私はリーダーシップに乏しい。
人望がないわけではないと思う。十代の頃から、幹事役やら、金勘定を任させることが多く、それなりに信頼を得ていたとは思う。自分でも公平な性格だと思うし、またそうありたいとも思っている。
しかし、リーダーには向いてない。まとめ役なら出来なくもない。しかし、皆を明るい方向へ向けさせることが致命的に苦手なのだ。反省会を仕切らせれば、かなり厳しい反省会をやる自信はある。しかし、その反省を将来に向けて明るく活かすことが下手だった。これはリーダーとして致命的な欠陥だと思う。
だから、私は仲間内での自分の役割を補佐役や憎まれ役に定めていた。大学時代、クラブで会計を担当していたが、仲間たちからは「サラ金会計」の呼び名を得ていた。部費の取立てが厳しかったからだ。
厳しくせざる得なかったのはクラブの財政事情が、危機的だったからだ。高額な登山道具の購入資金を部員に貸し付けていたが、その回収が代々滞り勝ちであったことが、最大の理由だった。なにせ、遊び盛りの大学生だ。仕送りがくると、一週間で使い果たすアホがいる始末。当然に部費の取り立ても厳しくせざる得ない。
ただし、私の厳しい取立てを可能にしていたのは、私一人の力ではない。私に厳しく責め立てられた部員を、後で優しくフォローしてくれる仲間がいたからこそ可能だった。私が敢えて憎まれ役を買って出ていることを理解してくれる仲間がいたからこそ、可能な厳しさだった。一人でなしえた訳ではない。
そんな私だったから、出来るならば優秀なリーダーの下での補佐役が望ましいと考えていた。しかし、社会に出てみると、必ずしも自分の思うとおりにはならない。会社勤めを辞めざるえなくなり、個人事務所で働き出すようになって、自らがリーダーとなる個人事業主を目指さざるえなくなった。小さな事務所だが、それでもスタッフを指揮するリーダーシップは重要であることは変わりは無い。だからこそ、理想のリーダーシップを求めてやまない。
ところで、表題の作品の主人公アッシュは、絶対的なリーダーだ。指示するだけでなく、自ら率先して動き、優れた判断を示し、絶対的な権威を振るうリーダーだ。あまりに優秀であるため、孤独なリーダーでもある。アッシュの場合は、その生い立ちからして孤独にならざる得ない。容易に本音を明かせないのは、いかなるリーダーでも同じだが、男娼としての屈辱的な幼年期を経験しているアッシュは、鋼鉄の意志で傷つきやすい心を庇わざる得ない。
そんなアッシュのもとに現れた、あまりに無邪気に脆弱な日本人・英二は、その弱さゆえにアッシュの心の隙間を埋めてしまった。弱さは優しい抱擁でもあり、アッシュはその柔らかさに気がついてしまった。鋭すぎる刃であるアッシュは、その納める鞘を見つけてしまった。隠し通してきた、繊細な心を英二の前でのみ晒す事が出来た。その安堵感がアッシュの弱点となり、物語は悲劇へと加速する。
アッシュのようなリーダーが、目の前に現れたら、私は無条件で従わざる得ないと思う。それほどまでに超越したリーダーシップを持つアッシュだからこそ、その弱さをもたらした英二は、ユーシスから嫌われたのだと思う。敵でありながら尊敬せざるえないアッシュに弱点を作ってしまった英二をユーシスが憎むことに、私は妙に共感してしまった。
少女マンガ雑誌に掲載されていたことが信じられないほど、硬質でスケールの大きな物語。もし、少女マンガを読んだことがない男性がいたとしたら、是非ともこの作品は読んで欲しい。大きな目に星が煌く可愛らしい女性キャラは出てこないし、甘ったるいラブシーンも、こっぱ恥ずかしい告白の場面もなく、ひたすらハードボイルドで、過激で、それでいて繊細なストーリが展開することに驚きを隠せないと思います。
人望がないわけではないと思う。十代の頃から、幹事役やら、金勘定を任させることが多く、それなりに信頼を得ていたとは思う。自分でも公平な性格だと思うし、またそうありたいとも思っている。
しかし、リーダーには向いてない。まとめ役なら出来なくもない。しかし、皆を明るい方向へ向けさせることが致命的に苦手なのだ。反省会を仕切らせれば、かなり厳しい反省会をやる自信はある。しかし、その反省を将来に向けて明るく活かすことが下手だった。これはリーダーとして致命的な欠陥だと思う。
だから、私は仲間内での自分の役割を補佐役や憎まれ役に定めていた。大学時代、クラブで会計を担当していたが、仲間たちからは「サラ金会計」の呼び名を得ていた。部費の取立てが厳しかったからだ。
厳しくせざる得なかったのはクラブの財政事情が、危機的だったからだ。高額な登山道具の購入資金を部員に貸し付けていたが、その回収が代々滞り勝ちであったことが、最大の理由だった。なにせ、遊び盛りの大学生だ。仕送りがくると、一週間で使い果たすアホがいる始末。当然に部費の取り立ても厳しくせざる得ない。
ただし、私の厳しい取立てを可能にしていたのは、私一人の力ではない。私に厳しく責め立てられた部員を、後で優しくフォローしてくれる仲間がいたからこそ可能だった。私が敢えて憎まれ役を買って出ていることを理解してくれる仲間がいたからこそ、可能な厳しさだった。一人でなしえた訳ではない。
そんな私だったから、出来るならば優秀なリーダーの下での補佐役が望ましいと考えていた。しかし、社会に出てみると、必ずしも自分の思うとおりにはならない。会社勤めを辞めざるえなくなり、個人事務所で働き出すようになって、自らがリーダーとなる個人事業主を目指さざるえなくなった。小さな事務所だが、それでもスタッフを指揮するリーダーシップは重要であることは変わりは無い。だからこそ、理想のリーダーシップを求めてやまない。
ところで、表題の作品の主人公アッシュは、絶対的なリーダーだ。指示するだけでなく、自ら率先して動き、優れた判断を示し、絶対的な権威を振るうリーダーだ。あまりに優秀であるため、孤独なリーダーでもある。アッシュの場合は、その生い立ちからして孤独にならざる得ない。容易に本音を明かせないのは、いかなるリーダーでも同じだが、男娼としての屈辱的な幼年期を経験しているアッシュは、鋼鉄の意志で傷つきやすい心を庇わざる得ない。
そんなアッシュのもとに現れた、あまりに無邪気に脆弱な日本人・英二は、その弱さゆえにアッシュの心の隙間を埋めてしまった。弱さは優しい抱擁でもあり、アッシュはその柔らかさに気がついてしまった。鋭すぎる刃であるアッシュは、その納める鞘を見つけてしまった。隠し通してきた、繊細な心を英二の前でのみ晒す事が出来た。その安堵感がアッシュの弱点となり、物語は悲劇へと加速する。
アッシュのようなリーダーが、目の前に現れたら、私は無条件で従わざる得ないと思う。それほどまでに超越したリーダーシップを持つアッシュだからこそ、その弱さをもたらした英二は、ユーシスから嫌われたのだと思う。敵でありながら尊敬せざるえないアッシュに弱点を作ってしまった英二をユーシスが憎むことに、私は妙に共感してしまった。
少女マンガ雑誌に掲載されていたことが信じられないほど、硬質でスケールの大きな物語。もし、少女マンガを読んだことがない男性がいたとしたら、是非ともこの作品は読んで欲しい。大きな目に星が煌く可愛らしい女性キャラは出てこないし、甘ったるいラブシーンも、こっぱ恥ずかしい告白の場面もなく、ひたすらハードボイルドで、過激で、それでいて繊細なストーリが展開することに驚きを隠せないと思います。