋がりのない この家族が みなで海水浴に行くシーンがある 

りんの誘拐がニュースになり 治は建設現場で怪我をし 信代はリストラされるという四面楚歌の状況 

それも どこ吹く風というように みな屈託ない笑顔で 砂浜を走り 波と戯れる 

家族を満足そうに眺めながら おばあさん役の初枝(樹木希林)がぽつりと言う 

「 ありがとうございました・・ 」 

この言葉に ちょっと違和感を感じる 

「 ありがとね さよなら・・・ 」位が ぴったりではないかな? 

翌朝  初枝は布団の中で冷たくなっていた 

初枝は 年老いてはいるが みなの世話になっているわけではない 

むしろ この疑似家族(が適当な言葉か分からないが・・)の大きな屋根といった存在なのだ 

屋根が 雨風からみんなを守るという役目を果たすには それを支える柱が必要だ 

その柱は 初枝の年金  そして  治と信代の稼ぎ  信代の妹役「亜紀」の風俗のアルバイト料 等々 

その上 初枝はちゃかりと 家出している亜紀の両親から 預かり料まで貰っている 

自分も活き みなも活かすという 現実的な大らかさだ 

きっと この家は 初枝という大きな屋根があるだけで 壁はないに違いない 

風が吹き通っていて 出入り自由! 

初枝自身も ずっと家にいるわけではない 

主に パチンコ店? 隣の人の玉をネコババしたりしている 

そうであっても この初枝という重しがあるからこそ 家族という形に成り得たのだと思う 

血の繋がりはなくても  互いを思いやり 身を寄せ合って暮らしていた家族は 社会の法規によって裁かれ バラバラに引き裂かれてしまった 


亜紀は もう誰もいない家を訪れる 

何もないガランとした家の中・・ でも  そこにあった温もりは嘘ではない 

治と信代は それぞれ「 祥太の父 りんの母にはなれなかった 」と失意の底に沈む 

でも その愛は灯となり  祥太とりんが これから生きていく道の導となるだろう 


*** 自転車に乗ろうとしたら キリギリス科(ヤブキリ? ウマオイ?)の幼虫がいました  ***

 

コメント (4)
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